みなさん、こんにちは。
心理カウンセリング空の関口です。
現代はストレス社会のためか心理カウンセリング・〇〇セラピー・〇〇療法など、心をテーマにした様々なサービスがあります。
いまご覧いただいている『心理カウンセリング空』もそのうちのひとつです。
また、心理カウンセリングと一言で言っても、その心理カウンセリングの手法や進め方は異なるものです。
相談者の話を傾聴するカウンセリングもあれば、悩みや問題を解決してくれるカウンセリングもあり、考え方や受け止め方(認知)と行動変容を試みるものがあります。
しかし、悩みで心がいっぱいのとき、数あるカウンセリングやセラピーの中からどれを受ければいいのかわからないですよね。
私もうつ病で悩んでいるときに「傾聴カウンセリング」や「過去のトラウマを癒やすセラピー」「前世と守護霊を見てくれるスピリチュアルカウンセリング」などを受けましが、どれもうつを克服していくために具体的ななにかを得ることはできませんでした。
では、心理カウンセリングやセラピーの本当の効果はどこにあるのでしょうか?
心理カウンセリングの本当の効果とは「カウンセリングをとおして相談者の心の成長をサポートし、最後は「私は大丈夫」と自信をもてるようになること」だと私は考えています。
今回は「心理カウンセリングの効果」について書いていきます。
心理カウンセリングの3つの誤解
みなさんは、心理カウンセリングやセラピーを受けると、どんな効果を得られると思いますか?
- 悩みの話しを聴いてもらえて、心がスッキリする
- 過去や心を癒やしてもらえて、心が楽になる
- 悩みや問題を解決してもらえて、気持ちが落ち着く
といった感じになるのではないでしょうか。
確かに心理カウンセリングやセラピーでは上記の効果は大切な要素です。
しかし、それはカウンセリングの手段であって目的ではありません。
私がうつ病で悩んでいるとき、心理カウンセリングやセラピーを受けても効果を得られなかったのは「心を解放させる」ことだけが、カウンセリングやセラピーの目的になっていたからです。
以下、当時の私の体験談をご紹介します。
話を聴いてもらえる
心理カウンセリングでは、悩んでいることを心理カウンセラーに聴いてもらうことで心がスッキリするものです。
しかし、それは心理カウンセリングの本当の効果ではありません。
話しを聴いてもらえるだけのカウンセリングは、状況によって心を落ち込ませる逆効果もあります。
私が軽いうつ状態になり、はじめて心理カウンセリングを受けたときの体験談をご紹介します。
私は職場でのストレスから気持ちが落ち込みはじめ軽いうつ状態になりました。
そのとき心理カウンセリングをはじめて受けました。
当時の私は「悩みごとや内面を人に相談することなんてできない」と思いカウンセリングに抵抗があったのですが、落ち込んだ気持ちを安定させるには、心理カウンセリングがとても効果があると教わったため受けることにしました。
しかし、そのとき受けた心理カウンセリングは、私には逆効果で余計に気持ちが不安定になるものでした。
私が受けた心理カウンセリングのスタイルは、話しをじっくりと聴いてもらう「傾聴」重視のカウンセリングでした。
私が抱えている悩みや苦しみをカウンセラーに話する事で、そのときは心は解放されます。
しかし、心理カウンセリングを終え職場に戻ると私の周りの現実はなにも変わっていません。
よって、直ぐに職場でストレスを抱えてしまい解放された心にギュッと圧力がかかる。
翌週の心理カウンセリングで悩みごとの話しを聴いてもらい心は解放される。
けれども、職場に戻れば再び心は圧縮される。
結局、心の解放と圧縮が繰り返されるだけで私の心は疲れ果ててしまいました。
当時の私にとって、話しを聴いてもらえるだけの心理カウンセリングは逆効果となり、結果的にうつ状態を更に悪化させてしまいました。
心や過去を癒やしてもらえる
はじめて受けたカウンセリングで、うつ状態を悪化させてしまった私は「もうカウンセリングは受けない」という心境でした。
しかし、うつ状態は悪化するばかりで、自分ひとりの力ではどうすることもできずに悩んでいました。
その頃、妻から「スピリチュアルカウンセリング」を紹介されました。
妻が言うには「前世や守護霊を見てもらえるので、心が癒えたり何か解決のヒントが得られたりするかも」とのことでした。
