みなさん、こんにちは。
心理カウンセリング空の関口です。
心理カウンセリングでは、様々な方の悩みごとを聞きます。
人それぞれの人生が違うように、それぞれの悩みごとも違います。
ある人は夫婦関係で悩み、ある人は生き方に悩み、ある人は職場での人間関係に悩みます。
1人ひとりの悩みごとは違うのですが、心理カウンセリングに来られる方にはひとつの共通項があります。
それは、「想像力」がとても豊かなことです。
「想像力」がとても豊かだから、未来に不安を感じてしまったり、過去を後悔してしまったり、相手の心の内を思い込んでしまったりして、悩みを抱えてしまいます。
では、なぜ人間に想像力が備わってしまったのでしょうか?
今日は「想像力」について書いていきます。
想像力とは?
今回も言葉の定義からはじめましょう。
想像とは
実際には経験していない事柄などを推し量ること。また、現実には存在しない事柄を心の中に思い描くこと。
~大辞泉より引用~
想像力とは
想像する能力や心の働き
~大辞泉より引用~
このブログでは、想像力とは「現実には実在していない事柄を心の中に思い描く能力」と定義します。
悩みや不安を抱えてしまう人は「想像力」がとても豊かな人です。
道ばたに「悩み」が落ちているところを見たことがありますか?、職場の中で人間関係の「ストレス」が飛び交っているのを見たことがありますか?、悩みや問題、不安と後悔、人間関係のストレスは現実には実在していません。
それらすべては「その人の心の中に思い描かれているもの」で、想像力が豊かな人ほど、悩みは深くなる傾向性にあります。
想像力について「想像力の輪」の図解を使いながら考えていきましょう。
想像力が豊かな人が悩みを抱える理由
想像力が豊かな人は、悩みが深くなる傾向性があります。逆に、想像力が乏しい人は、悩みをあまり抱えません。人間以外の動物になると、悩みを抱えることすらできません。
想像力を図解で表すと下図のようなイメージになります。
図表の中心の円が「想像力」の幅です。横軸は時間軸となり右側「未来」から「今」をとおり「過去」へ変化をし、縦軸は感情軸となり上側「プラス」から「マイナス」へと変化をします。
図表の〇が起こりうる(起こった)出来事・物事を表し、〇の大きさが感情のインパクト(衝撃)度合いを表します。上記の図であれば、未来に3つの楽しみと、2つの不安、過去に2つの良い思い出と、2つの悪い思い出を表します。
想像力が豊かな人が悩みを抱えてしまう理由は、想像できる範囲が広く、しかもプラス側の出来事よりもマイナス側の出来事を想像してしまうからです。
この図解を使いながら、想像力の差について考えてみましょう。
猫の想像力
人間の脳には前頭葉(想像性を司る器官)があります。前頭葉は自然界の中で人間にだけ備わった能力であり、犬や猫などの動物にはありません。
前頭葉がなければ、過去を振り返ることも、未来を思い描くこともできません。
過去を後悔している犬や夢を描いてワクワクしている猫を見たことがないのは、彼らには「想像力」が備わっていないからです。
動物が想像できる範囲は「いまこの瞬間」です。猫はいまこの瞬間だけしか想像できないから、マイナスの悩みや不安を抱えることも、過去を後悔することもありません。
しかし、その反面、猫には未来に夢や希望を持つこと、過去に良き思い出を持つ事もありません。
空気が読めない人の想像力
みなさんの周りに空気を読めない人はいませんか?、そういう人が周りに気を使うことができないのは、「想像力の輪」がとても狭いからです。
「想像力の輪」が狭い人の特徴として、「自分」と「今」のことしか考えようとしません。その結果として、周りの空気が読めなくなります。
また、「想像力の輪」がとても狭いため、悩みを抱えることが少ないですが、その一方で、先を見越した計画ができず、起きた出来事に対して、感情の赴くまま場当たり的に対処をしてしまいます。
過去を後悔している人の想像力
過去を後悔している人は、マイナスでインパクトが大きい過去の出来事に想像力を使っています。
人間の記憶は、プラスの出来事よりも、マイナスでインパクトが大きい出来事の方が記憶に残ります。
例えば、3日前の晩ご飯を覚えていませんが2011年3月11日に何をしていたのか? は誰もが覚えているものです。
この記憶の仕組みは、マイナスのインパクトが大きい出来事を記憶することで、これからの生存を維持しようとする本能的なものです。
この記憶の仕組みを理解しておかないと、人は過去のマイナスの出来事のみに想像力を使い後悔をはじめます。
将来が不安の人の想像力
みなさんは、3年後の自分に不安はありますか? 1年後ではどうですか? 3ヶ月後、1ヶ月後、1週間後ではどうですか、明日、6時間後、1分後の自分に不安はありますか?
