みなさん、こんにちは。
心理カウンセリング空の関口です。
この間、久しぶりにデールカーネギーの『道は開ける』を読みなおしました。
この本にはじめて出会ったとき、まだ私はうつ病で悩んでいたときでした。
「これからの人生をどう生きていけばいいのか・・・」と思い悩んでいるとき『道は開ける』を読み、悩みや不安に対する考え方が変わったことを今でも覚えています。
当時の私はこれからの自分の将来が不安でいっぱいでした。
将来が不安でいっぱいだから、今日を生きていくのが辛いと感じていました。
しかし、その考えは大きな誤りでした。
「不安とは、今日を恐れおののくものではなく、これからの道を切り開いていくもである」ことに『道は開ける』を読んで気づかされました。
『道を開ける』では、不安に対しての「考え方」が紹介されており、実際に紹介されている考え方をすることで、自分の不安が不安ではなくなることが感じられます。
今日は『道は開ける』を私なりに要約しながら、不安を解消する7ステップをご紹介していきます。
不安とは
「道は開ける」の要約の前に、まずは不安について考えていきましょう。
まず、以下の4つ質問のうち、どれが一番不安を感じるでしょうか。
【質問1】
・ご自身や家族のこれからの人生に不安を感じますか?
【質問2】
・明日の仕事のことに不安を感じますか?
【質問3】
・今日食べる晩ご飯ことに不安を感じますか?
【質問4】
・先週仕事で失敗をしたことに不安を感じますか?
いかがでしたでしょうか。
きっと誰もが質問1に一番不安を感じると思います。
では、なぜ質問1に不安を感じるのでしょうか。
それは、漠然とした未来のことを考える必要があるからです。
質問2は「明日の仕事」のことを具体的に聞かれているので、家族の人生のことよりも感じる不安は小さいです。
質問3は「これから確実にできること」に対して不安は感じられません。
質問4は「過去のことに不安は感じられません」
もし、過去のことに不安を感じるとすれば、それは過去の出来事を起因とし、これから起こる出来事に不安を感じているだけです。
上記4つの質問から見えてくるものは、私たちの不安は【漠然とした未来のことを想像すること】からうまれます。
次に別の質問をします。
【質問5】
・宇宙人が地球に襲来することを想像すると不安に感じますか?
【質問6】
・3ヶ月後に「どこか旅行に行こう!」と想像するのと、3ヶ月後に「大震災がくるかもしれない・・・」と想像するのでは、どちらの方が不安を感じるでしょうか。
質問5はそもそも想像できないことに不安は感じられません。
「凶暴な宇宙人を発見しました」とニュースが流れたとき、はじめて質問5のことを不安に感じられます。
質問6は「どこに旅行に行こうか?」よりも「大震災が来るかもしれない・・・」の方に誰もが不安を感じます。
「旅行にいく」ことも「震災が起こる」こともこれからの事を考える質問ですが、未来をマイナス側に考えると人は不安を感じます。
上記6つの質問をまとめると、不安とは「漠然とした未来のことを、想像できる範囲内で、マイナス側に考えている」ときに感じるものと定義することができます。
もし、不安を簡単に解消したいのであれば、未来のことを一切考えないことです。
未来の事を考えなければ不安を感じる事もありません。
しかし、未来の事を考えなければ、夢や希望も考えることもできません。
カーネギーは言います。
明日への配慮は必要だが、明日への心配はいらない。
~道は開けるより引用~
配慮とは「よい結果になるように心を配る」ことで、心配とは「思いわずらう」ことです。
明日を思いわずらう必要はありませんが、明日がよい結果になるように心を配り考える必要はあります。
思考という労力を支払わずに済ませることは、絶対にできない
~トーマス・エジソンの言葉 道は開けるより引用~
「道は開ける」で書かれていることを一言で表すと「不安と向き合い、その不安が解消されるまで考え、行動を続ける」ということです。
では、不安と向き合い、その不安が解消されるまで、どう考え行動をすればいいのでしょうか?