「うつ病になったことと、前世がどう関係するのか?」と思いましたが、何かしないと何も変わらないことだけはわかっていましたので、とりあえずスピリチュアルカウンセリングを受けてみました。
そして、そのスピリチュアルカウンセリングは衝撃的でした。
スピリチュアルカウンセラーが言うには、私の前世はインドの修行僧だったそうで、35歳の頃に「何の為に苦行をするのか?何の為に生きているのか?」を問いながら亡くなったそうです。
そして「もしかしたら、今世のあなたには35歳くらいに、何の為に生きているのか?を問うような出来事が起こるかもしれない」とスピリチュアルカウンセラーに言われました。
そのとき、私の年齢はピッタリ35歳。
うつ病を患い会社を休職しており「いったい何の為に仕事をしてきたのか?これからどうやって生きていけばいいのか?」を思い悩んでいましたので、スピリチュアルカウンセラー(守護霊?)は私の心の内面を言い当てたことになります。
だから、私は一瞬でスピリチュアルカウンセラーを信じてしまい続いてこう質問しました。
「これから私はどうやって生きていけばいいですか?」と・・・
しかし、「残念ながら、私にわかるのは前世まで。今世のあなたがどう生きるのかはあなた自身が決めなさい」とスピリチュアルカウンセラーに言われ、これからの生き方の答えを教えてもらえませんでした。
スピリチュアルカウンセリングを受けて効果があったことは、うつ病になった事実を心のどこかで受け入れることができたことです。
前世も同じような時に、同じようなことに思い悩んで死んだのであれば、まあ今世もしょうがないという感じでした。
トラウマや過去を癒やすセラピーなどがありますが、セラピーを受けることでトラウマや過去は癒えるかもしれません。
しかし「では、これからの人生をどうするか?」という具体的なヒントは得られないと、私がスピリチュアルカウンセリングを受けたとき感じました。
悩みを解決してもらえる
テレビの影響から心理カウンセリングでは悩みを解決してもらえると思っている方が多いようです。
もちろん、心理カウンセリングをとおして結果的にその悩みは解決されていきます。
しかし、悩みを解決するのはカウンセラーではなく相談者自身です。
なぜならば、悩みを解決するための答えは相談者の心の中にあるからです。
心理カウンセラーは心の中にある答えを引き出すのが役目です。
カウンセラーがその役目をはき違え、相談者の悩みを解決してしまうとカウンセラーと相談者は依存状態に陥ります。
以前、私が受けたグループカウンセリングの体験談をご紹介します。
とある心理カウンセラーが主催するグループカウンセリングに参加しました。
グループカウンセリングでは、参加者のひとりと心理カウンセラーがカウンセリングを行い、他の人はやり取りを見守ります。
そのときの心理カウンセラーは相談者の悩みを聴いたあと、直ぐに「こうしなさい」と解決策らしきものを相談者に与えていました。
心理カウンセラーに悩みの解決策を教えてもらえると、相談者の心は楽になり心理カウンセリングに効果があるように感じます。
しかし、その後の相談者と心理カウンセラーの関係性は依存状態に陥ります。
事実、そのグループカウンセリングに何回か参加された方から「前回先生に教わったとおりやってみたのですが、うまくいきませんでした。次はどうしたらいいですか?」という相談が出ていました。
心理カウンセラーが悩みの答えを伝えてしまうと、悩みがうまくいけば「心理カウンセラーのおかげになり」、うまくいかなければ「心理カウンセラーのせい」となります。
そして、相談者は次の答えを心理カウンセラーに求めるか、別の心理カウンセラーを探すことになります。
自分の悩みごとなのに、肝心の自分がどこにもいない状態になってしまいます。
前項の話しに戻りますが、「私はどうやて生きたらいいですか?」とスピリチュアルカウンセラーに質問しました。
もし、そのときスピリチュアルカウンセラーに「毎月1回のお布施と、この壺を買えば、あなたの人生は大丈夫」と言われていたら、きっと今でも私はお布施と壺に依存しながら生きていたことでしょう。
悩んでいるときは苦しいし辛いもので、自分の心も弱っています。
だから、その苦しさから、解決策を求めてしまいがちです。
しかし、その心の弱さにつけ込まれると自分を見失ってしまいます。
心理カウンセリングの効果とは?
