
カウンセリングSORAの関口です。
これまでの自分自身の人生を振り返るとともに、多くの方々から寄せられた人生相談を思い返す中で、私は「人生をより良く生きるためには、人としての生き方を学ぶことが大切だ」と実感しています。
人としての生き方を知ることで、これから歩むべき道が少しずつ見えてくるからです。
そこで、みなさまの人生に少しでも役立つヒントをお届けできればと思い、人としての生き方に学べる書籍を引用しながらブログを綴っています。
しばらくの間は、「イソップ寓話」からの引用をもとに、生き方について一緒に考えていきたいと思います。
今日の言葉
イソップ寓話より引用
117)角を欲しがる駱駝(ラクダ)
駱駝が、角の自慢をする牛を見て羨ましくなって、自分も同じものを手に入れたいと思った。そこでゼウスの所へ出かけると、角を授けてほしいとお願いした。するとゼウスは、大きな体と強い力に満足せず、余分なものまで欲しがるとはもっての外、と立腹して、角をくっつけてやらなかったばかりか、耳の一部を取り去った。
このように多くの人は、欲が昂じて他人のものに目を使い、自分のものまで失うのに気がつかない。
【引用元:岩波文庫 イソップ寓話集 著 イソップ 翻訳 中務哲朗】
「ないもの」を求める前に、「あるもの」に気づこう
角を自慢する牛を見て、ラクダが本当に欲しかったのは「角」そのものではなく、それを「自慢すること」――つまり他人から認められたいという欲求だったのではないでしょうか。
ラクダにはもともと「大きな体」と「力強い足」という素晴らしい特徴が備わっていたのに、それに気づかず、ただ「自慢するため」に角を求めたことに対して、神は立腹したのでしょう。
私たちも、ラクダのように他人が自慢しているものや世間が称賛しているものを欲しがってしまうことがあります。
たとえば、テレビやネットで「今年はこれが流行」と紹介されると、それを持っていない自分が、どこか時代遅れで価値のない存在のように感じてしまうこともあります。
しかし、「自慢のためだけに何かを欲しがる」気持ちが強くなると、「それがない自分はダメだ」と錯覚し、やがてそんな自分を許せなくなり、自己を見失っていくのです。
だからこそ、自分にないものを欲しくなったときは、その欲求の源がどこにあるのかを見つめ直すことが大切です。
「これがないと自分はダメだ」と感じたときこそ、すでに自分が持っているものに目を向けてみることが必要です。
大切なのは、自己否定することではなく、今の自分を受け入れたうえで、これからの成長や変化を前向きに考えていくことです。
自己成長のために新たな能力や経験を求めることは素晴らしいことですが、他者からの賞賛を得るためだけに何かを求めるようになると、本来の目的を見失ってしまいます。
他人に認められることよりも、まず自分自身の価値に気づくこと。
それこそが、本当の意味での満足や充足感につながっていくのだと思います。
イソップ寓話『角を欲しがる駱駝』を読んで、このような気づきを得ました。
今日の問いかけ
「あなたがすでに持っている価値は、どんなことですか?」
自分の価値を見直すとき、その価値が社会や他者から認められるかどうかという判断基準は必要ありません。
あなた自身が「これが自分の価値だ」と感じられるものを見つけることが大切です。
きっと誰にでも、「自分にしかない価値」があるはずです。
そもそも社会とは、「人の価値と価値の交換」で成り立っているのですから。
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