不安と向き合い解消する7ステップ
「道が開ける」では不安を解消するために、いくつかの考え方が紹介されています。
当ブログでは、その考え方を以下の7ステップにまとめました。
いま心の中に不安を感じている方は、以下の7ステップを実際に行ってみてください。
Step1 何が不安なのかを書き出す
頭や心の中に不安が蔓延していると、何かを感じたり新しく何かを考えたりすることができません。
カーネギーは言います。
不安とは、人から物事に集中する力を奪ってしまう最大の敵である
~道は開けるより引用~
不安を抱えてしまったら、まずは何が不安なのかを思いつくまま「不安・心配リスト」として紙に書き出していきます。
紙に書き出していくことで、自分がどんなことに不安を感じているのか?が客観的に見えるようになってきます。
Step2 最悪の場合、どんなことが起こりえるかを考える
不安とは、「漠然とした未来のことを、想像できる範囲内で、マイナス側に考えている」ときに感じるものです。
せっかくマイナス側に考えているのであれば、トコトンマイナス側まで考えてみましょう。
Step1で書き出された不安のひとつひとつに対して、その不安が現実化してしまった場合、最悪どんなことが起こりうるかを具体的に考えます。
Step1の「不安・心配リスト」に「これからの人生が不安」と書き出されていたら、これからの人生で起こりうる最悪なことを具体的に考え「最悪な結果リスト」として書き出していきます。
例えば、会社が倒産するかもしれない、病気になるかもしれない、などが考えられると思います。
このワークは一見不安を助長するように感じますが、実際にワークを行ってみると「不安の底辺を具体化する」ことで気持ちの変化が起こります。
不安は「漠然とした未来の考え」からうまれます。
その漠然とした不安を具体化することで、不安はこれからの課題へと変わります。
Step3 事実を見極め、必要であればそれを受け入れる
次にStep2で書き出された「最悪の結果リスト」を見て、それが事実かどうかを客観的に考えていきます。
「会社が倒産するかもしれない」という不安の場合、倒産するのは事実かどうか?、もし事実であるならばいつ倒産するのか?、どういう状況で倒産するのか?、倒産したらどうなるのか?など「最悪の結果リスト」に書き出された内容を事実に基づいて客観的に考え評価を付け加えます。
客観的に考えた結果、将来会社が倒産するのが事実だとしても、それが10年後・50年後のことであれば「倒産するかも・・・」と【いま不安に感じる】のは無意味なことです。
「人が事実を公平に、客観的に見ることに時間を費やしたならば、あらゆる不安というものは霧のように蒸発して消えてしまう」
~道は開けるより引用~
「病気になるかもしれない」という不安は、誰もが抱えている不安です。
しかし、人間はいつか病気にかかり、やがて死を迎えます。
それは誰も変えることができない事実です。
病気になることや死を迎えることに【いま不安を感じ続ける】と、その不安が心労となり結果として病気にかかってしまうものです。
不眠症に思い悩むことは不眠症以上に害がある
~道は開けるより引用~
事実を見極め、変えることができない事実は受け入れ、変えることができるところは自らの意思で変えていく心を持つことで、漠然とした不安からの恐れは軽減されていきます。
Step4 いまの自分に何が出来るのかを書き出す
Step3で付け加えた「評価」を見て、近い将来に現実化しそうな不安に対しては、その不安が現実化しないようにいまの自分で何ができるか?を考え「アクションリスト」として書き出していきます。
例えば、「会社が倒産するかもしれない」という不安が事実に基づいた不安であるならば、会社が倒産しないようにいま自分に何ができるのか?、もしくは、会社が倒産した場合を想定して、いまの自分に何ができるか?と「いま自分にできそうなこと」なことを「アクションリスト」に書き出します。
「アクションリスト」を書き出すときのポイントは、実際にできるかできないかの評価をすることなく、思いつくまま紙に書き出していくことです。
書き出す際は「開発部が新商品を企画する」といった感じで「主語+動詞」を意識することで、これから進むべき道が開けてきます。