ここまで、私の過去の体験を踏まえ、心理カウンセリングの3つの誤解を書いてきました。
話しを聴いてもらうこと、心や過去を癒やしてもらうこと、悩みの答えを教えてもらうことも、心理カウンセリングの効果でないとするならば、心理カウンセリングの本当の効果はどこにあるのでしょうか?
心理学者である『國分康孝(こくぶやすたか)』先生は、心理カウンセリングを以下のように定義しています。
カウンセリングとは、言語的および非言語的コミュニケーションをとおして、相手の行動変容を試みる人間関係である。
國分康孝著 カウンセリング技法より引用
心理カウンセリングの目的は、話しを聴くことや過去を癒やすことではなく、悩みを解決することでもなく、相談者が抱えている悩みや問題を見つめなおすこと。
そして、相談者の考え方・受け止め方・言動が変わるようにサポートすることです。
『アルベルト・アインシュタイン』はこう言います。
我々の直面する重要な問題は、その問題をつくったときと同じ思考のレベルで解決することはできない
~アルベルト・アインシュタイン~
私達が抱える問題や悩みは、その問題や悩みを抱えてしまったときと同じレベルでは解決することができません。
カウンセリングで話しを聴いてもらい、心がスッキリしても自分の考え方や受け止め方が変わっていなければ、直ぐにストレスを抱えてしまいます。
また、カウンセラーが相談者の悩みを解決してしまうと、相談者の考え方や言動のレベルを向上させることができず、相談者は同じようなことで再び悩みを抱えてしまいます。
アメリカの発明家・社会哲学者の『チャールズ・ケタリング』はこう言います。
問題とは、きちんと明確化さえすれば半分は解けているものだ
~チャールズ・ケタリング~
悩みも同じです。
悩みを明確化さえすれば半分は解けているものです。
心理カウンセリングでは「その悩みを解決する」ことよりも「なぜ、そのことで悩んでいるのか?」を理解することの方が大事だと私は考えています。
魚を与えるのではなく、魚の釣り方を教える
ひとつの悩みを無事に解決できたとしても、違うことで悩みを抱えるのが人間です。
恐らく、人生から悩みや問題が消えることはないと思います。
だからこそ、相談者に悩みや問題の答えを与るのではなく、相談者自身が悩みや問題を乗り越えられるようにすること、すなわち相談者の「心の成長」をサポートするが心理カウンセリングの本当の効果だと考えています。
心理カウンセリングの3ステップとゴール
「お米」や「きゅうり」や「かぼちゃ」は「種」も「花」も「実るもの」も違います。
しかし、「種を蒔き→芽を出し葉を広げ→花を咲かせ→実りを迎える」という成長のプロセスは同じです。
心の成長プロセスも同じです。
悩みや問題は1人ひとりが違うものですが、その心の成長のプロセスは一緒です。
また、畑に種を蒔いた翌日に花は咲きません。
ゆっくり時間をかけ成長の過程を踏まえながら開花していくのが自然の摂理です。
心も一緒で時間をかけてひとつひとつ過程を踏まえながら成長をしていきます。
ここでは「心が成長」するカウンセリングの3ステップをご紹介します。
カウンセリングの初期
心理カウンセリングをはじめて受けるとき、みなさんとても緊張されています。
また、何を話せばいいのかな?うまく話せるかな?こんなこと相談しても大丈夫かな?といった不安を抱えています。
心理カウンセリングにおいては、カウンセラーに気を使うことなく、うまく話す必要もなく、こんなことでもいいので、とりあえず話しをしてみてください。
「話す」ことは「放す」ことです。
心に詰まった「悩みごと」や「モヤモヤ」を話すことで、心と思考がクリアになり、悩みや問題を客観的に整理できます。
そして、心と思考をクリアにした状態から、はじめて問題解決に向けて次のステップを考えられるようになります。
畑で作物を育てるとき、土を柔らかく耕してから種を蒔きます。
心も一緒です。
悩みや問題を解決する前に、まずは心を耕していくこと。
それが、心理カウンセリングのスタートです。
ちなみに、私が傾聴スタイルのカウンセリングを受け気持ちが落ち込んでしまったのは、カウンセリングで話しを聴いてもらった後、新たな視点で物事を考えるプロセスに進めなかったのが原因でした。
カウンセリングの中期
カウンセリング中期になると、悩みごとや問題の解決に向けての話し合いになります。
