みなさん、こんにちは。
心理カウンセリング空の関口剛史です。
1年前にライフ・カウンセリングを受けた方から「カウンセリングを受け終えてから、凹むことなく前向きに過ごしています!。新型コロナウイルスの影響で大変な状況のなかでも新しいことに頑張って取り組みたいという意欲があり、1年前とは大きな違いです」と嬉しいメッセージをいただきました。
他にも、カウンセリング後のフォローアップで皆さんとお会いすると、「新しいことを学びはじめた」や「うつ状態が克服できた」などの前向きな心の変化のお話を伺えて、いつも嬉しく思います。
ライフ・カウンセリングでは、心の自立と自律を目的にカウンセリングを行っています。そうすることで、カウンセリングを終えた後も自分らしく前向きに生きていけるようになるからです。
今日は「心の自立と自律」についてご紹介します。
自立・自律と依存・他律
まず、自立・自律の言葉の意味から調べていきましょう。
自立
他の助けや支配なしに自分一人の力だけで物事を行うこと。ひとりだち。独立。
~大辞林より引用~
自律
・他からの支配や助力を受けず,自分の行動を自分の立てた規律に従って正しく規制すること。
・カント倫理学の中心概念。自己の欲望や他者の命令に依存せず、自らの意志で客観的な道徳法則を立ててこれに従うこと
~大辞林より引用~
一方、自立・自律の反対は依存・他律になります。
依存
・他のものにたよって成立・存在すること。
~大辞林より引用~
他律
・自分の意志からでなく,他人の意志・命令などによって行動すること
~大辞林より引用~
心の自立・自律とは、自分のことを自分の力のみで行えるようになり、自分の意志でバランスを保てるようになること。その結果、自信を持って自分らしく前向きに生きられるようになります。
一方、心の依存・他律とは、他にすがることで自分が存在し、他人の意志に左右されるためアンバランスになること。その結果、他心(自分を信じられない)状態になり、劣等感を抱えながら生きるようになります。
自立・自律と依存・他律の分岐点
人間は、心身ともに依存・他律状態でうまれます。幼少期~青年期への体の成長と共に、心も自立・自律へ成長していきます。
しかし、大人になってから心の自立・自律が崩れるときがあります。それは、自分1人では解決できないような大きな悩みや問題に直面したときです。
大きな悩みや問題を抱えると、自分を見失い自分を信じられなくなり、自分でもどうしていいかわからなくなります。このときが再び自立・自律状態を取り戻すか、依存と他律の状態に陥るかの人生の分岐点になります。
人生の分岐点では、自分を見失い何かに解決策を求めやすく、心は依存・他律状態に傾いています。このとき「壺を買えば幸せになる」とか「この薬を飲めば楽になれる」などの話しを信じると、心は依存・他律状態に陥ります。
また、占いやカウンセリング・セラピーなどで安易に悩みを解決してしまうと、悩みを抱える度に答えを求めるような依存・他律状態になり、いつまでも占いやカウンセリング・セラピーに通い続けることになります。
人生の分岐点は日々が苦しく感じるため、今すぐ楽な方へ傾きたくなります。その気持ち私もよくわかります。
しかし、人生の分岐点では楽な道に心の成長はなく、依存・他律状態になり自分を取り戻すこともできず、その結果として、他心と劣等感を抱えて生きていくことになります。
心理カウンセリングの目的は心の自立・自律をサポートすること
心理カウンセリングの目的はクライアントの心の自立・自律と成長をサポートすることです。心が成長しない限り、今抱えている根本的な悩みは解決できないからです。
心の成長を自転車に例えて解説します。
自転車に乗れないAさんの悩み
例えば、自転車に乗れない事を悩み(精神的苦痛)に感じているAさんがいます。
Aさんは、悩みを解決するため「すぐに悩みを解決する」カウンセリングを受けました。悩みの話しを聞いてもらい気持ちが楽になったあと、カウンセラーより2つの解決策を教えてもらいました。
- 案1:自転車に乗ることをあきらめればいい
- 案2:自転車に乗れるようになるまで練習すればいい
案1を受け入れると、Aさんは自転車に乗れない悩みから解放されます。しかし、「自転車に乗りたい」という望みもなくなります。案2は、カウンセラーから言われなくてもAさんはわかっています。しかし、わかっていてもできないからAさんは悩んでいるのです。
次に、Aさんはインナーチャイルドを癒やすセラピーを受けました。セラピーでは「幼少期、自転車の練習中に怪我をしたこと」を思いだしました。そのことに気づいたことで「これまで自転車に乗れなかったこと」を許すことはできました。しかし「自転車に乗れない」現実は変わりませんでした。
最後に、心の自立・自律をサポートするカウンセリングを受けました。カウンセリングのなかで、Aさんの本当の悩みは「自転車に乗れないこと」ではなく、もっと「自由に生きたい」という理想であることが見えてきました。そして、「自由に生きること」の象徴が「自転車に乗れるようになること」であることに気づきました。
そこでAさんは、自転車に乗るための練習ではなく、自由に生きられるようにするために自転車の練習をはじめました。幼少期以来の自転車です。過去に怪我をした嫌な記憶もあるため、最初は自転車に乗ることも恐くてアンバランス。転ばないように補助輪をつけた状態(依存)からの練習です。
あきらめずに練習を続けることで1人でバランスをとれるようになってきました。補助輪を外して自立の練習開始。何度か転んで痛い思いもしますが、補助がなくても自転車に乗れるようになりました(自立)。
やがてAさんは「自転車でどこに行こう~」と自由な気持ちを持てるようになり新しい発想もうまれるようになり(自律)、自分1人で自信をもってどこへでも行ける気持ちになれました(自立と自律)。
この時点で、Aさんは「自転車に乗れないこと」で悩むこともカウンセリングを受ける必要性もなくなりました。また、悩みをとおして心が成長していくことを理解したAさんは、新たな悩みに対しても自分の力で前向きな姿勢で取り組めるようになれました。
まとめ
心理カウンセリングの目的はクライアントの心の自立・自律をサポートすることです。そうすることでことで心は成長し、自分らしく自信を持って生きられるようになれるからです。
冒頭でご紹介した方は、最初のカウンセリングは奥様に連れられた状態で来ました。それだけ精神的に追い込まれた状態でしたが、心が成長しないと現実を変えられないことに気づき、真剣にライフ・カウンセリングを受けていただきました。
その結果、ライフ・カウンセリングを終えた6ヶ月後には前向きな気持ちになり、1年後もその気持ちを継続することができているようです。
ライフ・カウンセリングを受け終えた方から「カウンセリングのおかげで変われました」と言っていただけるのですが、それは間違いです。自分の心を育てること、自分を変えることができるのはご自身だけです。すべてはご自身が心と向き合いながら自立・自律の道を歩んだ結果です。
自転車に乗れないことを悩んでいる人に、カウンセリングで乗り方を教えても乗れるようにならないですよね。心理カウンセリングでできることは、心が再び自立・自律になれるようにサポートすることだけなのです。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
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