人生の壁にぶつかったときは、今できることから~難事をあとにする変通の道~

    みなさん、こんにちは。

    心理カウンセリング空の関口剛史です。

    生きていると、悩んだり思い通りにならない、人生の壁にぶつかることがありますね。

    今の自分で乗り越えられる壁であればいいですが、時には大きな壁にぶつかり「もう無理」とすべてを諦めたくなるときがあります。

    そういうときは、一旦立ち止まり「変通の道」を探し、できそうなことからはじめてみることです。

    今日も二宮金次郎の「難事をあとにする変通の道」を参考にしながら、人生の壁について書きます。

    目次

    難事をあとにする変通の道

    最初に二宮金次郎の「二宮翁夜話集」から「難事をあとにする変通の道」をご紹介します。

    翁のことばに、何事にも変通ということがある。これは心得ておかねばならない。

    別の言葉でいえば権道だ。

    困難なことを先にするのは聖人の教えで、それは、たとえば、まず仕事を先にして、それから賃金を取れというように教える。

    しかし、たとえば農家に病人などがあって、耕作や除草が手遅れになっているようなとき、草の多い所を先にするのは世上一般のやりかただが、このようなときに限って、草が少なくて、いたって手軽な畑から手入れして、草のいたって多い所は最後にするがよい。

    これは最も大切なことだ。

    いたって草が多くて手重の所を先にするというと、大いに手間どれて、その間に草の少ない畑もみな一面草になって、どれもこれも手遅れになるものだから、草が多くて手重な畑は、五畝や八畝は荒らしてもままよと覚悟して、しばらく捨てておき、草が少なくて手軽な所から片付けるがよい。

    それをしないで手重な所へ掛けかって、時日を費やしていると、総体の田畑が順々に手入れが遅れて、大きな損になるのだ。国家を復興すうるのも同じことの道理であって、心得ておかねばならない。

    また、山林を開拓する場合に、大きな木の根はそのまま差しておいて、まわりを切り開くがよい。

    そうして三四年もたてば、木の根は自然と朽ちて、力を入れずに取れるのだ。これを開拓のときに一時に取ろうとしても、労が多くて功が少ない。

    百事このとおりで、村里を復興しようとすれば必ず反抗する者がある。その扱い方もこの道理であって、決して取りあわず、さわらずに、度外に置いてわが勤めを励むがよい。
    引用 二宮翁夜話(上) 発行:一円融合会刊 原著:福住正兄

    人生の壁にぶつかったときは、今できることから

    最初に言葉の説明をします。

    変通とは

    その場その時に応じて、自由自在に変化・適応してゆくこと。
    ~デジタル大辞泉より引用~

    権道とは
    手段・方法は道に外れているが、結果からみて正道にかなっていること。また、目的を達成するためにとる便宜的な手段・方法。
    ~デジタル大辞泉より引用~

    二宮金次郎の言う「難事をあとにする変通の道」とは、人生の壁にぶつかり「もう無理」と思うときは、今までの手段・方法に囚われず、本来の目的を達成するため、正道に適った手段・方法を考え、今できそうなことからはじめてみることです。

    私たちは、壁にぶつかったとき、その壁が大きければ大きいほど、相対的に自分がちっぽけに感じてしまい、歩むことをあきらめたくなります。

    しかし、そういう時は一旦立ち止まり、本来の目的を思いだし、これまでの手段・方法を改め、今までとは違う歩みを踏みはじめること。

    できないことに労力と時間をかけるのでなく、いまできそうなことに労力と時間をかけること。

    いまの自分でもできそうなことに意識を向けて行動をすることで、少しずつ変化が起こりはじめ、それが次へのモチベーションとなり、気づいたら「人生の壁」は乗り越えられているもの。

    ミヒャエル・エンデ著の「モモ」に登場する道路清掃人のベッポじいさんも、二宮金次郎と同じようなことを言っています。

    なあモモ、とっても長い道路を受け持つことがあるんだ。

    恐ろしく長くてこれじゃとてもやり切れないと思ってしまう。

    そこで、せかせかと働きだす。どんどんスピードを上げていく、時々目を上げて見たのだが、いつ見ても残りの道路は減っていない。だから、もっとすごい勢いで働きまくる。

    心配でたまらないのだ。

    そして、しまいに息が切れて動けなくなってしまう。でも道路はまだ残っているのだ。こういうやり方はいかんのだ。1度に道路の全部のことを考えてはいかん。

    わかるか?次の1歩ことだけ、次のひと呼吸のことだけ、次のひと掃きのことだけを考えるのだ。いつも、ただ、次のことだけをな。

    すると楽しくなってくる。これが大事なのだ。楽しければ仕事がうまくはかどる。こういうふうにやらなきゃダメなんだ。ひょっと気がついたときには、1歩1歩進んだ道路が全部終わっておる。

    どうやってやり遂げたかは自分でもわからん意も切れていない。これが大事なのだ。

    ~ミヒャエル・エンデ『モモ』より引用~

    困難で苦しいとき、人生の壁にぶつかったときは、先を見通すことができず不安や絶望を感じるもの。

    しかし、そういうときこそ、焦らず無理せず、いまできそうなことから1歩ずつ。

    そうすることで、人生の壁は心の成長のためのステップに変わり、自然と乗り越えられていくものだから。

    まとめ

    人は自分の思い通りに物事が流れているときに、自分のことを省みることができません。

    逆に、思い通りにならないとき、人生の壁にぶつかったときにこそ、自分を見つめ直し、今までのことを省みて、これからの道をじっくり考えることができるものです。

    人生の壁とは、今までの「生き方」や「考え方」に気づき、そして変えるために訪れるもの。

    そう考えると、二宮金次郎が「難事をあとにする変通の道」と説いた意味が理解できます。

    もしかしたら、人間の心はそうやって成長していくのかも知れませんね。

    ここまで、お読みいただきありがとうございました。

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