みなさん、こんにちは。
心理カウンセリング空の関口剛史です。
もうすぐで、新年度のはじまりですね。
新年度は、卒業や入学・人事異動などで出会いと別れがあり、人間関係が大きく変わる時期。
新しい人間関係は、お互いの関係性がうまくまわればWin-Winの人間関係にまで育つのですが、関係性がギクシャクしてしまうと、お互いが一緒にいるだけで疲れてしまうことになります。
人間1人ひとりの個性も価値観も考え方も違うため、関係性がギクシャクしてしまう原因は様々なのですが、よくある原因のひとつが、自分と他人を比べて「優越感」や「劣等感」を抱いてしまうこと。
特に「劣等感」を抱く人は、誰かと自分をくらべて「自分に自信がない」とか「自分はダメだ」と思い込んでしまうため、新しい人間関係に疲れ果ててしまいます。
今日は、これからの新しい人間関係に向けて、自分と誰かを比べてしまう理由と未来に向けて劣等感を克服する2つの方法について書いていきます。
比べることをやめられない理由
私たちは、自分と誰かをいつも比べてしまいますね。
心理学の本などで「自分と誰かをくらべなければ、心は楽になる」と書かれています。
しかし、そのことを頭で理解しても、心で腑に落ちないから、どうしても比べてしまう。
どうして、自分と誰かを比べることがやめられないのでしょうか?
それは、比較することとは、必要な情報を得るために行うことだから。
インターネットのWebサイトでは、比較サイトが人気ですね。
ホテルや旅館の比較サイト、家電製品の比較サイトなど、車の買い取り額の比較サイト。同じようなサービスや商品の情報をひとつにまとめて比較をする。
そうすることで、お得な情報を見つけることができたり、自分にとって本当に必要な情報を得ることができたりする。
比較サイトの目的は、情報を比較することではなく、似たような情報を比較することで、その中から本当に必要な情報を引き出すこと。
もしかしたら、私たちが自分と誰かを比べてしまうのも、自分にとって必要な情報を引き出すためなのではないでしょうか。
比べてしまう理由をそう仮定すると、自分と誰かとくらべることをやめようとするのではなく、「なぜ、くらべてしまうのか?」を知ることが大事ではないでしょうか。
比べることで抱く「優越感」と「劣等感」
あなたは、自分と誰かを比べたとき、どんな気持ちになりますか?
あの人より自分の方が勝っているという「優越感」ですか?
それとも、あの人より自分の方が劣っているという「劣等感」ですか?
自分と誰かを比べると「優越感」か「劣等感」のどちらかを抱くことになります。
「優越感」を抱く人は、必ず自分よりも少し劣っている人を選ぶことで「優越感」を抱いて気分を上げようとします。
一方、「劣等感」を抱く人は、必ず自分よりも少し勝っている人を選んで「劣等感」を抱いて気分が落ち込んでしまいます。
きっと、今このブログを読んでいるあなたも、いつも「劣等感」を感じてしまい、「自分に自信が持てない・・・」誰かと自分を比べて「気分が落ち込んでしまう・・・」と悩んでいませんか?
「比べることをやめられれば「劣等感」を感じなくてすむのに・・・」と考えていませんか?
でもね、比べた後に「劣等感」を感じられることは、決して悪いことではありません。
なぜならば、「劣等感」に対しての考え方を改めれば、劣等感はこれからの成長のエネルギーになるからです。
誰と自分を比べていますか?
「劣等感」を感じて、気分が落ち込んでしまう人に、「劣等感の考え方を改めれば、これからの成長のエネルギーになる」と書いところで、信じてもらえないと思います。
実は、私自身も以前は劣等感のかたまりでした。いつも自分と誰かを比べて「自分はダメだ」と思い込んで落ち込んでいました。
また、あるときは「劣等感」を隠し虚勢を張って「優越感」を得ようとしたのですが、虚勢を張って誰かと話しているときの内心はいつもビクビクしていました。
比べることをやめたい「劣等感」を味わいたくないと思い悩んでいるとき、フッとひとつの疑問が思いつきました。
その疑問とは「いったい、自分と誰を比べているのだろう・・・」というもの。
ところで、あなたは自分と誰かを比べるとき、どういう人とあなたを比べていますか?
うまれたての赤ちゃんと自分を比べますか?
お年寄りと自分を比べることがありますか?
今の自分とかけ離れている人とは、わざわざ比べないですよね。
私たちが自分と誰かを比べるとき、1つの共通点があります。それは、今の自分と近い存在の人を選んだうえで比べるということです。
では、なぜ私たちは自分と近い存在の人を選んで比べてしまうのでしょうか?
比べることとは、本当に必要な情報を得ること。
自分と誰かを比べることで得られる情報とは、あなたが「こうありたい」と求める理想像です。
未来に向かって劣等感を克服する方法
「劣等感」を感じるとき、必ずあなたと近い存在の人と比べています。
それは、あなたが心のどこかで、その人のように私もなりたいと思っているからではないですか?
