みなさん、こんにちは。
心理カウンセリング空の関口です。
情報化社会の現代。ひとりひとりがスマホを持ち、どこでもだれとでもつながれる時代。
しかし、これから情報化社会が高度に発展すればするほど、人には自然に触れるなどアナログの場が求められるようになります。
なぜならば、デジタル化が発展すればするほど、人間の心に”ゆとり”がなくなるからです。
インターネットが普及する前、パソコンやシステムがインターネットに繋がり、すべてがオンラインで処理できる情報化社会になれば、業務は効率的になり、仕事や生活に”ゆとり”がうまれると信じられていました。
そして、情報化社会となりましたが、実際のところはどうでしょうか?
全てのシステムがつながり、私達はスマホという情報端末を手にすることができました。いつでも・どこでも・誰とも、リアルタイムでつながることができるようになりました。
しかし、心に”ゆとり”がうまれるどころか、日々、情報と時間に追われ、逆に以前より心の”ゆとり”はなくなっているのではないでしょうか。
これからもIT・情報社会は発展していきます。その社会のなかで、情報に追われることなく、”思考”と”心”のゆとりを取り戻すために自然や農との関わりが必要になると思います。
今回は、情報化社会を生きる私達に、農・自然との関わりが必要になる7つの理由をご紹介します。
理由1:雄大な自然を見つめること
悩んでいるとき、落ち込んでいるとき、これから進むべき道が”もや”に包まれたようで、不安な気持ちになります。
不安な気持ちになると心はどんどん閉ざされ、自分の視野も狭くなっていきます。
視野が狭くなった状態で、悩みを解決しようとしても、なかなかクリアにはならないものです。
また、気持ちに焦りも生じ負のスパイラルに陥ります。
悩みを抱えたときは、悩みを解決することよりも、まずは、自分の視野を広げることが先決です。
みなさんは、旅行先などで雄大な自然と出会ったとき、見える世界(視野)が広がり、心がフワ~と軽くなった経験はありませんか?
そのとき、”いま悩んでいること”がちっぽけに感じたことはありませんか?自然界には人の心を広げる作用があります。
そして、心が広がった分だけ、相対的に”悩みを小さく”感じます。
青空の下、木陰でそよ風を感じること、なんとなく懐かしい田舎の風景、子どものときに感じた自然を思い出すだけでも、心はと視野が広がります。
理由2:全身を使って体と心を柔軟にする
情報化社会の現代では、パソコンやスマホを手放すことができません。
パソコンやスマホを操作しているときは指先だけが動いています。
しかも、画面に集中していると、首や腰に負担がかかっていることを忘れて、何時間も同じ姿勢で操作をしてしまいます。
でも、人間の体は本来動かすようにできています。
ひとつの画面を見続け、何時間も同じ視点と姿勢でいると、体に負担がかかると同時に、心も閉塞感を感じはじめ、その結果、心はちょっとしたことでも、悩んだり・落ち込んだり・感情的になっていきます。
それなのに、”検索”で物事を解決することに慣れている私達は、再び画面と向き合い同じ姿勢を続け、より心は閉塞感いっぱいになります。
自然の中での体験は全身を使います。久しぶりに全身を使うとキツいこともありますが、全身を使うことで不思議と心は解放的になっていきます。
心と体は連動しています。体がかたまれば心もかたまります。逆に体がやわらかくなれば、心も柔軟になります。
理由3:すべての感覚をつかうこと
職場で1日パソコンと向き合い、通勤時間はスマホでWeb閲覧やゲームをしながら音楽を聞く。都心で生活していると入ってくる情報(刺激)のほとんどが視覚・聴覚です。
パソコンやスマホで閲覧するWebページやSNSのほとんどが写真+文字情報です。
最近は、Youtubeなど動画が見えるようになり聴覚も使うようになりましたが、それでも2つの感覚しか使えていません。
人間には五感が備わっています。視覚・聴覚以外にも、嗅覚・味覚・身体感覚(皮膚感覚・運動感覚・平均感覚)があります。
みなさんが日々の日常でこの5つの感覚を感じることはできていますか?
