カスタマーハラスメントの深層 – 立場の乱用が映す心の弱さ

みなさん、こんにちは。

カウンセリングSORAの関口です。

近年、カスタマーハラスメントが社会問題として注目されています。

残念ながら、この問題は今後さらに深刻化すると予想されます。

本日は、この現象について詳しく見ていきたいと思います。

目次

立場によって態度を変える老人

先日、銀行窓口での手続きを待っていると、隣にいた高齢の男性が突然声を荒げました。「遅すぎる!いつまで待たせるつもりだ。私は○○○銀行(大手銀行)の元支店長だ。私の時代はこんなに客を待たせなかった」と。

接客係の行員は丁寧に謝罪し、「スマートフォンで予約されたお客様が優先となりますので、順番までお待ちください」と状況を説明しました。

しかし、その高齢者は「そんなこと知らない。私が○○○銀行の支店長だった頃は…」と、過去の地位を持ち出しながら接客係に怒りをぶつけ続けました。

しばらくすると、その高齢者のスマートフォンに着信がありました。相手は奥様のようでした。

高齢者がどのような態度で電話に出るか気になり、観察していると、「ごめんなさい。銀行の対応が遅くて、まだ時間がかかりそうです。すみません」という具合でした。

この高齢者は、明らかに奥様に対しては弱気な態度を取っていました。

強く出られそうな立場では攻撃的になり、弱い立場では従順になる。

この高齢者の態度に情けないと感じました。

カスタマーハラスメントの心理的背景

優位な立場では強気に、そうでない場合は弱気になる。

このように立場によって態度を急変させるのは、精神的の弱さの表れです。

最近、カスタマーハラスメントが大きな問題として取り上げられています。

口コミなどで、もしくは、接客に対する過度な期待が裏切られた故に、怒りを感じてしまう。

カスタマーハラスメントを行う人々は、「お客様」という優位な立場を利用して、店員を威圧し攻撃的な態度を取ります。

こうした攻撃の真の目的は、客側が過度に期待したサービスに対しての不満か、サービスへの不満ではなく、自身の抑圧された感情を怒りという形で発散することにあります。

いずれにしても、精神的な脆弱さゆえに社会的ストレスに過剰に反応し、そのストレスを「立場」と「怒り」を通じて発散しているのです。

しかし、こうした人々は注意が必要です。

優位な立場にいられるのは店内での「お客様」という一時的な状況に過ぎず、店を出れば即座にその立場は消失します。

また、老人のように過去の役職や立場を使ったところで、いまその立場にいないのであれば、その情報は無意味なことです。

「元○○○銀行支店長」という肩書や、店内での「お客様」という立場は、一時的に強い立場を与えるだけで、その人自身が強いわけではありません。むしろ、内面の弱さゆえに「立場」に頼っているのです。

残念ながら、社会のストレスが増大するほど、このような社会的「立場」を悪用したカスタマーハラスメントは増加すると予想されます。

抑圧されたストレスを立場と怒りを利用して解放すること、これがカスタマーハラスメントの本質的な目的なのです。

店舗側も時には毅然とした態度を取る必要があります。少なくとも、ストレス発散の対象にならないよう注意を払うべきでしょう。

目指すべきは、立場が変わっても自分を変えないこと

立場や状況によって態度を変えるのは、自己の弱さの現れです。

周囲の状況を見極め、有利な時は威張り、不利な時は弱気になる。

しかし、これは精神的に脆弱な人の特徴であり、人間としての魅力に欠けると思います。

私が心がけているのは、立場が変わっても自分自身を変えないことです。

相手がレジの「店員」であれ、取引先の「社長」や「事務員」であれ、すれ違う「近所の人」であれ、自分の態度を変えないよう意識しています。

誰に対しても公平でフラットな態度で接するために、自分の考えや感情を意識しつつ、相手の立場も考慮してコミュニケーションを図ります。

このアプローチにより、立場や状況に応じて自分を変える必要がなくなり、結果的にストレスも軽減されると感じています。

容易なことではありませんが、人と関わる際に常に意識していることです。

まとめ

残念ながら、社会のストレスが増大するほど、社会的「立場」を悪用したカスタマーハラスメントは増加すると予想されます。

スマートフォンやSNSの普及により、自分の思い通りにならないことに対して「ストレス」や「怒り」を感じる人が増えているからです。

そして、自身の怒りを発散する手段として「お客様」という立場を利用し、「店舗」に対して理不尽なクレームをつけて発散する人が増えていると考えられます。

先述のエピソードの高齢者も、過去の役職と客の立場を利用して銀行を攻撃していたに過ぎません。

逆に、過去の役職や客の立場を利用できない場面では、大きなストレスを感じているのでしょう。

私たちは、このような年の重ね方は避けたいものです。

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