みなさん、こんにちは。
心理カウンセリング空の関口です。
みなさんは『7つの習慣』という本を読んだことがありますか?
『7つの習慣』はビジネス書の「成功のバイブル」として有名な本です。
私はうつ病で悩んでいるときに『7つの習慣』を読みました。
そして、本を読み終え『7つの習慣』の考えを実践したところで、物の見え方がガラリと変わる経験をしました。
『7つの習慣』は成功をテーマにしたビジネス書扱いですが、悩んでいるとき問題解決をしたいときにもオススメの1冊です。
ただ、この本は内容が濃く、とても厚い本ですので、自分が悩んでいるときなどは、最後まで読み切ることが難しいと思います。
そこで、今回は「7つの習慣」を心理学的な視点を取り入れながら要約してご紹介をします。
7つの習慣とは
『7つの習慣』とは、スティーブン・R・コヴィー氏による著書です。
『7つの習慣』では、以下7つの新しい物の見え方(パラダイム・シフト)を解説しています。
■自己一致(私的成功)
第1習慣 主体的である
第2習慣 終わりを思い描くところから始める
第3習慣 最優先事項から始める
■相互一致(公的成功)
第4習慣 相手を理解する(※)
第5習慣 Win-Winの関係(※)
第6習慣 シナジー効果
■自己成長(再新再生)
第7習慣 刃を研ぐ
※本では、第4習慣を「WIN-WINの関係」・第5習慣を「相手を理解する」の順で紹介されていますが、第4習慣と第5習慣を逆にした方がわかりやすいので、このブログでは第4習慣と第5習慣を入れ替えて説明をします。
私が、『7つの習慣』を読み終えたあと、実際にどこから何をやればいいのか?という疑問が湧いてきました。そのとき『7つの習慣』はピラミッド構造で考えるとわかりやすいと感じたので、このブログでは、下図のイメージで7つの習慣を解説していきます。
ただ、7つの習慣を説明する前に理解しておくべきことが1つあります。
それはパラダイム・シフトについてです。
まずは、パラダイム・シフトについて考えていきましょう。
パラダイム・シフトとは
パラダイムとは
物事の見方であり物事をどう認識し理解し解釈しているかである。
私たちは、世界をあるがままに見ているのではなく、あたしたちのあるがままの世界を見ているのであり、自分自身が条件付けされた状態で世界を見ているのである。
~7つの習慣より引用~
いきなりですが、下記の絵を見て答えてください。
この老婆はどこをむいていますか?
大きな鏡の前で女性は何をしていますか?
この若い女性はどこを向いていますか?
ドクロのどちら側の目に、女性が映っていますか?
いかがでしたでしょうか? どちらも同じ絵ですが事前の質問により見え方が少し変わると思います。
私たちは1つの物の見方でしか現象を認識できません。
例えば、下の絵を見たときに、老婆と若い女性を一度に認識することはできません。
必ず「老婆」と「若い女性」のどちらかを順番で認識します。
だから、私たちの物の見方は常に正しいようで常に間違っています。
パラダイム・シフトとは、無意識で条件づけされた物事の見方(固定観念)に気づき、意識的に新しい物事の見方に変えていくことです。
今まで老婆(若い女性)に見えていたものを、若い女性(老婆)に意識的に変えていくことです。
「7つの習慣」は、今までの物の見方にパラダイム・シフトを起こすための新しい習慣です。
しかし、「7つの習慣」を読んだだけではパラダイム・シフトは起こりません。
パラダイム・シフトを起こすためには、新しい習慣ひとつひとつを日々の生活の中で興味を持って行うことです。
それでは、新しいパラダイム・シフトに向けて、習慣ひとつひとつを見ていきましょう。
自己一致(私的成功)
7つの習慣では、習慣を大きく3つに分けています。
1つが私的成功、もう1つが公的成功、最後が再新再生です。
最初にご紹介する3つの習慣は私的成功に関する習慣です。
しかし、私的成功の言葉がわかりづらいので、私は自己一致のための習慣として紹介をします。
