みなさん、こんにちは。
心理カウンセリング空の関口剛史です。
前回のブログで「マズローの5段階欲求」について少し触れました。
心理学などで「マズローの5段階欲求」を学ぶことも大切ですが、コロナ禍となり欠乏欲求の幅を小さくするような考え方を持つことも重要だと思います。
今日はマズローの5段階欲求を参考にしながら「欠乏欲求の幅を小さくすることが自己実現につながる」について書いていきます。
マズローの5段階欲求とは
アブラハム・ハロルド・マズロー(1908年ー1970年)はアメリカの心理学者。
人間の自己実現を研究した「人間性心理学」の第一人者で、その研究の中で「5段階欲求階層」を主張したことで知られています。マズローの5段階欲求は、ビジネス書でも書かれているので、見たことがある人が多いのではないでしょうか。
マズローの5段階欲求について「有斐閣 心理学」の本を引用しながら簡単に説明します。
人間が生きていくための最も基本的な欲求は生理的欲求である。これらの欲求が満たされてこそ、人間らしいより高次の欲求が現れてくる
~有斐閣 心理学より引用~
例えば、食べるものがなく空腹で生理的欲求が満たされいない時は、それより上の所属や承認欲求などを人は求めない。それは、人間は下階層の欲求が満たされたとき、次の上位層の欲求を満たそうとするから。
また、マズローの5段階欲求では欠乏欲求と成長欲求の2階層に分かれています。
生理的欲求を含むこれからの欲求は欠乏欲求と呼ばれ、満たされる度合いが少ないほど強くなり、満たされることによって減少する。これらの欲求が満たされると、次には成長欲求と呼ばれるより高次の欲求が現れてくる。欲求は高次なものになるほど、個人的なものとなる。すなわち、それが強く現れてくる人もあればあまり現れてこない人もある。高次な欲求としては、達成の欲求、自立の欲求、自己実現の欲求などが挙げられる。
~有斐閣 心理学より引用~
マズローの5段階欲求では、欠乏欲求が満たされたとき、はじめて自己実現の欲求を求めるようになると考えられています。
欲求の幅は人による異なる
マズローの5段階欲求では、欲求が5つの階層にきれいに分かれています。しかし、人間の欲求はもっと複雑で、人それぞれに欲求の幅、心が満たされる基準は異なるものです。
例えば、500円のランチで心が満たされる人がいれば、10,000円のディナーを食べないと心が満たされない人がいたり、自分で自分を満たせる人がいれば、他者から承認をもらわないと自分を満たせない人がいます。
人間の欲求は5階層でも、その欲求の幅は人それぞれ。
例えば、下図で「欠乏欲求の幅の小さい人」と「欠乏欲求の幅の大きい人」では、どちらの人の方が自己実現にエネルギーを注げるでしょうか?
答えは、欠乏欲求幅が小さい人です。なぜならば、小さな物事で心を満たせる分だけ、自己実現にエネルギーを投資できるからです。
一方、欠乏欲求幅が大きい人は、いつまでたっても心は満たされず、その欲求は更に強くなり欲の幅が更に広がります。
その結果、ひとつの欲求を満たすのにかなりのエネルギーを投資する必要があり、自己実現にまでエネルギーを注げなくなります。
また、自分で自分の欲を満たすことができず、欲と欲のぶつかり合い・奪い合いがはじまります。
欠乏欲求の幅を小さくすることが自己実現につながる
自己実現欲求とは、達成の欲求、自立の欲求など、自分らしさを実現する欲求です。
欠乏欲求の幅を小さくして、成長欲求にエネルギーを注いでいくことが、自分らしさ・人間性を高めていくことにつながります。
では、欠乏欲求の幅を小さくするにはどうしたらいいでしょうか?
まずは、いまの豊かな社会があたりまえではないことに気づくことです。そうすることで毎日ご飯を食べられることが豊かであり、いろいろな人と協力しながら生きていることに気づき、生理的欲求は満たされます。
次に、不安を消そうせず安心を求めず、安定した心を育むことです。そうすることで安全・安心欲求は自然と満たされていきます。
次に、自分は社会の一員であることを自覚すること、愛を求めるのではなく自分から何かを与えていこうとすることで、自然と自分の居場所が見つかり、愛情と所属の欲求は満たされていきます。
最後に、前回のブログでも書いたとおり、自分で自分の存在や考えや行動を認めるよう意識することで、自分で自分を認められるようになります。
これら4つの欠乏欲求が満たされたとき、人は「心からやってみたい」と思えるようなことが見えてくるのだと思います。(成長欲求へのシフト)
そして、その「やってみたい」と思えることにエネルギーを注ぐことで、自己実現が現実になっていくのではないでしょうか。
欠乏欲求の幅を小さくすることが、自己実現につながっていくのだと、私は思います。
まとめ
今の日本は、とても豊かな社会です。しかし、この豊かさに気づけず「あたりまえ」になると欠乏欲求が強くなり、その欠乏感を満たすために様々な問題が起こります。
例えば、いじめやパワハラが横行したり、あおり運転が増えたりしてているのは、豊かさうえに肥大化した欠乏欲求を満たそうとする人が増えたからではないでしょうか。
人は自分の心が満たされているからこそ、他の人にも優しくなれるものです。だから、自分の欠乏欲求の幅は小さく抑えておきたいものです。
コロナ禍となりストレスが大きい状態が続いています。しかし、そのストレスは「今までの社会に戻りたい」という欲求からうまれるものです。
でも、本当に今までの社会が精神的に満たされた社会だったのでしょうか?
コロナ禍となり、今までのあたりまえがあたりまえでなくなった時だからこそ、肥大化した欠乏欲求を見直す時期なのではないでしょうか。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
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