心田開発|自分の心を耕そう

みなさん、こんにちは。

心理カウンセリング空の関口です。

食欲の秋ですね。秋はいろいろなものが収穫される季節。

みなさんの周りにある田んぼも黄金色に輝いているのではないでしょうか。

以前、私は心理学の勉強をしながら有機農家で手伝いをしていました。有機農業は自然の仕組みを理解し調和を図りながら「自然の恵み」を得ていく手法です。

心理学と有機農業を同時に勉強していたとき、「自然の仕組みと心の仕組み」は非常に似ていると感じました。

農家で手伝いをしながら「心」と「自然」の共通点はなにか?と模索していたときに、前回のブログでご紹介した「二宮尊徳(二宮金次郎)」の思想に出会いました。

二宮尊徳の有名な言葉に「心田開発」というものがあります。

「心田開発」とは、人間の心も田畑のように耕さないと、新しい芽は育たないという考え方です。

悩みや問題を抱えてしまったときや人生が行き詰まってしまったとき、早く解決したいと思うばかりに、心にいろいろな種を蒔こうとしてしまいます。

心が焦り続けると、いきなり実りを得ようと無理をしてしまいます。

しかし、心がかたくなになっているときに、種を蒔いても実りを得ようとしても、恵みを得ることはできないばかりか、さらに心はかたくなになっていきます。

今回も内村鑑三著の「代表的日本人」を参考にしながら、二宮尊徳の「心田開発」について考えていきたいと思います。

目次
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心田開発とは?

まず、二宮尊徳についておさらいしましょう。

二宮金次郎は通称で、本名は二宮尊徳。

二宮尊徳[1787~1856]

江戸後期の農政家・思想家。相模の人。

通称、金次郎。農家に生まれ、没落した家を再興。のち、諸藩・諸村の復興に尽力、幕臣となった。

徹底した実践主義者で、その思想・行動は報徳社運動として受け継がれた。

~デジタル大辞泉より引用~

金次郎は貧しい農家の出身でありながら「大学」などの儒教を学び、それを実践し小さな地主となる。

その後、小田原藩主に手腕を認められ90カ所以上の荒廃した村を復興させていくのですが、二宮尊徳が最初に改革を行った村の話が代表的日本人で紹介されています。

その村は、田畑が荒廃し、村人の心も荒んでいる状態でした。小田原藩が税金を使い何度も立て直そうとしたのですが、村も村人の心も荒廃したままでした。

そこで、小田原藩主が二宮尊徳に村を立て直すように依頼しました。

尊徳は村を調査し、村を立て直すためのプランを小田原藩主に報告しました。

仁術さえ施せば、この貧しい人々に平和で豊かな暮らしを取り戻すことができます。

~中略~

金銭を下付したり、税を免除する方法では、この困窮を救えないでしょう。

まことに救済する秘訣は、彼らに与える金銭的援助をことごとく断ち切ることです。

かような援助は、貧欲と怠け癖を引き起こし、しばしば人々の間に争いを起こすもとです。

荒地は荒地自身のもつ資力によって開発されなければならず、貧困は自分で立ち直らせなくてはなりません。

内村鑑三著「代表的日本人」より引用

仁術(じんじゅつ)とは「仁徳を他に施す方法」のことで、仁徳とは「他人に対する思いやりの心」のことです。

尊徳の立て直しプランは、荒廃した心を立て直すために、金銭的な援助ではなく、村人に思いやりの心を持って接すること。そして、本人のもつ資力によって荒れた心を開発し、村の自立をさせていくものでした。

その後、尊徳はその村で陣頭指揮をとり、10年後に村は自立しました。

これが「心田開発」の考え方です。

なぜ、田畑を耕す必要があるのか?

田畑に種を蒔くとき、その前に土を耕しやわらかくします。

では、なぜ種を蒔く前に、土をやわらかくする必要性があるのでしょうか?

理由は、土の中に新鮮な空気を入れること、土の中の微生物を活性化させること、作物の根を張りやすくさせることなどです。

かたくしまった土に種を蒔いても芽は出ますが、発芽率は低下します。

仮に芽が出たとしても、その作物は硬い土の中で根を張るのにエネルギーを消費して、芽を出すまでに挫折してしまうかもしれません。

種を蒔くときに田畑を耕すのは、小さな種の発芽を促し、小さな種から恵みを得られるようにするため。米作りに例えるならば、春に田を耕すのは、春に蒔く1粒の米を秋に1000粒の米に増やすためです。

最初にも書きましたが「人間の心と自然の仕組み」はよく似ています。

私たちの心もかたくなになっているときに、新しい種を蒔いても新しい芽はでないものです。また、仮に芽が出たとしても、途中で挫折してしまう可能性が大きいです。

「何かを変えていきたい」と思ったときは、焦って新しい種を蒔くのではなく、まずは自分の心をやわらかく耕すことが最初の1歩です。

心田開発|自分の心を耕そう

二宮尊徳は「荒地は荒地自身のもつ資力によって開発されなければならず、自分で立ち直らせなくてはならない」と言っています。

それは、金銭的援助は貧欲と怠け癖を引き起こし、しばしば人々の間に争いを起こすから。依存的援助は自立するきっかけとその人らしさを奪うからです。

よって、かたくなになった自分の心をやわらかくするのは、自分にしかできません。

では、自分の心を自分で耕しやわらかくするためには、具体的にどうすればいいのでしょうか?

「荒地は荒地自身のもつ資力によって開発されなければならず」

かたくなになった心を耕すには、自分がどう感じ、どう考えているのか?などの自己対話をとおして、自分の本当の気持ちを理解していくことです。

自分の本当の気持ちが理解できたとき、心はやわらかくなっていきます。

心がやわらかくなってから、未来に向けて新しい種を蒔くことで、はじめて小さな芽がでます。

その小さな芽を大事に育てていくことで、やがて花が咲き、実りを迎え、その恵みをいただき、また新しい種が落ちます。

そうやって、自分の心も育てていくことで、豊かな心に変わります。

心が変われば、見え方が変わり、感じ方が変わり、世界が変わります。

自分自身の心にも思いやりをもちながら、自分の本当の気持ちを見つけていきましょう。

まとめ

悩みや問題を抱えてしまったときや人生が行き詰まってしまったとき、早く解決したいと思うばかりに、心にいろいろな種を蒔こうとしてしまいます。

しかし、かたくなになった心に新しい種を蒔いても発芽率があ悪く、仮に芽が出たとしても、途中で挫折してしまう可能性が大きいです。

だから、「何かを変えていきたい」と思ったときは、焦って種を蒔くのではなく、まずは自分の心をやわらかく耕していきましょう。

心理カウンセリング空では、お客様の心がやわらくなり新しい種を蒔けるようになる、心理カウンセリングを心がけております。

ここまでお読みいただきありがとうございました。

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