自己一致とは、内面の自分と外面の自分が一致している状態のことです。
自分の内面で感じていることを素直に表現できればストレスが少ないですよね。
自分が考えていることをしっかりと相手に伝えられればコミュニケーションは楽ですよね。
第1習慣から第3習慣までは、自分自身の内面と外面を一致させる習慣になります。
第1習慣 主体的である(ABC理論)
7つの習慣で最初に紹介されるのが、人生において主体性を持つことです。7つの習慣では主体性を下記のとおり定義しています。
主体性とは、人間として、自分の人生の責任を引き受けること。私たちの行動は、周りの状況ではなく、自分自身の決定と選択の結果である。
~7つの習慣より引用~
この考え方は、心理学者の『アルバート・エリス』のABC理論がもとになっていると思うので、まず、ABC理論についてご紹介をします。ABCは下記の頭文字です。
・A(Adversity) 出来事・逆境・刺激
・B (Beliefs) 価値観・固定観念
・C(Consequences) 結果・感情~アルバート・エリス 性格は変えられない、それでも人生は変えられるより引用~
ABC理論を図解で表すと下記のとおりです。
次にABC理論に反応R(Reaction)を付け加えて考えます。
そして、ABC+Rを意識と無意識の階層表示にすると下図のようになります。
人は何かの出来事(A)に対して、何かを感じる(C)とき、多くの場合(C)に対する反応(R)をとります。
例えば、あなたの前に、あなたが嫌いと感じるZさんが現われた(出来事A)とき、「嫌だな・会いたくないな」と感じて(感情C)、Zさんの悪口を言ったり、その場から立ち去ったりします(反応R)。
しかし、あなたの前にZさんが現れた(出来事A)=嫌い(感情C)という間には、価値観(B)という評価基準が無意識下にあります。
ただ、人はその価値観(B)を意識できないため、自分の嫌いという感情(C)を正当化するために、無意識的な反応(R)をとってしまいます。
では、このような状況のとき、問題の本質はどこにあるでしょうか? 問題はZさんにあるのでしょうか? それともあなたの価値観(B)と反応(R)にあるのでしょうか?
感情に流される人は、問題はZさんにある(外側にある)と認識し、Zさんに対して無意識で攻撃的・防衛的のどちらかの反応をします。
しかし、問題は自分の価値観にあると認識できれば、Zさんへのに反応を自分で選択できるようになります。
7つの習慣では、刺激(A)と反応(R)について下記のように書かれています。
・刺激と反応の間には選択の自由がある。
・主体性のある人とは反応を認識している。自分の行動に責任を持ち状況や条件付きのせいにしない。
~7つの習慣より引用~
出来事の問題(A)は常に外側にあると考え、感情(C)に流される人は、他人と過去を変えようとします。
しかし、他人と過去は変えられません。変えられるのは自分自身の価値観(B)と反応(R)です。
主体的な人は、問題から内面の価値観に気づき、反応を意識的に選択できる人です。
自分の無意識の反応を知るためには認知行動療法がお勧めです。
日々起きた出来事(A)とそれに対して感じた感情(C)を客観視していくことで、自分の無意識な価値観と反応パターンに気付くことができます。
第2習慣 終わりを想い描くことから始める
いきなりですが、あなたは今の人生をどんなエンディングで迎えたいですか? 人生悔いなしと思って迎えたいですか? 親愛なる家族や友人に囲まれて迎えたいですか? それとも棺桶にお金をいっぱい詰めて迎えたいですか?
終わりを思い描くことから始めるとは、人生のありたい姿を想像したうえで、今の人生の生き方を決めることです。
人生を悔いなく死を迎えたいと思っているのにいま過去を悔やんでいませんか?、親愛なる家族に囲まれて死を迎えたいと思っているのに今日奥さんや旦那さん子供たちと会話できてますか?、将来こうありたいとを思っているのにいまからそうならないでいつからなるのでしょうか?
