うつからの卒業~うつ病が治るとは?~

    みなさん、こんにちは。

    心理カウンセリング空の関口です。

    春は卒業の時期ですね。今まで通っていたところを卒業し、新しい1歩のはじまり。春はこれからの期待に満ちた季節。

    先日、『ライフ・カウンセリング』を受けたお客様(Aさん)から、無事「うつ病から卒業できました!」とうれしい報告をいただきました。

    Aさんが、『ライフ・カウンセリング』を受け始めたのは2015年10月。

    Aさんは、だいぶ前に「うつ病」を患い心療内科に通い続けていました。

    病院に通い薬を飲み続けたことで、気持ちは安定していたのですが、あるときAさんが勤めている会社で人間関係のトラブルが発生。

    それがきっかけに、Aさんの気持ちは不安定になってしまい「自分では気持ちをどうすることもできない」とのことで、『ライフ・カウンセリング』にお申し込みをいただきました。

    『ライフ・カウンセリング』をはじめてから約1年半後、Aさんは長年患った「うつ病」を無事に卒業することができました。

    それは、Aさんが目標に向けて前向きにコツコツとチャレンジを積み重ねてきた結果です。

    今日はAさんの「うつ病からの卒業」を踏まえながら「うつ病を治す」ことについて、個人的な見解を書いていきたいと思います。

    目次
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    うつ病を治すのは誰ですか?

    心理カウンセリング・プログラムの『ライフ・カウンセリング』では、カウンセリングの最初に「カウンセリング目標」を設定します。

    Aさんは「うつ病を治す」という目標を設定しましたが、「うつ病を治す」ことは目標として適切でないので違う目標を再設定しました。

    なぜ「うつ病を治す」ことを目標としてはいけないのでしょうか?

    それは、「うつ病が治った」と最終判断するのは、Aさんではなく心療内科の主治医だからです。

    心から「うつ病が治った」言るのだろうか?

    Aさんの話の前に、私の経験談をご紹介します。

    みなさんら、「関口さんはどうやってうつ病を治したのですか?」・「どうやって克服したのですか?」とよく質問を受けます。

    Aさんの初回カウンセリングのときも、そのことを質問されました。

    でも、実は私のうつ病はまだ治っていないのです・・・。

    なぜならば、私が通っていた心療内科の主治医から「関口さん、あなたのうつ病は無事に治りました」という診断を受けていないからです。

    「うつ病」と診断するのは心療内科の主治医ですから、その病気が治りましたと診断できるのも主治医だけです。

    なので、私の「うつ病」はまだ治っていないのです。

    実は、私自身がうつ病を患い心療内科に通っていたとき、心の中には常に葛藤がありました。

    それは、 主治医はいつになったら「あなたのうつ病は無事に治りました」と言ってくれるのだろうか?という思いと、主治医から「あなたのうつ病は治りました。もう大丈夫」と言ってもらえたとき、本当に自分自身で「もう大丈夫」だと思えるのだろうか?という2つの相反する思いです。

    だから、診察の後に主治医から「また2週間後に来てください」と言われる度に「残念」な気持ちと「どこかホッとする」気持ちの葛藤がありました。

    でも、あるときから「うつ病が治る」とはいったいどういうことだろうか?という疑問を持つようになりました。

    「うつ病が治る」とはどういうこと?

    私は「うつ病を治す」ために心療内科に通っていた訳ですが、あるとき「うつ病が治る」とはどういうことだろう?と疑問に感じ、そのことを考えるようになりした。

    例えば、「カゼをひいた」とき「カゼが治る」とは、熱が下がり元気になること。

    例えば、「虫歯になった」とき「虫歯が治る」とは、歯の痛みがなくなり元どおり食べられるようになること。

    病気が治るとは、もとの元気な常態に戻ること。

    治療とは、病気の現象に対して処方し元の状態に戻すことですね。

    では、「うつ病が治る」とはどういうことでしょうか?

