事実を受け入れ、1歩前へ踏み出す勇気

みなさん、こんにちは。

心理カウンセリング空の関口です。

2011年3月11日に発生した東日本大震災から、7年が過ぎました。

あれから7年、みなさんはどんな思いで過ごしてきましたか?

東日本大震災発生当時の私は、「うつ病」になったことを日々後悔し、これからどうやって生きていけばいいのか?を悩み続けていました。前を向き笑顔で生きることができませんでした。

しかし、東日本大震災後の被災者の方から聞いたひとつの話しで、私は「うつ病」になったことへの後悔をやめ、1歩前へ踏みだし笑顔で生きていこうと心に決めました。

いまの私があるのは、その方との出会いがあったからです。

今日は、「事実を受け入れて、1歩前へ踏み出す勇気」と題して、7年前の出会いを振り返ってみたいと思います。

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困難の中でも心からの「笑顔」

今から7年前の3.11大震災のとき、私は有機農業に関わりながら「うつ病」からの心の回復を目指していました。

当時に私は心の奥底で「どうして自分はうつになったのか?」という後悔や「これから先も自分はうつになるのではないか?」という不安を抱えていました。

そのとき、東日本大震災が発生しました。

そして、2011年5月に有機農家の仲間達と被災地で炊きだしボランティアに行くことになり、私もボランティアメンバーとして参加しました。

被災地にいけば「こんな自分でも役に立てることがあるはず」、「新しい何か見つかるかもしれない」という思いを持ちつつ、被災地に入りました。

テレビで被災地の被害状況は知っていましたが、いざ自分の足で被災地に立つと、私の想像を超える被害状況でした。

私たちの炊きだしボランティアチームは、津波により建物の1階部分が破壊された地区で活動することになりました。

その地区は電気以外のライフラインは復旧しておらず、自衛隊による給水や配給で、みなさん困難な生活を余儀なくされていました。

私達はこの地区の神社の一角を借りて炊き出しの準備を開始しました。

このとき、私は被災者のみなさんにどんな声をかければいいのだろうと思いました。

「頑張ってください・応援しています」と言葉で言うのはとても簡単なことですが、津波被害の現実を見ていると「帰る家がある自分」の言葉はすべて薄っぺらく感じてしまい、被災者の方々を元気づけられるような言葉の無さに歯がゆさを感じました。

お昼になり、炊きだしがはじまりました。

神社に地区のみなさんが集まってきました。その光景を見て私は目を疑いました。

被災者のみなさんが、心からの「笑顔」だったのです。

この光景を見たときに「なんで、こんな困難な状況なのに、この人達は笑顔でいられるのだろう・・・?」と疑問に感じました。

なぜならば、当時の私はまだ心から「笑顔」になれていなかったからです。

事実を受け入れて、1歩前へ踏み出す勇気

みなさんの心からの「笑顔」を見たとき、私は「うつを克服するヒントがあるのではないか?」と直感的に感じました。

そして、とても失礼かと思いましたが、一番笑顔が素敵な方に「どうしてこの困難な状況で、みなさん笑顔でいられるのですか?」と素直に聞いてみました。

その方は地区の会長さんでした。

そうだね。今はみんな笑顔でいるよね。

でもね、3.11の当日はとても悲惨な状況だった。多くの街や人が流されたよ。この街でも多くの人が死んだよ。

津波が退き避難していた山から街に降りたとき、それはもう地獄絵図のようだった。

だけどさ、だからといってね、いま泣いたところで、後悔をしたところで、街が元に戻るのかい?亡くなった方が生き返るのかい?

泣いて、後悔して、すべてが元に戻るのであれば、私だっていくらでも泣くよ。

でも、いくら悔やんだって現実は元には戻らない。

だったらさ、起きたことを悔やみ続けるりも、今をしっかりと受け入れ、これからの10年でこの街をどうよりよくしていこうか?と自分たちの未来を描くことの方が大事ではないかな?

きっと、この街のみんなは10年後の未来を描いているから、この状況でも笑顔でいられるのではないかな。

そして、自分たちの未来を描けるから、こうしてボランティアに来て頂いく方々に心からの笑顔で感謝が出来るのだと思うよ。

今日はありがとう。10年後にまたおいでね。

会長さんのお話を聞いたとき、私は「人間の本当の強さ」を実感しました。

それと同時に、この厳しい状況下でも笑顔でいられる会長さんと、何不自由ない生活をしている私が笑顔になれない違いはどこにあるのだろう?と考えました。

そして、わかりました。

私には「起きた事実を受け入れ、1歩前へ踏み出す勇気」がないことに。

会長さんは、大震災という未曾有な現実に対して、しっかりと受け止め・受け入れらているから、1歩前へ踏みだし未来を想像できるのではないか?

一方、私は「うつになった」という事実を受け止め・受け入れられていないから、いつまでも「うつ」を言い訳にして過去を後悔し、未来に不安を感じているだけではないか?

だから、私は心から「笑顔」になることができないのだと腑に落ちました。

そして、私にとって本当に必要なことは「うつになった事実」をどうにかすることではなく、その事実を受け入れ、1歩前へ踏み出す勇気を持つことが必要だと痛感しました。

1歩前へ踏み出すから道が見える

人生では辛いことや悲しいことがたくさん起きます。受け入れがたい現実に直面することがあります。

そういうときは、なかなか事実を受け止めることができず、過去を後悔したり、下を向いて事実から目をそらしたりしたくなるものです。

でも、後ろを向いて過去を後悔していても、下を向いて落ちこんでいても、起きた事実を変えることができません。

起きた事実を受け入れ勇気を出して前へ1歩でも歩みはじめれると、これから進むべき道が見えてくるものです。

そして、勇気を出して1歩を踏み出すことで、起きた事実の本当の意味が後から理解することができるものです。

被災地へボランティアにいくと「逆に元気をもらえた」という声を沢山ききます。

もちろん、私もそのひとりです。

では、どうして逆に元気がもらえるのでしょうか?

それは、自然災害という困難な状況下でも、その現実を受け止め、たくましく前を進もうとする方々の人としての姿を見て「自分も頑張ろう!」と心から思えるからだと思います。

どんなときでも、少しずつでいいから前をへ歩いていきましょう。

まとめ

被災地から戻った私は、その後すぐに心理学を学びました。

それは「事実を受け入れ、1歩前へ踏み出す勇気」を持つためには、まずは「自分自身の心」を知ることが必要であり、そのうえで、起きた事実を受け入れられるような「心の器」を育てていくことが重要だと思ったからです。

いま(2018年3月)から、当時へと振り返ってみると、あの会長さんとの出会いがなければ、今の私はなかったと思います。

受け入れがたい事実にぶつかったとき、勇気を出して前を向くことで道が見え、その道を1歩ずつ進んでいくことで出会いがあり、その出会いや経験から事実を振り返ったとき、その意味を知ることができる。

きっと、人生とはそんな感じではないでしょうか。

ここまでお読みいただきありがとうございました。

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