例えば、コミュニケーションが苦手なAさんが、コミュニケーション上手なBさんと比べ「私はコミュニケーション下手だから」と落ち込んでしまうのは、Aさんは心のどこかでBさんのようにコミュニケーションが上手になりたいと思っているからです。
もし、Aさんが「私はひとりで生きていく」と考えていれば、コミュニケーション上手なBさんを見ても比べることはせずに心が落ち込むこともありません。
自分と誰かを比べるのは、心のどこかでそのような自分になりたいと思っているから。
アドラー心理学で有名なアドラーは劣等感について下記のように語りました。
「人は未来に向かって劣等感を克服し、優越感を求めて向上しようとする存在である」
~重野 純著 心理学 キーワードより引用~
このアドラーの言葉を言い換えると、劣等感とは未来に向かって克服していけるものと言えます。
では、未来に向かってどのように劣等感を克服していけばいいのでしょうか?
人それぞれ「劣等感」の感じ方がことなるため、「これが劣等感を克服する正しい答えです」とは言えないのですが、今回は以下2つの考え方をご紹介します。
- 相手をモデリングして劣等感を克服する
- 自分弱さを受け入れ、相手とのWin-Winの関係をつくる
相手をモデリングして劣等感を克服する
コミュニケーションが苦手なAさんが、コミュニケーション上手なBさんと比べ、「私はコミュニケーション下手だから」と気持ちが落ち込んでしまうのは、Aさんの心のどこかで、私もBさんのようにコミュニケーション上手になりたいと思っているから。
自分と誰かを比べて、気持ちが落ち込んでいても、Aさんも周りの環境もなにも変わりません。
Bさんのように「コミュニケーション上手」になりたいと思うのであれば、Aさん自身が日々のコミュニケーションを意識的に変えていく必用があります。
具体的な方法のひとつとして、AさんはBさんのコミュニケーションを観察して、Bさんのコミュニケーションを意識的にモデリングすれば、Aさんにコミュニケーションは少しずつ変化していいきます。
そして、AさんがBさんと同じようなコミュニケーションができるようになれた時点で、AさんはBさんと比べる必要性はなくなります。
アドラーの言う「劣等感を克服し、優越感を求めて向上した」状態になります。
自分弱さを受け入れ、相手とのWin-Winの関係をつくる
「相手をモデリングして劣等感を克服する」方法は、自分の苦手とする部分(弱み)を変えていくため、それなりに時間がかかります。
もし、あまり時間をかけたくないのであれば、「自分の弱さを受け入れ、相手とのWin-Winの関係性」をつくる方法もあります。
自分と誰かを比べるとき、ほとんどが「自分の弱み」と「相手の強み」を比較しています。
コミュニケーションが苦手(弱み)と感じているAさんは、必ずコミュニケーションが得意の人(Bさん)と比較しています。
しかし、Aさんの弱みはBさんの強み、Aさんの強みはBさんの弱みです。
コミュニケーションが苦手な人は、様々な角度で物事を考えることができる人が多いです。頭の中にいろいろな考えがあるから、それをうまく言葉にできないだけです。
逆に、コミュニケーションが上手な人は、その場のフィーリングで上手に言葉を使えます。しかし、その場のフィーリングで言葉を使うから、考えが浅くなることがあります。
いろいろな考えを持てる強みがある人と、その場のフィーリングで言葉を使える強みがある人が、共通ビジョンを持てたときWin-Winの人間関係をつくることができます。
例えば、「ソニー」が世界に躍進できたのは、技術者の「井深大さん」と営業の「盛田昭夫さん」がいたからです。
世界のホンダは、技術屋の「本田宗一郎さん」と経営の「藤沢武夫さん」が協力できたから、世界のホンダになれた、
きっと、技術者の「井深さん」と「本田さん」は、経営や営業は得意ではなかったはず。
その技術者の弱みを補う「盛田さん」と「藤沢さん」がいたから、ソニーもホンダも世界に躍進できたのではないでしょうか。
お互いに、自分の弱さを受け入れ相手の強さを認めて、その2人が共通ビジョンを持てたとき、はじめてWin-Winの人間関係がつくれるのだと思います。
まとめ
人間には誰にだって長所も短所があり、誰もが劣等感を抱くものです。
しかし、誰かと自分を比べ劣等感を抱いたあとに、「自分はダメだ」と落ち込んでしまうか。
それとも、自分の弱みを素直に受け入れ、劣等感を糧にして、自分を少しずつ高めるようとしたり、相手とWin-Winの人間関係を育てようとしたりする考え方がもてるかどうかで、その後の人間関係は大きく変わってくると思います。
人間は誰もが完璧な存在ではありません。だからこそ、自分と誰かを比べたあとに、その人とよりよい人間関係を築いていこうという考え方を持つことが大事だと、私は思います。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
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