心理カウンセリングを受ける方は、自分ではどうすることもできないような「悩み」や「問題」を抱えています。
しかし、カウンセリングを進めていくと見えてくるものが、カウンセリングに来るきっかけとなった当初の「悩み」や「問題」は、本当の「悩み」や「問題」ではないということです。
例えば、夫婦関係で悩みがありカウンセリングを受けた方がいました。
その方の最初の悩みは「夫が私のことをわかってくれない」でした。
しかし、カウンセリングをとおして見えてきた本当の問題は「夫に対して自分の素直な気持ちを表現できていない」ことでした。
「夫が私のことわかってくれない」という問題を解決しようとすると「どうやって夫を変えるか、どうやったら夫に振り向いてもらえるか?」という【夫に問題がある前提】の考え方になってしまいます。
しかし、残念ながら家族であれ他人を変えることはできません。
問題の本質は「自分は素直な気持ちを表現できていない」ことにあると気づけると、問題解決に向けて自分がやるべきことが見つけられます。
例えば「私が感じたことを夫に素直に話してみる」といった感じです。
カウンセリング中期では、悩みや問題の本質に気づき、その解決に向けて新しい小さな1歩を踏み出します。
それは、植物が小さな芽を出すのと同じような感じです。
カウンセリングの後期
カウンセリングの後期では、カウンセリング中期で設定した行動に対して、フィードバックと行動の再設定を繰り返し行っていきます。
人の心は不思議なもので、自分が抱えていた本当の問題や悩みに対して自ら行動を起こすと必ず心に変化が起こります。
そして、心に変化が起こると周りにも変化が起こりはじめます。
例えば、今まで自分が「そのことで悩み続けてきた理由」がわかります。
悩みを解決することよりも自分がやりたいと思うことが見つかったり、人間関係が問題だった場合その人との関係性にも変化が起こりはじめます。
また、相談者の友人などの周り人から「最近変わったね?・なんだか元気になったね」と言われるようになるのがカウンセリング後期の特徴です。
カウンセリングのゴール
心理カウンセリングを受けるきっかけが1人ひとり違うため、心理カウンセリングに明確なゴールはありません。
しかし、ひとつだけ判断基準があります。
それは、相談者の方が「私はもう大丈夫!」という気持ちになれたときです。
私のカウンセリングでは、最後に当初抱えた悩みや問題を振り返ります。
振り返ってみると当初の悩みや問題がちっぽけに感じるようになり「なんでそんなことで悩んでいたのだろう?」という不思議な気持ちになります。
最初の悩みがちっぽけに感じられるということは、それだけ心が成長したということです。
結局、ご自身の人生の悩みや問題はご自身で解いていくしかありません。
それは苦しいことなのかもしれません。
しかし、その悩みや問題から逃げ出さず1歩ずつ1歩ずつ悩みや問題に向き合うことで、必ずひとつの答えがみつかるものです。
自分でその答えを見つけられるから、それが「自信」となり「私は大丈夫」という心持ちにはじめてなれるのです。
心理カウンセリングとは、カウンセリングをとおして相談者の心の成長をサポートし、最後は「私は大丈夫」と自信をもってもらえるようにサポートすることです。
まとめ
ここまで心理カウンセリングの効果について書いてきましたが、いかがでしたでしょうか。
1人ひとりの価値観や経験が違うように、1人ひとりの悩みも考え方も違います。
よって、心理カウンセリングの効果も感じ方も人それぞれ異なるものです。
心理カウンセリングを受ける際は、どんな心理カウンセリングやセラピーを受ければいいのか?、心理カウンセリングに効果があるかどうかを考える前に、心理カウンセリングを受けて自分はどうなりたいのか?を少し考えてみることをお勧めします。
話しを聴いてもらってスッキリしたいのであれば傾聴カウンセリング。
過去を受け入れたいのであれば、トラウマや前世療法、ヒプノセラピーもいいと思います。
ただ、これからの人生を変えていきたいと思うのであれば思考(認知)や行動の変容が伴うカウンセリングをオススメします。
ただ、最後にひとつだけお願いします。
心の弱みにつけ込んで壺やお布施に依存させようとするもの、カウンセラーと依存状態に陥る心理カウンセリングだけはやめておきましょう。
くれぐれもご自身の人生の操縦桿を誰かに手渡さないように。