みなさん、こんにちは。
カウンセリング空の関口です。
秋から冬へと移り変わるこの時期。今年も田んぼでお世話になった合鴨を締めました。
無農薬のお米をつくるために、田んぼで合鴨に働いてもらい、最後はその合鴨を鴨肉として食べてしまいます。
とっても人間の自分勝手で合鴨がかわいそうで残酷ですよね。
でも、「残酷」で「かわいそう」とひと言で言うのは簡単だけど、僕もあなたも「いのち」を食べて生きています。
生きるとはどんなことでしょう?いのちとは何でしょうか?合鴨を締めるときに毎年問われるテーマです。
今日は合鴨を締める作業をとおして「いのち」について考えてみます。
メッセージを伝えるために、ある程度の作業工程の写真を載せますので、「これ以上見たくない」と思う人は、このBlogを閉じてください。
合鴨のいのちが、鴨肉に変わるまで
今年お世話になった合鴨を鶏舎から捕まえてきました。
こちらの殺気が伝わるのでしょうか。合鴨は妙に神妙です。
合鴨の羽をとれやすくするため、75℃のお湯を沸かします。
お湯が沸くまでの間、合鴨の頸動脈を切り血抜きをします。
頸動脈を切られても合鴨は、体を強張らせながら最後の最後まで「生きよう!」と抵抗します。
そして、あるタイミングでフッと体の緊張がほぐれます。動物が物になる瞬間、いのちが途切れた瞬間です。
合鴨の体は水鳥のため羽に脂分を含んでおり、この状態ではきれいに羽がとれません。
血が抜けた合鴨の体を、50℃ほどのぬるま湯でゴシゴシ洗い、羽の脂分をとります。
脂分をしっかりと落としてから75℃のお湯に2分間入れます。
お湯に入れることで合鴨の毛穴を広げて羽をとれやすくします。
合鴨の毛穴が開いたら、合鴨の羽をとっていきます。
合鴨は細かな羽がありますので、手作業できれいにとっていきます。
だいぶ見慣れた「お肉」らしくなってきました。
次の手作業で合鴨の体を裁いていきます。もも肉・むね肉・ささみと。
ここの過程を経ることで、ようやくいつも見る「お肉」になりました。
でも、このお肉は数時間前までは合鴨として生きていた一部です。
私達が食べることとはどんな意味なのでしょうか?
いのち は いのち のうえに生かされている
合鴨農法の目的はヒエ(雑草)の抑制です。合鴨が田んぼ内を動き回ることで水が濁りヒエの発芽を抑えます。
田植えを終えた後、稲の根が落ち着いてから、田んぼに合鴨の雛を放します。
この頃の合鴨は「ひよこ」でかわいいです。
稲の生長と共に、合鴨も少しずつ成長をしていきます。
8月中旬、稲に穂がつきはじめました。
夏のヒエとり(草取り)はとても大変な作業ですが、合鴨のおかげでヒエを抑えられました。
しかし、穂がついたら合鴨の仕事は終わりです。合鴨が穂を食べてしまうからです。
この頃、合鴨も立派な体つきになります。
そして11月、今年の新米が食べられるころ、
3ヶ月ほどを鶏舎で過ごした合鴨は「お肉」となりました。
私達は毎日何を食べているのでしょうか?
スーパーに並ぶ食材はどんなものからきているのでしょうか?
私達は、鉱石を食べません。
老衰で死んだ動物の肉も、枯れた野菜を食べません。
私達は必ず【いのち ある いのち】をいただいています。
お米にしてもお肉にしても野菜にしても、元をたどると必ず他の【いのち】にたどりつきます。
では、なぜ私達は他の【いのち】しか食べられないのでしょうか?
それは、自分の いのち を生かし続けるためです。
そう考えると、自分の いのち は 自分ひとりだけの いのち ではありません。
自分の いのち は他の多くの いのち のうえに生かされています。
人生はではいろいろなことが起きます。
思いどおりにならないこと、心が傷つき苦しいと感じること、ときにはもう「死んでしまいたい」と思うことも起きます
でも、そういうときに少し考えてほしいと思います。
いままで生きてきた、この自分の いのち は、自分ひとりのものだけではいことに。
「おぎゃー」とこの世に誕生してから、いままで生きてこられたのは、多くの いのち を食べてきたことに。
頸動脈を切られても合鴨は最後の最後まで「生きよう!」としました。
それを食べている私達が「死んでしまいたい」と思っていたのでは、合鴨にとても失礼です。
それが本当の意味で「かわいそう」なことです。
合鴨農法は「かわいそう」とひと言で表すのではなく、今日も食べるいのちに「いただきます」と心から感謝をしてみてください。
今日「いただきます」と言うときに、その食材に宿っていた いのち に思いを馳せてみてください。
きっと、自然と感謝の気持ちがあらわれ、いただく いのち の分まで、今日も生きようという気持ちになれると思います。
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コメント
コメント一覧 (6件)
自分のいのちを生かし続けるために、他のいのちを頂く という趣旨でした。
必要なたんぱく質摂取は、アイガモを殺さなくてもできるのに、あえてアイガモを殺す理由がありましたら、教えてほしいです。
ご質問ありがとうございます。
合鴨農法を終えた年に、合鴨を絞めるのは主に以下3つの理由です。
・飼料の問題
・飼育場所の問題
・飼育管理の問題
合鴨の寿命は10年~20年です。
合鴨農法では生後1年目の合鴨に活躍してもらいます。
田んぼでの役割を終えた後、本来であれば、合鴨の寿命まで適切な環境で飼育できればいいのですが、実際には10年以上、合鴨を飼育管理することはできません。
そのため、その年の役目を終えた合鴨は、私たちの「いのち」のエネルギーとしていただいておりました。
無農薬でコメを作る為に合鴨に助けてもらいながら、寿命まで飼育できないからいのちをいただてしまう、人間の都合でしかありません。
私たちが毎日食べる肉や魚も私達の都合でいのちを絶たれています。食べているものの「いのち」を実感して「いただきます」を大切にしたいなと、合鴨農法をとおして実感したことでした。
以上、ご参考まで。
コメントありがとうございました。
丁寧な返答、ありがとうございます。
動物「使い捨て」の印象が強いので、アイガモロボットの普及により、従来のアイガモ農法が衰退することを、願わざるを得ません。
ありがとうございました。
私も新井さんの考えに共感しました。
コメントありがとうございます。
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