
カウンセリングSORAの関口です。
これまでの自分自身の人生を振り返るとともに、多くの方々から寄せられた人生相談を思い返す中で、私は「人生をより良く生きるためには、人としての生き方を学ぶことが大切だ」と実感しています。
人としての生き方を知ることで、これから歩むべき道が少しずつ見えてくるからです。
そこで、みなさまの人生に少しでも役立つヒントをお届けできればと思い、人としての生き方に学べる書籍を引用しながらブログを綴っています。
しばらくの間は、「イソップ寓話」からの引用をもとに、生き方について一緒に考えていきたいと思います。
今日の言葉
イソップ寓話より引用
131)逃げた黒丸鳥
ある男が黒丸鳥を捕まえ、足に紐をくくりつけて子どもに与えた。
黒丸鳥は人間と一緒に暮らすのに耐えられず、一瞬放してもらった隙に逃げ出して巣に帰った。ところが、紐が小枝にからまり、飛び立つこともできず、いよいよ死にそうになって独り言して言うには、「ああ、情けない。人間の所で奴隷の生活を嫌がったばかりに、うかうかと命までも失うことになったとは」
さほどでもない危険から逃れようとして、もっと恐ろしい目に遭うような人に、この話は合うだろう。【引用元 岩波文庫 イソップ寓話集 著 イソップ 翻訳 中務哲朗】
外的要因vs内的要因|本質的な問題解決のヒントはここにある
黒丸鳥には、2つの問題がありました。
- 人間の子どもと一緒に暮らしている
- 足に紐をくくりつけられている
黒丸鳥は、子どもと暮らすことに耐えられず、ついに逃げ出しました。
この時点で、1つ目の問題は解決しました。
しかし、2つ目の「足にくくられた紐」はそのままで、結局それが原因で命を落としてしまいます。
この寓話は、人間社会にも通じるところがあると感じます。
たとえば、職場でパワハラ上司に悩まされているとき、問題は次の2つに分けて考えることができます。
- パワハラ上司がいる(外的要因)
- 上司の言動により、心が折れそうになっている(内的要因 例:心のクセ・思考パターンなど)
このような状況では、最も手っ取り早い解決策として「転職する」という方法があります。
転職によって、外的要因である上司の存在を取り除くことができるからです。
もちろん、これは決して悪い選択ではなく、心身を守るうえで必要な行動です。
しかし、実は2つ目の「心の在り方」という内面的な問題は、解決されないまま残っている可能性があります。
仮に転職先でも、同じようなパワハラ上司に出会ってしまったら、再び同じ問題に直面するかもしれません。
そうなると、本質的な問題は上司ではなく、「威圧的な人に対して心が折れそうになる」という、自分自身の内面にあるのかもしれないと気づく必要があります。
もしその本質に気づけたならば、「威圧的な人に対して、自分はどう振る舞えばよいのか」と学ぶ機会にもなるでしょう。
私たちが抱える問題の多くは、外的な要因と内的な要因が絡み合っているものです。
そして、多くの場合、外的な問題だけを解決すればすべてがうまくいくと思いがちですが、実は内面にこそ根本の原因があることも少なくありません。
だからこそ、両方の側面に目を向けることが、本当の意味での解決につながるのだと思います。
きっと、黒丸鳥も2つの問題の両方に気づけていれば、紐が解かれたときに逃げ出すという選択肢も見つけられたのかもしれません。
イソップ寓話「逃げた黒丸鳥」を読みながら、そんなことを感じました。
今日の問いかけ
「問題を抱えたときに、外的要因と内的要因を切り分けて考えていますか?」
私たちは問題を抱えたとき、多くの場合、外的要因をどうにかしようとします。
しかし、よく考えてみると、「これは問題だ」と認知しているのは自分自身です。
つまり、問題と認識してしまう“内的な要因”こそが、本質であることもあります。
だからこそ、「問題だ」と感じたときには、
「これは誰にとっての問題なのか?」
と、自分自身に問いかけてみることで、外的・内的要因を切り分けて考えることが大切だと思います。
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