不安は、未来の出来事をマイナス側に想像したときに感じられるものです。また、時間軸の先(未来)の事を想像すればするほど不安が大きく、今に近づけば不安が小さくなります。
不安とは、「今」にあるものではなく、「未来のマイナス側」の想像の中にあるものなのです。
人間関係にストレスを抱える人の想像力
人間関係のストレスも「想像力」からうまれます。
例えば、仕事のミスで上司にAさんとBさんが怒られたとき、Aさんは「なんて失敗をしてしまったのだ・・・もう上司には期待されない・・・」と落ち込みました。一方Bさんは「あの上司はうるさい奴だ!」と受け流しました。
では、AさんとBさん、どちらの方がストレス度合いが大きいでしょうか? 答えはAさんですよね。
上司に怒られたという事実はひとつなのに、AさんとBさんにかかるストレス度合いが違うのは、AさんとBさんの「想像力」の差なのです。
Aさんは、「上司に怒られた」事実を、想像の輪のマイナス側に置いてしまい、ストレスが大きくなります。
一方、Bさんは「上司の怒られた」事実を、想像の輪の外に置いたため、すぐに過去の出来事として受け流すことができます。
1人ひとり「想像力の輪」の大きさは異なります。
AさんからBさんを見ると「なぜ、あんなに上司に怒られたのに、Bさんは落ち込まないのだろう?」と思い、Bさんは「なぜ、あれくらいのことで、Aさんは落ち込んでいるのだろう?」と思います。
人間関係において、事実や相手の心をマイナス側に置いてしまうと、疑心暗鬼に陥り悩みが深くなりストレスを抱えてしまいます。
「マイナス」を「プラス」に変える想像力の活かし方
悩みを抱える人は「想像力」がとても豊かな人です。
ただ、想像力がマイナス側に広がってしまうので、悩みや不安を抱えてしまうのです。
悩みや不安を抱えてしまったとき「猫のように生きられたら人生は楽だろうに・・・」と思ったり、単に楽観的な人を見て「あの人のような性格であったら、人生は楽しいだろうに・・・」と思ったりします。
確かに、「想像力」を狭め、猫のように何も感じず・何も気にせず・何も考えなければ、「苦しい」ことも「悲しい」こともなくなり、人生は楽(らく)だと思います。
しかし、その反面何も感じず・気にせず・考えなければ、「うれしい」ことも「楽しい」ことも一緒になくなります。
それが本当に楽しい人生なのでしょうか?
悩みや不安、ストレスなどを抱えてしまったときに大事なことは、「想像力」を狭めて悩みや不安を見えなくするのではなく、「想像力」を活かし「マイナス」のことを「プラス」に変えられるように考え行動を起こすことです。そうすることで、「想像力の輪」はプラス側にも広がりはじめます。
では、「マイナス」のことを「プラス」に変えるにはどのようにすればいいのでしょうか?
不安・後悔・人間関係のマイナスをプラスに変えるワークをご紹介します。
不安を過去のプラスに変える
みなさんは、どんなことに不安を抱えていますか?
これからの人生のこと、明日のプレゼンのこと、子どもの将来のこと、大震災が起こるかも・・・、誰の心にも色々な不安があると思います。
もう一つ質問です。
みなさんは「明日宇宙人が地球に攻めてくること」に不安を感じますか?、「明日の朝、太陽が上がってこないかも・・・」と不安に感じることはありますか?
自分が想像できないようなことに不安を感じることはありません。逆に言えば、自分がマイナス側に想像できることが不安なのです。
では、なぜ未来をマイナス側に想像してしまうのでしょうか?
それは、心の中で「こうありたい」というプラスの理想像があるからです。
例えば、明日のプレゼンの事が不安なのは、プレゼンを成功させたいと思っているからではないでしょうか。
子どもの将来のことが不安なのは、「子どもに元気に成長してほしい」と思っているからではないでしょうか。
不安とは理想の影の側面です。
不安に怯えるのではなく、不安が理想に変わるように考え行動していくことでしか、不安は解消されません。
もし、明日のプレゼンが不安であれば、事前に練習をしたり、資料を見返したり、上司や同僚に意見をもらうなど、出来ることがありますよね。
不安を解消する簡単なワークをご紹介します。
- 不安に感じていることをすべて付箋紙に書き出す
- 付箋に書いた不安を、いつ起こるのか考え時系列に並ばせる
- 近日中に起こりうる不安から、いまの自分にできることがないか? を考える
- できることを実行に移す。
例えば、この先大震災が起こるかも? という不安の場合、地震をとめることはできませんが、地震が起きても大丈夫なように、食料などを備えておくことはできます。
このワークの目的は、「心の中の漠然とした不安を整理し、不安を解消するための行動を起こす」ことです。
不安を洗い出し行動を起すことで、そのことで失敗する可能性は低くなり、無事に終われば、過去の良き思い出になります。
不安を放置してそのことで失敗をすれば後悔を感じます。
しかし、不安に備えやるべきことをやって失敗をしても、後悔は感じないものです。
後悔を未来のプラスに変える
「あのときこうしておけば・・・」誰にでも後悔したくなる出来事はあります。
もしタイムマシンがあり「あのとき」に戻れたら、本当に後悔しない人生を過ごせるのでしょうか?