人生とネガティブに向き合うのをやめ、ポジティブに向き合うべきだということだ。
たとえば、問題を心に留めておくのは重要なことだが、不安になるべきではない。
「心に留める」ことと「不安になること」の違いとは、「心に留める」とは問題がなにかを理解し、それを解消すべく落ち着いてステップを踏むこと。
一方「不安になる」ということは、意味のない狂気の輪の中を、ぐるぐる回り続けることである。
~道は開けるより引用~
Step5 これから自分がどうするべきかを決断をする
Step4で書き出された「アクションリスト」を見ながら、これから自分が「どうありたいのか?」、そのために「いま自分は何をするべきか」を考え決断をします。
人はできごとそのものではなく、できごとを自分がどう見るかで傷つくのである
~哲学者モンテーニュの言葉 道は開けるより引用~
不安をどう感じるかで、今日を恐れて過ごすのか、それともその不安が現実化しないよう行動に変えていくのかを自分で決めることができます。
Step6 落ち着いて、秩序ある1歩を進める
人は、自らの不安を克服するべく新しい1歩を踏み出すときに「いちばん不安」を感じます。
そのときに「秩序ある行動」を意識します。
不安からうまれる行動には2種類あります。
ひとつの行動が「パニック(混乱)行動」です。
パニック行動は、不安に恐れおののきながら目先の不安を解消するためだけの行動で周りを見ることができず自分勝手な行動になります。
パニック行動を起こすことで目先の不安は解消されますが、根本的には何も解決できていません。
よって、不安を感じる度にいつもパニック状態に陥ってしまいます。
もうひとつの行動が「秩序ある行動」です。
心が感じている不安を書き出し事実を受け入れその不安が現実にならないよう、自分ができることを決断することで、はじめてこれから自分が行うべき道筋が見えてきます。
そして、その道筋に向かって落ち着いた心持ちで新しい1歩を進めることで、はじめて不安は解消されていきます。
「パニック行動」と「秩序ある行動」の違いは、心の不安や恐れを受け入れているか否かの違いです。
不安に恐れおののくのではなく、不安を受け入れその不安に対して道筋を立てることで、Step6の落ち着いた行動をとれるようになります。
世界にはびこる不安の半分は、人びとが決断を支える基本的な知識を持たぬままものごとを決断しようとするところから生まれている
~コロンビア大学 ホークス学長の言葉 道は開けるより引用~
Step7 変化の不安を恐れず、1日を積み上げる
自分が決断したことにたして新しい1歩を進めると、これからの希望と同時に新たな不安を感じるようになります。
例えば、「失敗したらどうしよう・・・」「本当にこの道筋で正しいのかな・・・」と前に進めば進むほど、新たな不安が増えていきます。
しかし、Step1~Step6までしっかりと考え決断に基づく行動であれば、新たな変化に対する不安を受け入れつつ、1日1日に区切りをつけて1歩1歩進んでいくことです。
今日という一区切りを生きる。
すべての智慧と情熱とを今日1日に傾けることこそが、明日に備える最上の手段である。
未来への準備とは、そのようにしかできないものなのだ
~道は開けるより引用~
私たちの心は「恒常性」の働きにより、新しい変化に不安を感じ安心な元の自分に戻そうとします。
恒常性の元の自分に戻そうとする力はとても強力です。
恒常性の反発に負けそうになったとき、Step1で書き出した「不安・心配リスト」を見なおしてください。
そして、思い出してください。
元の自分が不安や心配でいっぱいだったからこそ、不安と向き合い新たな行動を起こしてきたことを。
判断を下してあとは行動するだけという段階になったら、結果に対する責任や懸念は一切捨て去ること
~哲学者 ウィリアム・ジェームス 道は開けるより引用~
レモンをレモネードに変える
私たちが抱える不安とは「レモン」のようなもの。
そのレモンは「すっぱい!」と何も考えずに捨てることもできるし、レモンの酸味を活かして「おいしい」レモネードを作ることもできます。
レモンを手に入れたとき「すっぱい」と投げ捨てることと、「どうやったらおいしいレモネードが作られるだろうか」と考えることでは、どちらの方が人生を豊かに生きられるでしょうか。
