二兎を追う者は一兎をも得ず

    カウンセリングSORAの関口です。

    これまでの自分自身の人生を振り返るとともに、多くの方々から寄せられた人生相談を思い返す中で、私は「人生をより良く生きるためには、人としての生き方を学ぶことが大切だ」と実感しています。

    人としての生き方を知ることで、これから歩むべき道が少しずつ見えてくるからです。

    そこで、みなさまの人生に少しでも役立つヒントをお届けできればと思い、人としての生き方に学べる書籍を引用しながらブログを綴っています。

    しばらくの間は、「イソップ寓話」からの引用をもとに、生き方について一緒に考えていきたいと思います。


    目次
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    今日の言葉

    イソップ寓話より引用

    148)ライオンと兎
    ライオンが兎の寝ているのに出くわし、まさに食べようとした時、鹿が通りかかるのを見て、兎を放り出して鹿を追いかけた。
    兎は物音に驚いて跳ね起き、逃げてしまった。
    ライオンは遠くまで鹿を追いかけたが捕まえられず、兎のところへ戻ってみると、すでに姿はなかった。
    ライオンはこう言った。「当然の報いだ。手の中のご馳走を放り出して、もっと大きな希望を選んだのだから」

    このように、ほどほどの儲けに飽き足らず、より大きなものを追い求めるうちに、うかうかと手中のものまで失ってしまう人がいるものだ。

    【引用元:岩波文庫『イソップ寓話集』著:イソップ/訳:中務哲朗】


    「二兎を追う者は一兎をも得ず」

    「二兎を追う者は一兎をも得ず」――このことわざは、ヨーロッパに古くから伝わるものです。

    もしかしたら、この言葉の背景には、イソップ寓話のこの一編があるのかもしれません。

    私たちは、今の状況よりも「もっと良いもの」「もっとお得なもの」「もっと魅力的なもの」を目にすると、つい心が揺れ動いてしまいます。そしてその結果、どちらも手に入れられなくなってしまうことが、よくあるものです。

    イソップ寓話に描かれるようなこの心理は、「もっと良くしたい」という人間の本能に近い欲求なのかもしれません。

    だからこそ、そうした本能があることを理解したうえで、「いま本当に必要なものは何か」を見極める力が大切なのだと思います。

    たとえば、ライオンが飢えて死にそうなほどの状態なら、目の前の兎を食べて飢えをしのぐべきでした。

    一方で、空腹ではあっても余裕がある状況なら、より良い食事を求めて鹿を追いかけるという選択も間違いとは言えません。

    問題は、「自分が今どのような状況にあるのか」を正しく認識せず、ただ「もっと、もっと」と欲を追い続けてしまうことです。それでは、結局すべてを失いかねません。

    イソップ寓話『ライオンと兎』を読みながら、私はそんなことを感じました。


    今日の問いかけ

    「二つのことを同時に追い求めたくなったとき、あなたの心は何を語っているでしょうか?」

    なぜ、私たちは二つのものを同時に得たいと思うのでしょうか。

    両方を得る方法を考える前に、まずは「いま本当に必要なものは何か」を、自分の心に問いかけてみることが大切です。

    多くの場合、たった一つの「これだ」と思えるものがあれば、十分満たされるのですから。

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