恐らく、「あのとき」に戻れたとしてもいまと同じようなことで後悔をすることでしょう。
いま自分が幸せで、すべてが思いどおりの人生であれば、わざわざ後悔はしません。
後悔をしたくなるときは必ず「今が思いどおりになっていない」ときです。
後悔とは、いま思いどおりになっていない(結果)を、過去の出来事のせい(原因)にする心の状態です。
残念ながら、人は過去に起きた事実を変えることができません。
私もうつ病になったという過去の事実を変えることができません。
しかし、その事実の意味を変えることができるのが人間です。
私がうつ病を患ったとき「なんでうつ病なんかに・・・」と自分を否定し続けました。
しかし、今振り返ると「うつ病を患ったおかげで」と思えるようになりました。
うつ病を患った事実は変えることができませんが、時間と共にその意味を変えることができるのが「想像力」です。
私のうつ病時の後悔を事例として、後悔をプラスに変える簡単なワークを、ご紹介します。
- 後悔をしたいターニングポイントを紙に書き出す
例:うつ病になってしまった - ターニングポイントで違う選択をしていたら、どのような人生になっていたのか? を書き出す。
例:うつ病にならず、元気に仕事をしていた - 上記で書き出された人生と今の人生の【差】を書き出す考
例:差は、元気に仕事をしているかどうか - ターニングポイントから学べることがあるとすれば、それはなにかを書き出す?
例:ギリギリまで自分を追い込まない。言うべき意見はハッキリと言う - 今の人生で、その差を解消するために、これから何ができるか書き出す?
例:とりあえず、小さな仕事をやってみる。必要なときには意見を言う。
このワークの目的は「後悔したい過去の出来事を振り返り、そこから学び、未来に活かすことです」
人によっては、過去の辛い出来事を振り返りたくないと思われることでしょう。
もちろん、無理に過去を振り返る必要はありません。ただ、変えられない過去に囚われ、今を否定する生き方は、どこか苦しく感じるものです。
過去をただ後悔するのではなく、過去に起きた事実を認め受け入れ、その出来事(過去)から学ぶ姿勢をもつことで、未来への不安が減少し、心は前を向きはじめるものです。
人間関係のストレスから関係性を改善する
人間関係において、相手のことを想うことはとても大切なことです。
お互いがお互いのために想い合えればプラスの関係性になるのですが、一方が相手をマイナス側に思いはじめると疑心暗鬼の状態に陥ります。
例えば、先ほどのAさんは上司に怒られたことに対して「上司に期待されていない」と疑心暗鬼に陥りました。
そして、Aさんの心の中でマイナスの想像が大きくなり、上司がたまたまCさんに仕事を依頼する光景を見て、Aさんは「やっぱり自分は期待されていないんだ・・・」と勝手に思いはじめ、やがて「もう、こんな会社はいられない」と会社を退職してしまいます。
人間関係においてストレスを感じるときは、事実と印象を別けて考えることです。
先ほどのAさん事例として、簡単なワークをご紹介します。
- 事実と印象を別けて考える。
例)
【事実】
・仕事でミスをした
・上司に怒られた【印象】
・もう、上司から期待をされいないかも・・・ - 次に、事実からその印象を受けた理由を考える。
Bさんは上司に怒られても「うるさい上司だ!」と印象を受けましたが、Aさんは「もう、期待されないかも」と印象を受けました。この印象の違いは、仕事をミスする前にAさんの心の中で「上司に期待されていたい」という思いがあったからです。 - 「上司に期待される」ために今から何が出来るか考え実行に移す。
例えば、再度上司に謝罪をする、同じようなミスをしないように対策を打つなど、必ず自分ができることがありますので、まずはそれをやってみます。
このワークの目的は、人間関係のストレスを漠然と受けるのではなく、事実と印象を明確にしたうえで、その関係性の中で自分に改善できることがあればやってみることです。
ただし、人間関係においては相手がいることですので、Aさんが色々やってみても、相手が変わらないときがあります。
その場合は、Aさんの「上司から期待されていたい」という思いの方を調整する必要があります。
人間関係のストレスを漠然と受け続けると、相手を変えるか、相手から逃げるかの2択しかありません。
しかし、自らが相手との関係性のなかで、事実と印象を明確にしたうえで、自分から言動アを変えてみることです。
言動が変われば、相手との関係性も必然的に変わっていきます。
まとめ
「想像力」について書いてきましたが、いかがでしたでしょうか。
人間は「想像力」を持っているから、人生に「嬉しいこと」や「楽しいこと」がある反面、「苦しいこと」や「悲しいこと」もあります。
お釈迦様は「人生は苦」であると言ったそうです。
では、なぜ「人生は苦」なのでしょうか。この解釈は1人ひとり違うでしょうが、私は人生に「苦」があるからこそ、人は「想像力」を発揮できるのだと思います。
もし、私達が何も想像せずに生きられるのであれば、前頭葉という器官は不要です。
しかし、この自然界には必要な物が必要なところに備わっています。
そう考えると人間は前頭葉を使うこと、すなわち1人ひとりが「創造」することを求められているのではないでしょうか。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
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