議論の目的を忘れていませんか?――「正しさ」よりも大切な、心のつながりについて

    カウンセリングSORAの関口です。

    空を覆う厚い雲の向こうには、いつも変わらない青空が広がっています。 悩みや迷いの中にいるときは、どうしてもその青空を忘れてしまいがちですが、思考と心を整えることで、必ずまた光は見えてきます。

    私はこれまでの人生や、多くの方々との対話を通じて、「人生をより良く生きるためには、人としての在り方を学ぶことが大切だ」と実感してきました。 人としての生き方を知ることは、暗闇の中に一筋の道を見出すヒントになるからです。

    今日も、イソップ寓話の智慧を借りて、私たちの日常について一緒に考えてみましょう。

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    今日の言葉:イソップ寓話より

    223)お産の軽さを競う豚と犬
    豚と犬がお産の軽さのことで言い争った。四つ足動物の中で、あっという間にお産を済ませるのは自分だけだと犬が言えば、豚が遮って言うには、「そんなことを言うが、目の見えぬ仔を生むじゃないか」 物事は速さではなく完成度で判断される、ということをこの話は説き明かしている。
    (引用元:『イソップ寓話集』中務哲朗 訳、岩波文庫)

    それは何のための「話し合い」だったのでしょうか?

    この寓話では、犬と豚が「お産の軽さ」について言い争っています。 犬は「早さ」を誇り、豚は「生まれた子の状態(完成度)」を持ち出して反論しました。

    本来の議題は「お産の軽さ(=お産の楽さ、早さ)」だったはずです。 しかし、話の途中で論点がすり替わり、最終的には相手を負かすための「批判」へと変わってしまっています。

    これと同じようなことが、私たちの日常でもよく起こっていないでしょうか。

    たとえば、家族や職場で何かを話し合っているとき。 最初は「より良い生活のため」「仕事を円滑に進めるため」という目的があったはずなのに、気づけば「どちらが正しいか」「いかに相手が間違っているか」を証明する戦いにすり替わってしまうことがあります。

    「正しさ」の陰に隠れた、本当の気持ち

    議論がグダグダになったり、後味が悪くなったりするとき。 それは、私たちが「目的」を見失い、自分のプライドや「認められたい」という承認欲求に飲み込まれているサインかもしれません。

    かつて、私自身もうつを経験し、人間関係に悩んだ時期がありました。 その頃の私は、相手を論破することで自分を保とうとしていたのかもしれません。 でも、論理で勝っても、心は少しも軽くはなりませんでした。

    急いで答えを出そうと(早く産もうと)するのではなく、目的を持ってじっくりと自分と相手の心と向き合う。 そのプロセスこそが、この寓話の言う「完成度」、つまり「納得感のある生き方」へと繋がっていくのだと感じました。

    今日の問いかけ

    「最近、誰かと意見がぶつかったとき、あなたは『勝ち』にいこうとしていませんでしたか?」

    もし、話し合いの途中でイライラしたり、相手を責めたくなったりしたら、一度立ち止まって自分に問いかけてみてください。

    「この話し合いの、本来の目的は何だっただろう?」 「私は、本当は相手とどういう関係になりたかったんだろう?」

    議論の目的が「わかりあうこと」だったと気づければ、言葉選びも、心の温度も、少しずつ変わっていくはずです。

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