問題の先にある本質の見極め方~シンプルな問題解決方法~

    みなさん、こんにちは。

    心理カウンセリング空の関口です。

    心理カウンセリングでは、皆さんの悩みや問題のお話を聞かせて頂くのですが、話を進めていくうちに「最初の問題は、実は本当の問題ではなかった」ということが、よくあります。

    私達は、悩みや問題に直面するとすぐに解決したくなるのですが、問題を解決する前に、最初にやるべきことがあります。

    それは、「もし、その問題がなかったら、私はどうありたいのだろう?」と問題の先にある本質を考えることです。

    私がIT業界で仕事をしていた頃、ある会社の社長のITサポートを担当しました。そのとき「問題の先にある本質を見極める」ことの必要性を痛感しました。

    今日は、私が社長から教わった「問題の先にある本質の見極め方」について書いていきます。

    目次
    オンラインカウンセリング

    「パソコンの問題」は「社長の問題ではない」

    社長のパソコンサポート

    以前、 企業のインターネットシステムを保守管理する仕事を私は行っていました。

    その仕事のなかで「パソコンが動かない」、「エクセルが使えない」などのパソコンサポートなども行いました。

    ある日、私のデスクに社長室から内線がかかってきました。

    秘書から「社長のパソコンが動かないからどうにかして欲しい」と依頼を受けました。

    私は社長室に伺い、社長に「どうされましたか?」と質問したところ「エクセルが動かなくて困っている」とのことでした。

    私はパソコンの状況を確認し、 直ぐに復旧作業に取りかかりました。

    しかし、 5分ほどたってから、社長が「遅い!5分以内で終わらせろ」と怒りはじめ「もういい」と社長室から出て行ってしまいました。

    このとき、私は「さすがに5分で問題を復旧できないだろう・・・なぜ、私が怒られなければならないのだ・・・」と心のなかで社長に逆ギレしました。

    「5分以内」と社長に怒られる日々

    その後も、社長のパソコンでトラブルがある度に私は社長に呼び出されパソコンのトラブルを解決するのですが、毎回のように「お前が仕事が遅い」「なぜ、こんなもん5分以内で終わらせられないんだ!」と怒られるばかり。

    社長室から内線がかかってくることに、私はストレスを抱えるようになりました。

    IT技術者の立場では、パソコンのトラブルを復旧するのに最低10分は必要です。

    パソコンの問題を切り分けその問題に対処して、次に問題が起きないように改善策を施す。

    また、当時のパソコンは設定を変更する度に再起動が必要だったため、社長の「5分以内で終わらせろ」という要望はとても無茶なこと。

    私の心の中では、社長に対するストレスがピークになっていました。

    「ライト、ついてますか」との出会い

    次に社長から怒られたら「こんな理不尽な会社は辞めてやる」と私は心に思いはじめた頃、本屋で偶然手にとった本が社長との関係性を変えることになりました。

    その本は「ライト、ついてますか。問題発見の人間学」です。

    「ライト、ついてますか」を手にとり本の内容をパラパラとめくり3つの言葉が目に入りました。

    問題とは望まれた事柄と認識された事柄の間の相違である

    ~ライト、ついてますか より引用~


    問題を抱えているのは誰なのか

    ~ライト、ついてますか より引用~


    解決方法を問題の定義と取り違えるな

    ~ライト、ついてますか より引用~

    この言葉に出会ったとき、私は社長に対して「間違った対応をしている」ことに気づきました。

    そして、どうせ会社を辞める覚悟であれば社長の言われたままの問題を解決するのではなく、技術者としての立場で社長にしっかりと意見を言ったうえで、問題解決をしようと心を決めました。

    問題の本質の発見、そして解決

    人間の心は不思議なもので、自分で「こうしよう」と心に決めたら、あれほどストレスだった社長からの電話がなぜか楽しみに変わりました。

    しばらくして社長室から電話がかかりました。

    私は覚悟を決め社長室にいきました。

    社長はイライラしているようで「パソコンがフリーズして動かない。早く直してくれ」という感じでしたが、私は今までのように社長のパソコンに向かうのではなく「社長ひとつ質問させてください」と切り出しました。

    社長は「なんだ?」と切り返してくれたので、すかさずこう質問をしました。

    「社長、もしこのパソコンの問題が起きなければ、社長は一番なにがしたかったのですか?」

    すると社長は「このExcelの表をすぐに印刷して、10分後の会議で使いたい」と問題の本質を教えてくれました。

    問題の本質が見えることで、解決に向けたアプローチは変わります。

    社長が印刷したいExcelファイルを確認。

    そのファイルは秘書のパソコンからもアクセスできるものだったので、秘書のパソコンからExcelファイルを印刷し社長に手渡しました。

    今回は、社長の問題解決まで5分を切りました。

    このとき、社長から「これが仕事だよ」とはじめてお褒めの言葉をいただいたうえで「パソコンは会議が終わるまでに直しておいてくれればいいから」ということで、ゆっくりとパソコンの問題を解決することができました。

    問題解決とは、望まれた事柄と、認識された事柄の一致である

    「パソコンのトラブルを5分以内で直してくれ」と社長から依頼されたとき、私は技術者の立場から「パソコンの問題を5分以内で解決することは絶対に無理」と考え、心の中で社長に逆ギレしました。

    それは、私が技術者だからこそ技術者の立ち位置で問題を捉えていたからでした。

    しかし、もし社長が最初から「このExcelを印刷したい」と私に伝えていたら、私の対応はどうだったでしょうか?