将来のありたい自分像をイメージすること、目的意識を持つことで、自分の中にひとつの判断基準ができます。
しかし、イメージしただけではまだ基準が漠然としているので、日々的確な判断ができません。
的確な判断を行うために必要なるのが、自分のルールブック(ミッションステートメント)の作成です。
ルールブックは意識的な価値基準です。
人生を楽しく生きたいと想い描いているのに、日々不平不満を言っていたのでは人生は楽しくなりません。
多くの場合ありたい自分像を描いても、その通りならないのは日々のルールブックが明確でないからです。
サッカーか楽しいのは、9 0分という限られた時間の中で、手を使わないで、ゴールを決めるという明確なルールがあるからです。
もし、サッカーにルールがなかったらただのボールの奪い合いで見ていても面白くありません。
制約されたルールのなかで、技術を向上させ精度を高めるからそこに楽しさがあるのです。
もし、人生を楽しく生きたいと思うのであれば、制約がある人生のなかで楽しくなるようなルールブックを作ることです。
例えば、下記のような感じです
・毎朝笑顔になる
・「おはよう」と大きな声で挨拶をする
・子ども達に「今日はどうだった?」と一声をかける
・月1回大好きな映画を見る
・問題が起きた時も、それも自分の成長の糧だと考える
などなど
このルールブックは、無意識的な固定観念と反応を意識的なものに上書きしていくものです。
例えば、毎朝気持ちがブルーで落ち込んでいたとしても、とりあえずルールに従って意識的に笑顔をつくります。
やがて「朝は笑顔になる」ことが習慣化されると、朝起きたときは気持ちがブルーでも、笑顔になると心は楽しさを感じます。
まずは、ありたい自分像をイメージして、その自分像に近づくために必要なルールブックを作ってみましょう。
第3習慣 最優先事項を優先する
第1習慣で自分の価値観を知り反応がコントロールでき、第2習慣でありたい自分像や目的意識を持ち、未来に向けて具体的なルールブックを作ることで、これからやるべきことが見えてくると思います。
最初は、未来に向けてやるべきことを「よしやるぞ」と思えるのですが3日もすると挫折してしまいます。
現代は情報化社会です。情報化社会では、膨大な情報を処理する必要があるため、結果として時間に追われています。
一方的に送られてくるSNSやメール、スマホのゲームやYouTubeなどの誘惑が多いですよね。
ただでさえ日々時間に追われているのに、新しい習慣を日常に取り入れることは非常に難しいです。
人は誰もが1日24時間与えられています。
しかし、その時間をどう使うかは1人ひとりに委ねられています。
7つの習慣では委ねられている時間を4つに分けて考えます。
1日24時間の中で未来に向けて時間を投資するべきところが第2領域です。
しかし、今までもこれからも1日24時間に変わりはないので、新たに第2領域に時間を配分するためには、それ以外の領域から時間を持ってくる必要があります。
以前「常に忙しい」と言っている職場がありました。
確かに忙しい職場ではあったのですが、業務が非常に乱雑で手戻りが多かったです。
そのため、経営者に業務改善を意見したところ「今忙しくてそんなことできない」とのことでした。
「常に忙しい状態」は第3領域です。
「忙しい」が言い訳になると「なぜ忙しいのか?」を考えることができずに、改善に向けた第2領域に時間配分ができません。
また、常に忙しいと心にゆとりがなくなり仕事で大きなストレスをかかえます。
その状態で帰宅すると、テレビゲームなどでストレス発散をしようとします。
しかし、これは第4領域の時間の使い方です。
私たちは、緊急の用事に受動的に反応する。
だが、緊急ではないが重要なことをするには、率先的と主体性が要る。
機会をとらえたり、物事を実現させたりするには、能動的に動くことが必要なのだ。
第2習慣が身についておらず、何が重要なのか、人生において追求する結果をはっきりと思い描けていない人は、緊急の用事ばかりに簡単に反応し、人生の目的からそれていってしまう。
~7つの習慣より引用~
この4つのマトリックスを考えるときに必要になるのが、第2習慣の目的意識を持ちながら時間配分を考えることです。
