「引き寄せの法則」にたりないこと

    みなさん、こんにちは。

    心理カウンセリング空の関口です。

    前回のブログで「心の検索機能」について書きました。

    心の検索機能とは、心に問いかけた言葉やイメージが意識化され、その意識化された情報を脳が必用なものだと判断し視覚の焦点をあてることです。

    例えば、毎日の通い慣れた通勤途中に「赤いもの」を意識すると、今まで目に入らなかった「赤いもの」が見つかりようになります。

    ところで話しが変わりますが、心理やスピリチュアルの世界では「引き寄せの法則」というものがありますが、あなたは「引き寄せの法則」をご存じですか?

    以前、私は「引き寄せの法則」に心を奪われたことがあり、色々な引き寄せようとしたのですが、なにひとつ引き寄せることができず、人生は何も変わりませんでした。

    では、なぜ当時の私には「引き寄せの法則」が働かなかったのでしょうか?

    それは「引き寄せの法則にたりないこと」があることに気づいていなかったからです。

    今日は、前回の心の検索機能を踏まえながら「引き寄せの法則にたりないこと」について書いていきます。

    目次
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     引き寄せの法則とは

    あなたは「引き寄せの法則」をご存じですか?

    「引き寄せの法則」は「宇宙の法則」ともいわれ、心理やスピリチュアルに興味がある方は誰もが知っている法則だと思います。

    「引き寄せの法則」には色々と諸説があるのですが、この法則を私なりにひと言で説明するならば「夢(望み)が叶った自分を強くイメージすること。そうすることで夢が引き寄せられ現実化される」というもの。

    夢が叶った自分を強くイメージするために、夢をよりリアルにイメージ化すること、ワクワクするような夢を描くこと、肯定的な言葉(アファーメーション)を使うこと、ビジョンボードなどに夢の写真を貼っておくなどの色々な方法があります。

    「引き寄せの法則」セミナーなどでは、「夢が叶った自分をイメージする」方法を教えてくれます。また、「引き寄せの法則」に近い考え方としてナポレオン・ヒルの「思考は現実化」などがあります。

    私が「引き寄せの法則」を知ったのは、うつ状態で深く悩んでいるときです。この法則を知ったとき「そっか、イメージすることで夢が引き寄せられるんだ!」と心を奪われました。

    それから、夢や願望をリアルにイメージしたり、ビジョンボードに写真を貼ったり、セミナーに参加したりしましたが、結局、何も引き寄せることができず、人生はなにひとつ変わりませんでした。

    本当に「引き寄せの法則」はあるのでしょうか?

    本当に引き寄せの法則はあるの?

    そもそも本当に「引き寄せの法則」は自然界にある法則なのでしょうか?

    とある「引き寄せの法則」の本では、法則を実感するため「まずは、黄色い蝶々(ちょうちょ)をイメージして引き寄せてみましょう」と書かれていました。

    実際に「黄色い蝶々」をイメージすることで、どこかのタイミングでかなりの確率で黄色い蝶々を見つけることができます。そして、黄色い蝶々を見つけたときに「これは、引き寄せの法則」だと信じることができます。

    ただ、人は自分がとった行動の意味や見返りをどこかで求めています。

    例えば、引き寄せの法則を意識して「黄色い蝶々をイメージ」すれば、実際に黄色い蝶々を見つけたときに「黄色い蝶々」と「引き寄せの法則」を関連付け、「黄色い蝶を見つけられたのは、引き寄せの法則によるものだ」と思い込んでしまいます。

    しかし、なぜ法則を実感するために「赤い蝶々」ではなく「黄色い蝶々」なのでしょうか?

    「赤い蝶々」をイメージして現実に「赤い蝶々」を見つけることができれば、「引き寄せの法則」は確かにあると言えます。しかし、「赤い蝶々」をイメージしたところで「赤い蝶々」が現れることはありません。

    なぜ「黄色い蝶々」を指定したのか?

    それは、今まで存在していたけれど、あまり気にしていなかったものに意識の焦点を向けさせるためです。

    「引き寄せの法則」とは、何かが自分に引き寄せられてくるのではなく、今まで見えていなかったものに意識の焦点を向けることとも言えます。

    要するに「引き寄せの法則」とは、誰にでもある「心の意識化と脳の焦点化の仕組み・法則性」のことなのです。

    引き寄せの法則にたりないこと

    「引き寄せの法則」はネーミングがいいですね。

    「引き寄せる」は「引っ張って近くに寄せる」という意味なので、自分の今の立ち位置に夢の方が近寄ってくるという印象を持てます。イメージすれば夢の方から自分に近寄ってくる。もしそれが本当ならば最高ですね。

    しかし、仮にあなたが「北海道に行きたい」と思い、「北海道」を強くイメージしたところで、あなたの立ち位置まで「北海道」が近寄ってくることはありませんよね。

    残念ながら、強く何かをイメージしただけで、その何かが叶うこと現実化されることはありません。

    あなたが「北海道に行きたい」と強く思うのであれば、あなたの足で「北海道」に向かう必要があります。

    あなたが何かを叶えたいと思うのであれば、その何かに向けて今のあなたの立ち位置から新しい1歩を踏み出す必要があります。

    「引き寄せる」と言われると、何もしなくていいように感じてしまいますが、実際には夢や目標に向けた具体的な行動が必要です。

    当時の私が「引き寄せの法則」を実践しても、なにひとつ変わらなかったのは、夢に向けた行動を取らなかったからです。

    本当に必要だったのは「夢が叶った自分をイメージする」方法を誰かに教えてもらうのではなく、自分自身の足で1歩踏み出す具体的な行動だったのです。

    本質はイメージ+意識化+行動にある

    では、「引き寄せの法則」は意味がないことなのでしょうか?