「私が思うに、近代科学の最大の発見とは、『自己実現と幸福とには自己犠牲や訓練が必要なのだ』ということを、科学的に証明したことである。
~ニューヨーク臨床心理センター ヘンリー・C・リンクの言葉 道は開けるより引用~
なぜ、私たちは不安を抱えるのでしょうか。
実は私たちが抱える不安には2種類あります。
それは「変化しないことへの不安」と「変化していくことへの不安」です。
Step1で「不安・心配リスト」に書き出されたことが「変化しないことへの不安」です。
Step7で感じたことが「変化していくことへの不安」です。
心は、新しく変化していくことに不安を感じる一方、何も変化しないことにも不安を感じます。
お釈迦様は「この世は諸行無常である」と説きました。
私たちが新しい変化を不安に感じていても、世界は時と共に変化をしていきます。
私たちの体や思考も時間と共に衰えていきます。
だからこそ「道は開ける」では「不安に恐れるのではなく不安と向き合い、その不安が解消されるまで考え行動を続けていくこと」が重要であると伝えています。
不安から逃げ出すのではなく、その不安と向き合い、そこから今の自分ができることを考え行動を起こすことで、これから進むべき道が開けます。
逆に考えると、不安とはこれから進むべき道を教えてくれるひとつのサインなのかもしれません。
心理学者のアルフレッド・アドラーは言います。
人の持つ驚異の性質とは「マイナスをプラスに変える力である」
~道は開けるより引用~
「変化しないことの不安」に恐れながら今日1日を過ごすこと、「変化していく不安を受け入れながら」今日も1歩前に進むこと、どちらの道を選択した方がこれからの道が開けるでしょうか?
私は後者の選択だと思います。
最後に「道は開ける」に紹介されている「ジェームス・アレン」の言葉をご紹介します。
人が周囲の物事や人びとへの意識を変えると、物事や意識の自分への接し方が変わってくる。
考え方を大きく変えれば、人生を取り囲む状況がぐるりと瞬く間に変わるので、驚かされることになる。
人は欲するものを引き寄せるのではなく、ありのままのものを引き寄せる。
人生の行く末を決める神は、我々自身の中にいる。
それは、自己そのもののことなのだ。
人の手に訪れるものはすべて、本人の思考が生み出し、引き寄せるものばかり。
思考を高めない限り、成長し、勝利することなどできはしない。
思考を高めることをせずにいれば、弱々しく、卑屈で、惨めに生きてゆくしかなくなるのだ。
創世記には、創造主は人類に全地上を支配する権利を与えたと書かれている。
なんとスケールの大きなプレゼントだろうか。
だが私は、そんな大それた権力にはなんの興味もありはしない。
私はただ自分自身を──自分の思考を、恐怖心を、精神を、そして魂を支配したいだけなのだ。
そして私は、ただ自分の行動をコントロールするだけのことで、いつでも好きなときに強大な支配力を持つことができるのを知っている。
~ジェームズ・アレン著 本当の幸せを呼ぶ「心の法則」より引用~
まとめ
今回のブログはいかがでしたでしょうか。
「道は開ける」が書かれたのは今から約70年前の1948年です。
本を最後まで読んで感じることは70年前の人々も現代の私たちと同じようなことで悩み不安を抱えていたということです。
そして、当時の人も同じようなことで悩みや不安を抱えていたから、現代の私たちにも「道は開ける」が大変参考になるということです。
時代や文明が変わっても、私たちが感じる不安の本質は変わらない。
恐らく、人間は常に不安を感じ続けるのだと思います。
だからこそ、不安から逃げるのではなく不安としっかり向き合うことが重要であることを、私は「道は開ける」から学びました。
意思あるところに道は開ける
~リンカーン~
今回、「道は開ける」の一部のみを要約してこのブログを作成しました。
この他にも様々な事例が紹介されているので、不安を感じたときにはぜひ読んでみてください。
きっと、その不安を解消するヒントが見つかると思います。
お勧めの本
■不安を抱えたときに、ぜひ読んでみてください。これからのヒントが見つかると思います。
コメント