例えば、「ゲームをする」と言う行動に対して、「子供と一緒にゲームをする」のと「暇潰しでゲームする」のでは領域が変わります。
私は「家族と楽しく過ごす」というルールを持っていますので、私にとって「子供と一緒にゲームをする」ことはコミュニケーションの一環で第2領域になります。
しかし、私が暇つぶしで1人でゲームすると、それは受動的で第4領域になります。
目的意識がないのに時間配分の選択はできません。なぜならば、時間管理とは時間を管理するのではなく、ありたい自分像や目的に向けてやるべきことを管理することだからです。
みなさんが、日々何気なく行っていることが、どの時間領域に該当するか、少し考えて優先事項を意識してみましょう。
時間をケチケチする事は、本当は全然別のなにかにケチケチしている事に誰ひとり気付いていないどころか、自分達の生活が日ごとに貧しくなり、日ごとに画一的になり、日ごとに冷たくなっている事を、誰ひとり認めようとしない。
けれど、時間とは生きるということそのものなのです。そして、人の命は心を住みかとしているのです。人間が生活を節約すればするほど生活はやせ細っていくのです。
~ミヒャエル・エンデ モモより引用~
相互一致(公的成功)
ここからが公的成功の習慣に入ります。
7つの習慣では公的成功を相互依存という言葉で紹介されているのですが、依存という言葉はわかりづらいので、わたしは「相互一致」という言葉で解釈をしています。
相互一致とは、自己一致(自立)できている人間同士が、お互いの目的に向けて、対等の関係を保つ状態のことです。
自分をコントロールできている人、本当の意味で自立している人だけが、真の自尊心を持つことができる。それは、第1、第2、第3の習慣の領域である。相互一致(相互依存)は、自立を達成した人間にしかできない選択である。
~7つの習慣より引用~
自分自身の価値観を知り、反応を意識的にコントロールできなければ、対等の人間関係は築けませんので、第1習慣が少しでも日常のなかで習慣化できるようになったと思えてから、第4の習慣へと進みましょう。
第4の習慣 まず理解に徹し、そして理解される
『7つの習慣』では、第4習慣として「WIN-WINの関係」、第5習慣として「まず、理解に徹しそして理解される」の順で書かれているのですが、私は相手と「WIN-WINの関係」を築くためには、まず、相手を「理解することが先決」と思いますので、第4習慣「相手を理解する」を先にご紹介します。
相手を理解するときに絶対に必要な条件が、自分自身の内面に涌き起こる反応をコントロールできていることです。
反応をコントロールできないと、相手の話を聞くときに、自分の過去の経験や価値観に基づいた自叙伝的な反応をしてしまいます。
4つの自叙伝的な反応
・評価する(同意するか反対するか)
・探る(自分の視点から質問する)
・助言する(自分の経験から助言する)
・解釈する(自分の動機や行動を基にして相手の動機や行動を説明する)
~7つの習慣より引用~
例えば、相手には下記の絵が(若い女性)に見えていて、あなたには(老婆)に見えているとします。
このとき、あなたが相手に対して自叙伝的な反応をするとどうなるでしょうか?
・評価
これは「老婆だ」と正論をいい、あなたが「誤りだ」と指摘する
・探る
相手に老婆であることに気づいてもらうように、誘導的な質問をする
・助言する
老婆に見えるように説明をする
・解釈する
自分が老婆に見える理由を一生懸命に釈明する
若い女性に見えている相手に対して、あなたが自叙伝的反応で老婆であることを説明することで、もしかしたら相手は老婆気づけるかもしれません。
しかし、もし相手が老婆に見ることができなかったら、どうなるでしょうか?
あなたが正しくて相手が間違っていることになります。
逆に、相手には若い女性にしか見えない絵を、あなたは老婆だと言い放った時点で、相手から見れば「あなたが間違えている」ということになります。
私達は、お互いの誤った正しさから、口論がはじまります。
では、あなたが相手に対して自叙伝的反応をするのではなく、心から相手に興味をもっていたら、どのような反応になるでしょうか?
恐らく「どこをみたら老婆に見えるのですか?」と素直に質問をするのではないでしょうか?