    先ほども書きましたが「引き寄せの法則」とは、誰にでもある「心の意識化と脳の焦点化の仕組み・法則性」のことです。

    前回のブログでも書きましたが、人は心で意識化されたものに焦点があたります。

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    例えば、「赤いものを見る」と意識すれば、今まで見えていなかった「赤いもの」が見えるようになります。強く意識すればするほど、そこにより焦点があたります。

    あなたが「北海道に行きたい」と意識しながら今日1日行動すれば、北海道旅行のパンフレット、北海道をテーマにしたテレビ番組、北海道までの格安航空券の宣伝など、北海道に関する色々な情報が目に入るようになります。

    「引き寄せの法則」の本質は、イメージングによる意識化と実際の行動です。

    意識化しながら行動をすることで、今まで見えなかったもの、今まで出会えなかった人、今まで体験できなかったことに出会うことができるのです。

    ここで大事なことは、あなたの元にそれらが引き寄せられたのではなく、あなたが意識化して行動したことで、あなたにそれらが見えるようになったということです。

    ワクワクは葛藤と抵抗を乗り越えるための手段

    「引き寄せの法則」や「夢を叶える」セミナーなどでよく言われているのが「あなたがワクワクするような夢を描きましょう」です。

    セミナーなどでは、ワクワクするような夢を描き、参加者同士でシェアをすることで、まるでその夢が叶ったような高揚した気分になれます。それはそれで心地がいいものです。

    しかし、セミナーが終わって3日もすればワクワクした気持ちも薄れ、またいつもの日常に戻ります。そして、またワクワク感を求めて違うセミナーに行ってしまったりします。

    ワクワクするような夢を描き、ワクワクする夢を目標に行動を起こすと、必ず挫折します。

    なぜならば、ワクワクする夢は目的ではなく、葛藤と抵抗を乗り越えるための手段だからです。

    あなたはどんな夢を描いていますか?

    1人ひとり性格も価値観も違うように、1人ひとりが描く夢も違うもの。

    しかし、夢にはひとつだけ共通点があります。

    それは、夢とは「今の自分ができないことを、未来の自分ができるようにすること」です。誰もが、今の自分にできることを夢にしないですよね。

    夢を叶えるとは、未来のありたい自分像に向けて今の自分を変えていくこと。

    しかし、人間にはコンフォートゾーン(安心領域)があり、今の自分を変えたくないとも思っています。よって、夢を設定すると「変わりたい自分」と「変わりたくない自分」の葛藤が生じます。また、自分ができないことをできるようにするには、それなりの抵抗(ストレス)がかかります。

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    ワクワクする夢を叶えることが目的になると、心の中で葛藤が生じたとき、夢に向かって1歩踏み出したときに抵抗(ストレス)がかかったときに、「これはワクワクする夢ではないんだ・・・」と夢を簡単にあきらめて違うワクワクする夢を探しはじめます。

    一方、ワクワクする夢が手段であることを理解しておくと、葛藤や抵抗がかかったときにこそ、ワクワクするような夢をイメージし、そのワクワク感を行動の原動力にして葛藤や抵抗に向かって1歩進むことができます。

    「引き寄せの法則」もワクワクする夢を描くことも、高揚感を得るためではなく、夢を意識化することで焦点を定め、夢に向かって行動したときに生じる葛藤や抵抗の中でもあきらめずに1歩ずつ進んでいくための手段なのです。

    まとめ

    流れ星が流れている間に、夢をお願いすると、その夢が叶うと言われています。

    しかし、流れ星はあっと言う間に消えてしまいます。その一瞬の間にどうやって夢をお願いすればいいのでしょうか?

    それは、常に心の中に夢を描き続けていることです。

    流れ星を見つけてから夢をお願いしていたのでは遅いので、星が流れる偶然の一瞬のときにでも夢を描き続けられているかどうかがポイントです。

    「引き寄せの法則」やワクワクする夢を描いても、自分の立ち位置が変わらなければ、人生は何も変わりません。

    夢や目標を意識化しながら行動することで、今まで見えなかったことが見えるようになり、感じられなかったことが感じられるようになります。

    あなたの元に何かが引き寄せられるのを待つのではなく、ワクワクする夢を心に描きながら、あなたの方から1歩ずつ、未来の自分へ近づいていきましょう。

    ここまでお読みいただきありがとうございました。

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