みなさん、こんにちは。
心理カウンセリング空の関口剛史です。
春は体も心もゆるむ季節で、心のバランスを崩しやすく、悩みを抱えやすい時期でもあります。
先日、「心理カウンセリングを受けたら、日々の悩みがなくなりますか?」というご質問をいただきました。
心理カウンセリングを受けたり、心理学を学んだりすることで、悩みをなくせたら、最高ですよね。
しかし、心理カウンセリングを受けても心理学を学んでも悩みはあり続けます。それは、悩めるのが人間だからです。
ただ、心理カウンセリングや心理学をとおして「自分の心」を学ぶことで、悩みを抱えたときに「なぜ、そのことで悩むのか?」を理解できるようになるので、必要以上に悩まずに落ち込むこともなくなります。
悩みを抱える理由を自分で理解していれば、悩みを抱えても怖くないですよね。
今日は、二宮金次郎の「落葉と人道」を参考にしながら、悩みをテーマに書いていきます。
落葉と人道
落葉と人道
翁の言葉に、天道は自然のものだ。
人道は天道にしたうとはいいながら、一方また人為のものだ。だから人道を尽くてあとは天道に任せるべきで、人道をいいかげんにしておいて天道を恨んではならない。
たとえば庭さきの落葉は天道であって、無心に日々夜々落ち積もる。
これを掃かないのは人道ではない。
ところが掃いても掃いても落ちてくるのが、これに心を煩わしたり、気をいらいらさせて、ひと葉落ちればほうきをとって立ったりするのは、ちりあくたのために使われるようなもので、愚かなことだ。
木の葉を落ちるのは天道だ。人道をもって、毎朝一度は掃くがよい。
あとたま落ちてきても捨てておいて、無心の落葉に使役されぬがよい。
しかしまた、人道をゆるがせにして、積もりたいほうだいにしてはならない。
これが人道なのだ。
引用 二宮翁夜話(上) 発行:一円融合会刊 原著:福住正兄
「悩み」とは「落葉」のようなもの
二宮金次郎が言う天道とは自然の摂理で人道とは人間の行いです。
例えば、春に桜が咲くのは天道で、公園に桜を整備するのが人道です。天道は人間が変えることができない物事で、人道は人間がいかようにも変えることができる物事です。
二宮金次郎は「落葉と人道」の話のなかで、天道である落葉を憂うな、1日1回落葉を掃くのが人道だと説きました。
私たちが心に悩みを抱えるのは、落葉と同じで「天道」によるものです。それは、人間には「悩める能力」が備わっているからです。
よって、心から悩みを消そうとすることは天道に反することで、秋に落葉を落ちないようにするようなものです。
みなさんは、秋に落葉を落ちないようにすることはできますか?
大事なことは、落葉を落ちないようにすることではなく、落葉を積もらせないように1日1回落葉を掃く人道を行うことです。
毎日生きていると、思いどおりにならないこと、苦しい悲しい出来事が、たくさんあります。
その出来事ひとつひとつが悩みの種となり、心の中に積もっていきます。
心の中に悩み種を放置しておくと、悩みが大きく感じるようになり、いざ悩みの解消に向けて動き出そうとしても恐怖を感じてしまいます。
「悩み」とは「落葉」のようなものです。
心の悩みも、積もってから掃くのでなく、1日1回少しずつ掃くことが人道です。
具体的には、「どんなことで悩みを抱えたのか?」「本当はどうしたかったのか?」など、出来事と感じた気持ちを1日1回振り返ることで、心の中をクリアに保つことができます。
「人事を尽くして天命を待つ」
変えることのできない天道を受け入れ、今の自分にできる人道を尽くすことで、人は悩みを乗り越えていけるのだと、私は思います。
まとめ
情報化時代の現代は、悩み多き時代と言えます。
インターネットに常時つながることで、必要な情報を知り得るメリットがあります。
しかし、その反面に知らなくてもいい情報を知り、未来が不安になり、SNSコミュニケーションで傷つくなど、悩みが多くなります。
きっと、二宮金次郎が生きた時代の人と現代の私たちの情報量を比べると、当時の人が一生かかって得た情報量を、現代の私たちは1日で得ているのではないでしょうか。
扱う情報が多ければ多いほど、情報に心が囚われ、悩みが多くなります。
だからこそ、日々心に蓄積する悩みに対して日々対応して、心をクリアに保つ能力が、情報化時代に生きる私たちには必要になると思います。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
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