あなたが素直に質問ができたら、きっと、相手は素直に老婆の見方を教えてくれます。
そして、最初若い女性にしか見えなかったあなたには「なるほど! 老婆に見えます」という最初のパラダイム・シフトが起きます。
あなたにパラダイム・シフトが起こると、次に相手は「どこを見たら若い女性に見えのですか?」と質問をしてきます。
あなたは素直に若い女性の見方を伝えれば、相手にも「なるほど」とパラダイム・シフトが起こります。
相手を理解するには、まずは自分の反応を理解しておくこと。
そのうえで、ありのままの相手に対して、心から興味を抱くことで自然と質問が出てきます。
そして、相手に興味の質問し相手の言葉を聞くことで、はじめて相手のことを理解することができます。
相手が自分のことを理解されたと感じると、今度は相手があなたのことを理解しようとします。コミュニケーションは交互に成り立つものです。
まず理解に徹し、そして理解される。
これから出会う人に対して、第1習慣と第4習慣を先に理解したあなたから、まずは相手のことを理解してみましょう。
第5習慣 WinーWinを考える
7つの習慣では、人間関係のパートナーシップを以下の6つに区分しています。
・Win-Win (自分も勝ち、相手も勝つ)
・Win-Lose(自分が勝ち、相手は負ける)
・Lose-Win(自分が負けて、相手が勝つ)
・Lose-Lose(自分も負けて、相手も負ける)
・Win(自分が勝つ)
・Win-Win or No Deal(自分も勝ち相手も勝つ、それが無理なら取り引きしない)
~7つの習慣より引用~
この6つの区分の中で、どれがいいとか悪いとかはなく、その時の人間関係の状況により区分は変わるものです。
例えば、お客様の案件を巡り、競合他社とプレゼンを競っているときは、他社とは「WinーLose」の関係となり他社に負けない提案をすることが必要です。
しかし、この区分で提案資料を作ると競合他社に負けない提案資料の作り方になり、最終的には価格競争のプレゼンになる可能性があります。
もし、競合他社との競争ではなく、お客様と自社の「Win-Win」の関係の視点でプレゼン資料を作るとどうでしょうか?
自社の強みとお客様の弱みを理解し、自社のサービスがお客様のニーズに応えることができるのであれば、サービス重視のプレゼンができるので、お客様と自社が「Win-Win」の関係になれます。
6つの区分で大事な事は、「誰と」「どこに向けて」「どんなパートナー」を組もうとしているのか? お互いがしっかりと事前に理解しあうことです。
1つの山に「みんなで一緒に登ろう」としている時、 1人はゆっくりと景色を楽しみたい、もう1人はトレイルランをしたい、もう1人はクライミングをしたいと各自が思っていたら、山に登るという目的が一緒でも、過程が異なる場合があります。
その場合、無理に「Win-Win」の関係を維持すると、3人とも「こんなはずじゃなかった、私は我慢しているのに」という思考になり、ちょっとしたことで口論が始まります。
目的が異なる場合、もしくは目的が一緒でも過程が異なる場合は「Win-Win or No Deal」の選択が必要です。
そのためには、お互いが求めているもの期待しているものをしっかりと話し合い、本当に「Win-Win」の関係が築けるのか?それとも「Win-Win or No Deal」の選択が必要なのかを見極めます。
山登りの例で、お互いが山登りに求めるもの期待しているものを話し合い、その結果「みんなで一緒に登ろう」という目的ではなく、「頂上で一緒にご飯を食べよう」という目的に変われば、山に登る過程はお互いが好きな方法で登り、頂上で「Win-Win」の楽しい時間を過ごすことができます。
「私たちWin-Winだよね」と言うのは簡単ですが、実際にはしっかりと相互理解が必要です。
「Win-Win or No Deal」を恐れずに、相手が求めていることを理解し自分が期待していることを伝え、心からの「Win-Win」関係になれるようなコミュニケーションを意識していきましょう。
第6習慣 シナジーを作り出す
シナジーを辞書で調べると以下のように書かれています。
シナジー
・筋肉などの共同作用。または薬品などの相乗作用。
・経営戦略で、各部門の相乗作用を活用した効果として利益を生み出すこと。
~大辞泉より引用~
シナジー効果とは、異なる要素の相乗作用により、新たな作用が生まれること。
自然界はシナジー効果で成り立っている。
植物が成長できるのは、大地に多くの微生物が土が肥え、大気には太陽による光があり、花を咲かせればミツバチが花粉を運び、実らせればそれを喜んで食べる人間がいる。
すべてがシナジーの関係で成り立っています。
では、第5習慣で説明した「Win-Win」によるパートナーシップと、第6習慣の「シナジー効果」によるパートナーシップの違いはどこにあるでしょうか?