    「うつ病が治る」=「気持ちが安定」すること。

    だから、心療内科では、今の気持ちの状態を主治医に話してから、気持ちを安定するように抗うつ薬が処方されます。

    心療内科での治療とは【気持ちの安定化】を目指すもの。

    治療の結果、気持ちが安定して「大丈夫」となった時点で「うつ病が治った」ことになります。

    もちろん、それはとても大切なことです。

    しかし、「本当にそうなのだろうか?」と疑問に感じたとき心が葛藤していた理由がわかりました。

    その理由は、気持ちが安定し「うつ病が治った」と診断されたとしても、また自分はうつ病になってしまうのではないか?という不安を心の奥底で抱えていたからです。

    「うつ病が治る」とは「気持ちが安定すること」なのだろうか?と更に疑問が深まっていきました。

    うつ病だから気持ちが落ち込むの?

    うつ病を患いあるときから、私は「うつ病だから気持ちが落ち込む」と考えるようになっていました。

    だから、心療内科に通いうつ病を治せば気持ちが元に戻ると思い込んでいました。

    でも、それは勘違いでした。

    私は、うつ病になったから、気持ちが落ち込んだのではなく、仕事で大きなストレスを抱え、気持ちが落ち込みすぎたから、うつ病になったのです。

    問題の本質は「うつ病になった」ことではなく「仕事で大きなストレスを抱え込んだ」ところにあります。

    だから、私自身が直すべきことは、うつ病という結果ではなく仕事でストレスを抱えてしまった原因、自分自身のあり方や捉え方にあることに気づきました。

    そして、私はうつ病を治すのではなく、自分自身のあり方や捉え方を変えていくことに気持ちを切り替えていきました。

    自分で心の安定を作り出せれば、うつ病は治る?

    Aさんの話に戻ります。

    Aさんが設定した「うつ病を治す」という目標は適切でありません。

    なぜならば、「うつ病が治った」という判断は、Aさんの心の状態を見て主治医が行うものだからです。

    また、Aさんが本当に目指すべきところは、「うつ病を治す」ことではなくAさんご自身が「気持ちの安定を作れるようになる」ことです。

    『ライフ・カウンセリング』では、Aさんは自分で「心の安定を作り出す」ことを目標にし、Aさんは新しい1歩を踏み出されました。

    そして、1年半後Aさんは無事に「うつ病」を卒業することになりました。

    Aさんは、心療内科での最後の診断日に「うつ病」チェックテストを行ったそうです。

    その結果は「まったく問題なし」という評価だったそうです。

    また、長らくお世話になってきた主治医からも「Aさんはもう大丈夫ですね!」と言ってもらえたことで、Aさんご自身も「うつ病を卒業でき、私はもう大丈夫」と自信をもって思えるようになったそうです。

    まとめ

    もちろん、心が大きく落ち込んで「うつ症状」を感じたときは、心療内科での受診と抗うつ薬による気持ちの安定化も必要です。

    でも、気持ちの安定ばかりを図っていても、うつ病になってしまった現実はなにも変わりません。

    気持ちが安定してきたときから、心の安定を作り出す行動が必要だと個人的には思います。

    これも私の経験から思うことなのですが、うつ病は再発が多いと言われていますが、それは「気持ちの状態」だけを見て「うつ病が治った」と評価しているからではないでしょうか。

    ちょっと厳しい言い方になりますが、私がうつ病になったのは、会社の仕事に原因があったのではなく、私自身のあり方や捉え方に原因があったと思います。

    正直、このことを私自身も認めたくなかったです。

    でも、うつ病になったのは、私自身のあり方や捉え方に原因があったと受け入れ、その改善に向けて1歩を踏み出したときから、不思議と私の気持ちが安定していきました。

    もしかしたら、うつ病とは治すものではなく、本来の自分に直すものなのでは?と最近は思います。

    ここまでお読みいただき、ありがとうございます。

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