    きっと、社長のやりたいことをどういう技術で解決できるか?を考え、最初から5分以内で社長の問題を解決できたはずです。

    では、なぜ社長は最初から「このExcelを印刷したい」と私に伝えてくれなかったのでしょうか?

    それは、社長も目先の問題(パソコンがフリーズした)が解決されないと、Excelファイルが印刷できないと思い込んでいたからです。

    これは、お客様とエンジニアの間でよく起こる「問題のはき違え」です。

    社長の「パソコンの問題」を解決することと、社長のやりたいことのために「社長の問題を解決」することは似て非なるものです。

    「問題とは望まれた事柄と認識された事柄の間の相違である」

    ~ライト、ついてますか より引用~

    上記を逆に考えると「問題解決とは、お客様が望まれた事柄と、お客様が認識された事柄の一致」であるということです。

    社長との一件から、この言葉が仕事時の座右の名となり、仕事の質が大きく向上しました。

    問題解決と悩みの解決は一緒

    カウンセリングにおいて「当初の悩みは本当の悩みではなかった」ということがよくあります。

    『ライト、ついてますか』では「問題とは、望まれた事柄と認識された事柄の相違である」と定義しています。

    悩みも問題の定義と一緒で「悩みとは、望んでいる事柄と、認識されている事柄の相違である」と私は考えています。

    例えば、「コミュニケーションが苦手」と悩んでいる人は「コミュニケーションが上手くなりたい」と望んでいます。

    もし、コミュニケーションが上手くなりたいと望まなければ、コミュニケーションが苦手でも悩む必要はありません。

    人は望んでいることの反対側のことで悩みを抱えます。

    次に「コミュニケーションが苦手」という悩みを解決するにはどうしたらいいでしょうか。

    きっと、「話し方教室」や「コミュニケーションが上手くなる本」を読んで、コミュニケーションスキルを向上させることでしょう。

    もちろん、それも必要なことです。

    しかし、コミュニケーションのスキルを向上させることよりも大事なことがあります。

    それは「もし、コミュニケーションが上手かったら、あなたはどうなりたいのか」という、悩みの先の本質を考えることです。

    もしかしたら、その人は「コミュニケーションが上手くなりたい」のではなく、「自分の思っていることを、しっかりと発言をしたい」と望んでいるのかもしれません。

    その場合、「自分の言葉」で発言ができれば、結果としてコミュニケーションスキルが向上されていきます。

    ここで、『U理論入門』から一節をご紹介します。

    「創造すること」と「問題を処理すること」の根本的な違いは簡単である。

    問題を処理する場合、私たちは「望んでいないこと」を取り除こうとする。

    一方、創造する場合は、「本当に大切にしていること」を存在させようとする。

    これ以上に根本的な違いはほとんどない。

    ~人と組織の問題を劇的に解決するU理論入門 名土井僚 著より引用~

    もし、あなたが悩みを抱えてしまったときは、まずは自分自身にこう質問をしてみましょう。

    もし、この悩みがなかったら、自分はどうありたいのだろうか?

    手前の「悩みを解決」することも、その奥にある「望みを実現する」ことも、かかる手間暇は一緒のものだから。

    まとめ

    私は、社長とのやりとりの経験から「問題の先にある本質を見つける必要性」を痛感しました。

    そして、日々の仕事でも「問題の先にある本質を見つけようとすること」を意識していくことで、お客様の「ITの問題を解決」するのではなく、お客様が「やりたいことをITで実現する」と考えられるようになり、技術者としての仕事の質が大きく変わりました。

    もちろん、社長から教わったその考えは、今のカウンセリングの仕事においても活かされています。

    「問題を解決」することと、その問題の先にある「望みを実現する」ことは似て非なるものです。

    そして「問題を解決」しようとするよりも「望みを実現」しようとした方が、アイディアが湧きやすくなるのが人間のおもしろいところです。

    私達は、問題を見つけるとつい解きたくなってしまいますが、まずは「もし、この問題がなかったら、自分はどうありたいのだろうか?」と自分自身に問いかけ、ありたい自分の実現に向けて道を探してみてくださいね。

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