その違いは「違いの尊重」にあります。
違いを尊重することがシナジー効果の本質である。
人間は1人ひとり、知的、感情的、心理的にも違っている。そして違いを尊重できるようになるためには、誰もが世の中をあるがままに見ているのではなく、「自分のあるがまま」を見ているのだということに気づかなくてはならない。
~7つの習慣より引用~
「Win-Win」によるパートナーシップは、お互いの目的や過程を重視したパートナーシップのあり方です。
よって目的や過程が異なる場合「Win-Win or No Deal」の選択肢が存在します。
しかし、シナジー効果には「Win-Win or No Deal」の選択肢は存在しません。
目的や過程が違がければ、とことん違いを話し合いお互いが新たな視点を見つけることがシナジー効果のパートナーシップです。
「Win-Win」と「シナジー効果」の違いは、恋愛関係と夫婦関係の違いのようなものです。
恋愛関係は「Win-Win」のパートナーシップで「好き」のフェーズです。
これから2人の「Win-Win」の人生に向かってワクワクした状態です。
パートナーの長所も欠点もいとおしく感じるときで、たとえ自分の本心でなくても「付き合える」関係性です。
好きな人が「これは老婆だよ」と言ったら、自分が「老婆」に見えなくても「そうだね」と言えたりします。
夫婦関係は「シナジー効果」のパートナーシップで「愛」のフェーズです。
恋愛関係の時はいとおしく感じたパートナーの欠点も、結婚をするとなぜか許せなくなります。
相手の些細な言動が気になり、パートナーが「これは老婆だよ」と言ったら「はあ、これは若い女性だよ。どこを見てるの? 信じられない」と口論したりします。
夫婦関係になっても「Win-Win」のパートナーシップを維持しようとすると「価値観の相違」で別れてしまうかもしれません。
しかし、夫婦関係とは「シナジー効果」のパートナーシップであると認識していれば、価値観の相違があったときに、お互いの違いを認め理解し、話し合いことで、夫婦として新しい価値観が生まれるものです。
男性と女性の異なる要素から子供は生まれるものです。
新しいアイディアがひらめく時は、異なる要素が掛け合わさった時です。
シナジー効果とは、違いを尊重し新しい要素を生み出すことです。
しかし、人間は無意識で違いを拒み、心の奥底で自分は「正しい」と信じています。
だから、第1習慣で自分の無意識の反応に気づき、第4習慣で相手を理解し、第5第6習慣で「Win-Win」から「シナジー効果」へのパートナーシップを育てていくことが大切なのです。
私たちは一人ひとり性格や人生経験が違うので、価値観や意見に違いがあって当然です。
その違いを受け入れ、異なる要素から新しい物を生みだそうと考えることが、人生を楽しむ秘訣なのかもしれません。
自己成長(再新再生)
我々の直面する重要な問題は、その問題を作ったときと同じ思考レベルで解決することはできない
~アルベルトアインシュタイン~
私たちは悩みや問題を抱えてしまったとき、その悩みや問題の解決策を求めようとします。
しかし、同じ思考レベルで問題を解決しようとすると問題の原因は必ず「環境のせい」か「誰かのせい」の思考になります。
例えば、人間関係に問題があった時、問題の原因は「相手のせい」と考えると相手を変えようとします。
しかし、思考レベルを1段上げて、自分の価値観や反応に問題があると考えると自分の反応や価値観を変えることができます。
そして、自分の反応や価値観が変われば、当然相手の見え方も今までと変わります。
相手の見え方が変われば相手との問題は気にならなくなり、結果として問題は自然と解決されています。
どんなにいいことを学んでも、自分の心と思考レベルが上がらなければ何も変わりません。
