事実と感情を分別すること

    みなさん、こんにちは。

    心理カウンセリング空の関口です。

    みなさんはゴミを捨てるとき、ご家庭で「燃えるゴミ」「燃えないゴミ」「ペットボトル」などを分けていると思います。

    では、なぜゴミを分けて捨てる必要があるのでしょうか?

    ゴミを分けて捨ることと悩みを解決することは、実は同じようなものです。

    今日は「事実と感情を分別すること」について書いていきます。

    目次
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    ゴミを分別する理由

    ゴミを捨てるとき「燃えるゴミ」「燃えないゴミ」「ビン・カン」などに分別して捨てていると思います。

    では、なぜゴミを分別して捨てるのでしょうか。

    それは、その後のゴミ処理を楽にするためです。

    ひとりひとりがゴミを捨てるときに、その都度分別することで、収集場ではゴミをまとめて処理することができきます。

    悩みは「事実」と「感情」が絡まった状態

    悩みとは、心が思い煩うこと。心の苦しみのこと。

    人間関係の悩み、人生の悩み、自分のことでの悩み、人の数だけ悩みがありますが、どんな悩みにも必ず共通しているひとつのパターンがあります。

    それが、心の中で「事実」と「感情」が絡まっている状態になっていることです。

    心が思い煩うのはそのためです。

    心の中で事実と感情が絡まっていることが悩みであるならば、事実と感情を分別して考えることで、悩みごとの感じ方が変っていきます。

    まずは、悩みを事実と感情に分別する事例をご紹介します。

    事例1 ~人間関係にあるパターン~

    人間関係を事例にして、事実と感情を分別していきます。

    例えば、AさんはBさんが大嫌いという事例。

    AさんはBさんのことが大嫌いだから、Bさんに会う度に嫌な気持になったり落ち込んだり、Bさんと会わないようにしようとします。

    このとき、Aさんの心の中ではBさんの存在が悩みの種となります。

    さて、このような事例のときAさんの悩みの問題点はどこにあるでしょうか?

    Aさんに問題があるのでしょうか?

    それともBさんに問題があるのでしょうか?

    Aさんの心の中で「事実」と「感情」が絡まると、AさんはBさんに問題があると捉えてしまいます。

    すると、Aさんは周りの人にBさんの悪口を言ったり、Bさんがいるから私が辛いという被害的な考え方になり、AさんはBさんから逃げるか、Bさんの問題をAさんの価値観で正そうとしてしまいます。

    このような人間関係の悩みのとき、まずは事実と感情を分別して考えてみます。

    事実:Bさんという人がいる

    感情:Bさんという人を見て私が嫌な気持ちになる。

    まず、事実とはBさんがいるです。

    Aさんが見てもCさんが見てもDさんが見ても、Bさんがいるという同じ答え(事実)があるだけで、そこに好き嫌いの感情は存在しません。

    好き嫌いの感情が存在するのは、それを見た人の心の中だけです。

    事実:Bさんという人がいる

    Aさんの感情:私はBさんは嫌いだ

    Cさんの感情:私はBさんは好きだ

    Dさんの感情:私はBさんのことはなんとも思わない

    Bさんを嫌いだと感じるのはAさんの心にあり、AさんがBさんを嫌いなのは、Bさんの問題ではなくAさんの心の感じかたの問題です。

    だから、変えるべきものはBさんではなく、Aさんの心の感じかたになります。

    事例2 ~うつ状態のパターン~

    もうひとつの事例として、うつ状態による自己否定のことをあげてみます。

    心がうつ状態に陥ると、真面目な人ほどうつ状態の自分の心を認めることができなくなり、うつ状態になればなるほど自分はダメだと感じてしまいます。

    でも、自分はダメだと感じるまえに事実と感情を分別してみましょう。

    事実 うつ状態になる(自分の気分が落ち込む)

    感情 自分はダメだ(気分が落ち込む自分はダメだ)

    まず、事実は「自分の気分は落ち込むときがある」です。

    お天気と同じように、人の気分も晴れのときもあれば曇りのときもあるものです。

    だから、自分の気分の変化に、良いも悪いもありません。

    しかし、うつ状態に対して自分がダメだと感情を絡めて考えてしまうと、自分の気分が落ち込んだときに「ほら、やっぱり自分はうつなんだ」「自分はダメなのだと」強く感じてしまいます。

    そして、自分がダメだと感じてしまうから、気分はますます落ち込み、結果としてうつ状態が長く続いてしまうのです。

    でも、問題の本質は、自分の心がうつ状態になる事実にあるのではなく、うつ状態になった自分のことを、「ダメな自分」と感じてしまう感じかたにあるのです。

    変えることが・できるもの・できないもの

    神よ、変えることのできるものについて、それを変えるだけの勇気をわれらに与えたまえ。

    変えることのできないものについては、それを受けいれるだけの冷静さを与えたまえ。

    そして、変えることのできるものと、変えることのできないものとを、識別する知恵を与えたまえ。

    ~ニーバーの祈りより~

    事実と感情を分別することで見えてくるものは、自分で「変えることができるもの」と「変えることができないもの」です。

    上記の例では、AさんはBさんを変えることはできません。

    自分がうつ病になったという過去の事実を変えることはできません。

    変えることができるのは、起きた事実に対しての「いまの自分の感じかた」のみです。

    事実とは、自分で変えることができないもの

    感情とは、自分で変えることができるもの

    分別をする本当の意味

    【分別とは】

    ・種類によって分けること。区別すること。

    ・道理をよくわきまえていること。

    ゴミを分別する目的は、その後のゴミの処理をスムーズにすることです。

    悩みを事実と感情を分別する目的は、自然界の道理をよくわきまえることです。

    道理とは物事の正しい筋道です。

    変えられないことを変えようとすると道理に反することになり、変えることができないことを一生懸命に変えようとすると疲れてしまいます。

    例えば、Bさんを変えたいと思えば人間関係に悩むことになり、うつ病になった過去を変えようとすると、人生を後悔することになります。

    事実と感情を分別するときに大事なことは、起きた事実をしっかりと受け入れ、そのときに感じた自分の感情を理解し、必要であれば事実に対して自分の感じかたを変えていくことです。

    感じ方を変えるためには、まずは「いまの感情」を理解する

    感情を理解する、感じかたを変えていくといきなりいわれてもピンとはこないと思います。

    なぜならば、人間にとっての感情とは、瞬時に自分の心の中で涌き起こるものだからです。

    自然界において、無から有がうまれることはありません。

    起きた結果には必ず原因があります。

    実は、私達の心の中に涌き起こる感情(結果)にも、心の中にひとつの原因があります。

    自分の感じ方を変えるためには心の中の原因を知る必要があります。

    そして、心の中にある原因を知るために、起きた事実に対して感じた「感情」を理解することです。

    感じる情報と書いて感情なのです。

    まとめ

    絡まった1本の紐を解くためには、絡まったところをひとつひとつ紐解いていくことです。

    悩みとは、事実と思考と感情が絡まったようなものです。

    もし、なにか悩みごとを抱えてしまったとき、いきなりその答えを見つけようするのではなく、まずは「この悩みの事実と感情はどんなことだろう?」と自分の心に問いかけてみてください。

    そうすることで、悩みの見え方が少し変ってくると思います。

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