自分は「正しい」という誤り

みなさん、こんにちは。

心理カウンセリング空の関口です。

私たちは日々色々な悩みを抱えます。

「これからの生き方」や「やる気がでない」など、人それぞれ悩みは様々ですが、その中で特に多い悩みが、心の距離が近い夫婦や親子間での「人間関係」です。

「夫婦」や「親子」の人間関係は、心の距離が近い関係性だからこそ「自分は正しい」よって「あなたが誤り」というコミュニケーションになってしまい、その結果、悩みが深くなり問題解決が難しくなります。

ところで、あなたが「正しい」と思っていることは、相手にとって本当に「正しい」ことなのでしょうか?

もしかしたら、あなたが「正しい」と思っていることは、ただの思い込みなのかもしれません。人間関係の問題を解決するためには、お互いの「正しさ」の違いを理解することからがはじまりです。

今日は「自分の考えは『正しい』という誤り」について書いていきます。

目次
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どちらが正しい?

■井戸水は「冷たい」か「あたたかい」か?

異なる地域に住む2人が「井戸水」の水温について会話をしました。

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A君
「井戸水は冷たくてきもちいいよね」
B君
「えっ?何言っているの?井戸水はあたたかいよね」
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A君
「はっ?井戸水は冷たいものだよ。お前の感覚がおかしいのでは?」
B君
「なに言っているの?、うちのお母さんも「井戸水はあたたかい」と言っているよ。逆にお前が変なんだよ」
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A君
・・・

■日本は「世界の中心」か「それとも東」か?

異なる国に住む2人が「日本」について会話をしました。

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A君
「日本は世界の真ん中にあるんだよ」
B君
「何言っているの?ヨーロッパこそが世界の中心だ。日本は東にある小さな国でしかない」
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A君
「確かに小さな国だけど、日本は世界の中心にある。学校の教科書の地図も日本が真ん中だった!」
B君
「・・・」

自分は「正しい」という誤り

上記のように、どちらが「正しく」てどちらが「誤り」なのかという会話は、職場でも家庭でもよくあります。

「正しさ」を主張する会話は、お互いに自分が「正しく」て相手が「誤り」という考えが基になっているため、どちらが「正しい」のかという口論からはじまり、最終的に口論に勝った方が「正しく」て、負けた方が「誤り」となります。

しかし、勝ち負けの決着がつく「正しさ」が、お互いにとって本当に「正しい」答えなのでしょうか?

本当は、自分は「正しい」という考え自体が「誤り」なのです。

井戸水の正しさとは

夏でも冬でも井戸水の水温は18℃で一定ですので、井戸水に対しての「あたたかい」とか「冷たい」という口論自体がそもそもの誤りです。

しかし、外気温が18℃以上の地域の人は「井戸水は冷たい」と感じ、外気温が18℃以下の地域の人には「井戸水はあたたかい」と感じます。そう感じた自分の感覚も嘘ではありません。

よって、井戸水の正しい答えとは「自分が感じた感覚が相手も同じ様に感じるとは限らない」ということです。

■世界地図の正しさとは

日本で使われている世界地図は、必ず日本が中心に描かれています。

私たちは小学生のころから、この世界地図に見慣れているので「日本が世界の中心にある」と錯覚をしてしまいます。

しかし、世界で使われている世界地図は、ヨーロッパが中心で日本は東の端にあります。日本のことを「極東」と表現するのも、この世界地図から日本を見ているためです。

よって、どちらが世界の中心なのか?という口論は、見ている地図によって変わるものです。

日本の地図を見ている人の「日本は世界の中心にある」という意見は正しく、世界共通の地図を見ている人の「日本は東にある小さな島国である」という意見も正しいのです。

そのうえで、本当に正しい答えとは「お互いに見ている地図が異なる」ことが正しい答えになります。

また、宇宙の視点から考えれば、そもそも世界とは地球という球体の表面に存在する大陸や島であるため、世界の中心がどこなのか?という問い自体が誤りなのかもしれません。

人間関係の「正しさ」とは?

人間関係で問題が起きるとき、大体が「どちらが正しいのか?」というコミュニケーションになっています。

特に心の距離が近い「夫婦関係」や「親子関係」でこの問題が起きます。

「夫婦関係」では男性から女性へ「親子関係」では親から子へ「自分の正しさ」が主張され、「私が正しい、よってあなたが変わりなさい」というコミュニケーションになることが多いです。

人は自分が「正しい」と主張するとき、自分の「正しさ」を証明するために、相手の「誤り」を指摘したうえで、相手の言動や考え方を変えようとします。

しかし、「自分は正しい」というその考え方が、本当に「正しい」のでしょうか?

先ほどの事例で以下の2点がまとまりました。

  • 自分が感じた感覚が相手も同じ様に感じるとは限らない
  • お互いに見ている地図が異なる

さて、人間関係においての本当の「正しさ」とは、どんな「正しさ」なのでしょうか。

私たちは同じ物を見ているようでも、置かれた環境や立場により感じ方が違います。また、1人ひとりの性格や価値観、経験が違うため、1人ひとりが持っている地図も異なります。

よって、人間関係の正しさとは「1人ひとりが「正しい」と感じる感覚も価値観も異なっている」ということです。

それは、心の距離が近い「夫婦関係」と「親子関係」であってもです。

お互いの違いを理解し、受け入れることからはじめよう

人間関係で問題が起きるとき、大体が「どちらが正しいのか?」という視点でコミュニケーションが交わされています。

お互いに「自分の正しさ」を証明するために、相手の「誤り」を指摘し、どちらが「変わるのか」を口論しています。

しかし、1人ひとりが「感じ方」も「価値観」も違うのに、どちらが「正しいか」という視点でコミュニケーションをしてしまうことが、実は1番の「誤り」なのです。

よって、人間関係の問題を解決する第1歩が「お互いの違いを理解し受け入れること」からはじめることです。

具体的には、自分の「正しさ」を主張したい気持ちをグッと抑えて、まずは相手の「正しさ」を理解し、自分との違いを受け入れてから自分の「正しさ」を伝える。そのうえで、お互いの「正しさ」を見つけられるようにコミュニケーションを交わしていくことです。

人間は心の奥底で「自分は正しくありたい」と思っています。

だから、「自分は正しい」という自己正当化を無意識でしたくなります。特に心の距離が近い「夫婦関係」や「親子関係」では、無意識で「自己正当化」が強くなり、パートナーや子供を自分の価値観に合うように変えようとしてしまいます。

だからこそ、心に距離が近い関係性の中でほど「お互いの違いを理解し受け入れること」からはじめることをオススメします。

まとめ

最近は、自分の「正しさ」を証明するために、相手の「誤り」を指摘し、相手の言動を変えようとする人が非常に多いように感じます。

また、そのような人間関係に疲れ悩み、心理カウンセリングを受ける方が多いとも感じます。

井戸水の水温は一定でも置かれている環境により感じ方が異なります。

世界はひとつでも見ている地図次第で見え方が変わります。

私たちは同じ世界を見ているようでも、1人ひとりの状況により「正しさ」が異なります。

だからこそ、自分の「正しさ」を主張する前に、「お互いの違いを理解し受け入れること」からはじめる必要があると、私は思います。

また、相手との違いを知ろうとしたとき、はじめて「違う見え方があることを知る」ことができるものです。

そうやってお互いがわかりあえるようになることが、本当の人間関係ではないでしょうか。

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