自然の中にゆったりと身をおいて、風を肌で感じて、鳥のさえずりを聞いて、近くで咲いている花の香りを嗅いで、大地に育つ旬の作物を味わう。
複数の感覚を使い自然を感じると、思考はクリアになっていきます。
人間の脳は、すべての五感を感じることで活性化すると言われています。散歩をすることで、新しいアイディアが閃きやすいと言われるのも、歩く動作+自然を五感で感じることで、脳が活性化されるからです。
人は悩んでいるとき、落ちこんでいるとき、ひとつのことしか見えていません。
そんなときは、まずは五感をとおして自然を感じ、思考をクリアにすることで、自分が抱えている問題を客観的に見つめなおすことができます。
理由4:自然の時間を取り戻す
子供たちに大ブームのマインクラフト(以下マイクラ)。
以前、農業体験にきた子が「麦なんて育てるの簡単だよ!」と自信満々に教えてくれました。その子の話を詳しく聞いてみると、マイクラの世界の中での話でした。
マイクラの世界の中では、麦を種をまくと30分もしないうちに実りの時期を迎えます。これが現代の情報化社会の特徴です。
情報化社会の特徴は、様々な情報が、いつでも・どこでもリアルタイムに入ってくることです。
それは、”時間の感じ方”が短くなっているということです。だから、現代の私達は”時間”と”情報”に追われるようになりました。
そして、”時間”と”情報”に追われているから、悩み落ち込んでしまったときも、”早く解決しなければ・・・”という焦りが生じてしまいます。
しかし、これからどんなに情報化社会が発展しようとも、畑に麦の種を蒔いて、実りを迎えるには6ヶ月間必要です。
その”成長の時間”は100年前も100年後も変わりません。なぜならば、それが自然の時間の流れ(摂理)だからです。
そして、私達の”心に流れる時間”も100年前と100年後も変わりません。
これから社会がどんなに発展しようとも、私達の”心に流れる時間”を奪われてはなりません。
悩んでしまったときは、焦って解決をすることよりも、まずはじっくりと自分自身を内省する時間を確保することが重要です。
もし、日々心に”ゆとり”がないと感じるときは、1日でもいいので、自然の中に身を置いて、自然の時間のリズムを取り戻してみてください。
ミヒャエル・エンデのモモの一節を紹介します。
時間をケチケチする事は、本当は全然別のなにかにケチケチしている事に誰ひとり気付いていないどころか、自分達の生活が日ごとに貧しくなり、日ごとに画一的になり、日ごとに冷たくなっている事を、誰ひとり認めようとしない。
けれど、時間とは生きるということそのものなのです。そして、人の命は心を住みかとしているのです。人間が時間を節約すればするほど、生活はやせ細っていくのです。
~ミヒャエル・エンデ モモより抜粋~
理由5:リアルな変化を体感する
私がITエンジニアとして仕事をしてるとき、ある時から、仕事に達成感や充足感を感じられなくなっていました。
ITエンジニアの主な仕事は、システムを支える機器やプログラムの構築・設定変更や管理です。すべての作業はパソコンで行い、ちょっとでも文字を間違えると、システム全体が停止してしまう気が抜けない作業です。(このBlogを公開できるのも、そういった方々の日々の努力のおかげです。ありがとうございます。)
ITエンジニア・プログラマー・テクニカルライターなど、日々画面に向かって業務をする方々全般に言えることだと思いますが、自分が行っている業務に変化を感じられていますか?プログラムを修正すれば、確かにWebページの表示やシステム上の変化は起きますが、画面の外にフッと目をやったときに、自分の周りで、自分の人生で何か変わっていますか?
私が達成感や充足感を感じられなくなったのは、日々画面の中の変化ばかりで、自分の周りの実際の変化を感じられなかったからです。
人が悩んでいるとき心が不安感でいっぱいになります。すると、なにか新しいことにチャレンジすることが恐くなります。
そして、チャレンジすることが恐く感じるから、動くことができなくなり、日々の達成感や充足感を感じることができなくなります。
以前、私が農業を手伝ったとき、達成感を感じられたのが”草むしり”でした。
最初、雑草でいっぱいの畑を見ると、正直うんざりするのですが、それでもひとつひとつむしっていくと、やがて心が無心(フロー状態)となります。
そして、フッとしたときに自分が歩んできた畑を振り返ると、そこには”きれいになった畑”があります。このリアルな変化を感じたとき、心から達成感を感じることができました。
また、子ども達は”かぶ”の収穫よりも”大根”の収穫の方がいい表情をします。それは、簡単に抜ける”かぶ”よりも、力一杯抜かなくてはならない”大根”の方が達成感が大きいからです。
人は、ちょっと自分に負荷をかけチャレンジし、成し遂げることで達成感や充足感を感じるものです。
子ども達が大根を収穫して喜ぶ笑顔は人間の本能的な喜びです。そして、本能的な喜びは子ども大人も同じです。
なんでも簡単に情報が手に入り、バーチャル体験ができる現代社会だからこそ、実際に変化が伴うリアルな経験と達成感を味わう場所が必要になるのです。
理由6:自然界の1/fゆらぎと共振する
コンピュータ(デジタル)は0と1の組み合わせで、とても正確に動作します。その正確な動作のおかげで、私達はコンピュータシステムを信頼して使うことができます。
でも、コンピューターを使う私達人間はどこまで正確でいられるでしょうか?