第7習慣は自分の心と思考のレベルを上げていく行動習慣です。
第7習慣 刃を研ぐ(心を広げる)
「刃を研ぐことは、自分の心を広げること」と私は考えています。
では、「心が広い人」、「心が狭い人」とはどんな人なのでしょうか。
人間の心はホメオスタシス(恒常性)により今の自分を保とうとする働きがあります。
ホメオスタシスの領域が受容領域(安心領域)で心の広さです。
心が狭い人、受容領域が狭い人は、今の自分を保てないような出来事(受容領域外の出来事)に遭遇すると、必ず「自己正当化の反応」が無意識で起こります。
心は狭い人は、受領領域が狭い分だけ、小さなことに感情的に反応し、違いを受け入れることができません。
逆に、心が広い人は受容領域も広いため、自己正当化する必要もなく、違いを受け入れ主体的な反応をします。
さて、もしあなたが自分の人生を楽しく生きるとするならば、「心が広い人」と「心が狭い人」どちらのタイプの人間として生きたいと思いますか?
どちらの心持ちの方が人生を楽しめると思いますか?
私は「心が広い人間」として生きていきたいと考えています。
では、自分の心を広げていくためにはどうすればいいのでしょうか?
それは、ここまで紹介してきた6つの習慣を、実際に日常の中で意識的に行うことです。
しかし、実際に6つの習慣を日常の中で行おうとすると、なかなかうまくできません。
その時に「7つの習慣なんて理想論だ!」といい、今の自分を維持することも可能です。
しかし、それでは思考のレベルも上がらず、心も広がりません。
最後の第7習慣は、上記6つの習慣を習慣化できるようなるまで、意識的に繰り返し行うことです。
自分が感情的に反応したくなったときは、自分の価値観とルールブックを再確認し、ダラダラ時間を過ごしてしまう時は、第2領域を意識すること。
誰かと意見や価値観がぶつかってしまったときは、その人を理解しようとし、お互いがWin-Winの関係からシナジー効果を生み出せないかを考えようとすること。
『7つの習慣』を意識的に繰り返すことで「7つの習慣」は「自分の習慣」に変わります。
もちろん、すぐに習慣化できるようなことではありません。
もしかしたら、一生かけて習慣化していくことなのかもしれません。
しかし、思考レベルを高め、心を広げようとする姿勢こそが「人間らしさ」だと私は思います。
まとめ
長文となりましたが、ここまで読んでいただきありがとございました。
私が「7つの習慣」を読み始めた頃、私はまだうつ病のことで悩んでいた時期です。
その時にアインシュタインの「我々の直面する重要な問題は、その問題を作ったときと同じ思考レベルで解決することはできない」の言葉に感銘を受けました。
また、人間は「自分が見たいように世界を見ている。だから、世界を変えたいのであれば、自分の見え方を変えることがはじめの1歩である」ことに気づいたことで、「うつ病をどうやって治すよりも、自分はどう生きるか?」に思考のレベルを上げることができました。
悩みや問題を抱えているとき、それを苦しい悩みや問題と見ることもできます。
しかし、この悩みや問題を糧に自分の思考レベルや心を広げる機会だと見方を変えることもできます。
物の見方には必ず2通りあります。
今までの自分の見方を知り今までと違って視点で見なおし心が広がることがパラダイム・シフトです。
『7つの習慣』では、上記以外のことでも色々な具体例をもとに解説をされています。
もしこのブログがきっかけで「7つの習慣」に興味を持ってもたれたならば、じっくりと読まれる事をおすすめします。
オススメの本(ご紹介・引用した本)
■7つの習慣
■性格は変えられない、それでも人生は変えられる
■モモ
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