デジタルの世界は0と1、YesとNoのどちらか2択の世界です。
最近の人間関係にストレスが多いのは、YesかNoを人に求めすぎるからではないでしょうか?もちろん時にはYesかNoの選択も必要です。
しかし、常に”正しさ”を主張され、選択を求められるのは苦しく感じるものです。
自然界には、1/fという”ゆらぎ”が存在しています。そよ風や鳥のさえづり、たき火の炎など、いろいろな”ゆらぎ”があります。
そして、人間が1/fゆらぎを感じると、脳波がα波状態になり、心はリラックス状態になります。
では、なぜ、1/fゆらぎを感じると人はリラックスできるのでしょうか?
これは私の考えですが、そもそも人間が持つ波長が”1/fでゆらいでいる”からだと思います。
だから、自然界の1/fゆらぎを感じたとき、人間がもつ波長と自然界の波長が同調され、人はリラックスと安心感を感じることができるのだと思います。
これは、心地良い音楽を聴いているときに感じる感覚と同じようなものだと思います。
悩みを抱えてしまうと自分自身の波長が崩れてしまいます。でも、自分で自分の波長を調整することはできません。
だからこそ、自然界に身を置いて、そこに流れる1/fゆらぎを感じとり、共振作用により自分の波長を整えることで、心は安らぎを感じるのです。
理由7:ふつうのご飯をおいしく食べる
1日中、画面に向かって仕事をしていると、五感を感じることもなくストレスが溜まります。
ストレスが溜まるから、ストレス発散のために、夜の町で暴飲暴食をしたり、おいしいご飯とお酒を追い求めにいきたくなるものです。
ITエンジニアとして仕事をしている頃の私は、毎日そんな感じでした。
1日外で体を動かしているとヘトヘトに疲れます。でも、ヘトヘトに疲れた後に食べる、ふつうのご飯が、なぜかおいしく感じるのです。
ましてや、自分が春に種から蒔いた米を秋に収穫し、火を起し炊いてて食べたときは、どんなお米より「おいしく」感じて深い味わいを感じるものです。
情報化社会や合理化・成果主義、現代の私達には”結果”が求められるようになりました。もちろん、結果も大切です。
でも、どんな物事にも、結果という実りを刈り取るには、種を蒔き成長していく過程が必要です。
同じように米を育てても、その年の気候により不作にも豊作にもなります。その不確実性の中で育ち、無事に収穫を迎えられたからこそ、”成長の過程”に喜びを感じ、その成長に関われたから、深い味わいに変わるのだと思います。
悩んでいるときは全てが否定的になり、「どうせ生きていても楽しいこともないし、生きている価値なんてない」と思い込んでしまうことがあります。
でも、そういうときにこそ、”いまあるあたりまえの豊かさ”に心を配ってください。
今日も普通に生活ができること、1日3食ご飯が食べられること、それは、あたりまえのようで”とても豊かなこと”です。
ふつうのご飯に”豊かさ”を感じられるようになると、1日3回の食事前の「いただきます」に、感謝の気持ちを感じられます。そして、ふつうのご飯に、毎日感謝を感じられるようになると、不思議と心が安定していき、やがて心は前を向きはじめ、今日を生きる勇気が湧いてきます。
悩み落ち込んでいるときこそ、今日食べるご飯に「いただきます」と感謝の気持ちを込めてみてください。
もし、感謝の気持ちが湧かないようなときは、そのご飯が「どこで育ったのかな」・「どうやって育ってきたのかな?」・「どんな人が育てたのかな?」など、ご飯がご飯になるまでのストーリーに思いを馳せてみてください。
最後に、仏教のひとつである禅宗が、食事の前に唱える五観の偈(ごかんのげ)をご紹介します。
【五観の偈】
まとめ
世界中に光ファイバーが張り巡らされ、無線通信技術が向上し、スマホを片手にもって、私達は、いつでも・どこでも・誰とでも、リアルタイムでつながることができるようなりました。
でも、その反面に心の”ゆとり”を見失いました。うつ病や引きこもり、スマホ依存など、以前は考えもしなかったような問題を、現代の私達は抱えています。
人間の文明は、ここ100年で大きく発展し、日本では物理的に何不自由なく豊かな生活ができるようになりました。でも、何不自由なく豊かな生活が”幸せ”ではないことにも、薄々気づきはじめました。
これからは物理的な豊かさから、ひとりひとりの精神的な豊かさが求められる時代へとシフトしていくと、私は考えています。そして、その時代で必要になるのが、ひとりひとりがより”人間性”を高めていくことです。
ただ、人の思考や心は何かに追われ、心にゆとりがないと人間性を発揮することも高めることができません。
だからこそ、一度原点に立ち戻り、自然界の中で心のゆとりとバランスを取り戻し、ひとりひとりがより”自分らしく”人間性を発揮することが必要になると考えています。
長文を読んでいただき、ありがとうございました。
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