北風と太陽の大きな誤り

みなさん、こんにちは。

心理カウンセリング空の関口剛史です。

北風が吹く、寒い季節になりましたね。

この季節に北風を感じると、私はイソップ物語の「北風と太陽」を思い出します。

「北風と太陽」では、男の服を脱がすために、北風のような強制力ではなく、太陽のように本人が自発的に動くよう説得することがいいとされています。

しかし、最近になって太陽も誤っていることに気がつきました。

なぜ、北風と太陽は男の服を脱がす必要があったのでしょうか?

社員研修や心理学・コーチングなどでも、人を動かすときの例えとして使われている物語ですが、北風と太陽の誤りに気づかないと、最悪の場合、太陽と男は依存状態に陥ります。

今日は、イソップ物語を参考にしながら「北風と太陽の大きな誤り」について書いていきます。

目次
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北風と太陽(イソップ寓話集より)

まず、イソップ寓話集の「北風と太陽」から。

北風と太陽がどちらが強いかで言い争いをした。

道行く人の服を逃せた方を勝ちにすることにして、北風から始めた。

強く吹き付けたところ、男がしっかりと着物を押さえるので、北風は一層勢いを強めた。

男はしかし、寒さに参れば参るほど重ねて服を着込むばかりで、北風もついに疲れ果てて、太陽に番を譲った。

太陽は、はじめ穏やかに照り続けたが、男が余分の着物を脱ぐのを見ながら、だんだん熱を強めていくと、男はついに暑さに耐えかねて、傍に川の流れるのを幸い、素っ裸になるや、水浴びをしにとんで行った。

説得が強制よりも有効なことが多い、とこの話は説き明かしている。

引用元:イソップ寓話集 作者イソップ 岩波文庫より

北風と太陽の大きな誤り

あなたも「北風と太陽」をテレビで見たり本で読んだりしたことがあるのではないだろうか。

子どもの頃に読んだ本では、男のコートを脱がすために北風と太陽が競うストーリーだった。

「北風と太陽」では、人を動かすには「外側からの強制力ではなく本人が自発的に動き出せるように説得することである」と伝えており、社員研修や心理学・コーチングの講座などでも例え話のひとつとして使われている。

しかし、「北風と太陽」には大切な点が見落とされている。

それは、男は本当に服を脱ぎたかったのか?という点。

北風と太陽がどちらが強いかで言い争いをした。

北風も太陽も、自らの能力を競い示すために、たまたま通りかけた男の服を脱がせようとした。

両者とも、男のために能力を使ったのではなく、自分たちの能力を誇示するために男を使っただけ。

男が川に飛び込んだあと、男のことを太陽はどこまで面倒をみられたのだろうか?

もしかしたら、勝負に勝った太陽は、その時点で男を照らすことをやめ、男は寒くて体調を崩したかもしれない。

逆に、男のことをずっと照らし続ける羽目になり、依存状態に陥ったかもしれない。

心理学やコーチングを学んで「悩みを解決してあげよう」や「やる気を引き出してあげよう」と、相手のために何かしてあげようとする人がいる。

もちろん、その気持ちも大切。

しかし、本当は自らの能力を試したくて、相手を無理に変えようとしていないだろうか。

人は頭で「変わりたい」と考えていても心で「変わりたくない」とも思っている。

心から「変わりたい」と思っていない人を無理に変えようとすると、変化に恐れたり、反発をしたり、体調を崩したり、最悪の場合は依存状態に陥る。

そうならないためには、相手を変えようとするのではなく、まずは対話を交わしながら相手のことをよく理解し、心から「変わりたい」と思えるようになるまで待つこと。

北風と太陽も、男のことをよく理解し、男が「服を脱ぎたいのだけど、脱げない!」と悩んだときに、はじめて能力を使うべきだったのでないだろうか。

人は頭で「変わりたい」と考えていても心で「変わりたくない」とも思っている。

その人が心から「変わりたい」と思うまで、じっくり待つことも時には大切ではないだろうか。

まとめ

イソップ寓話集は「イソップ」という人が書いた本ではなく、紀元前古代ギリシャ時代から人々の間で伝わってきた話が寓話集として1冊になったようです。

イソップ寓話集は、人間として教訓になる物語がまとめられています。

きっと、古代ギリシャ人にも、相手を無理に変えようとする人がいて、それを見た誰かが「北風と太陽」を教訓として書いたのでしょう。

そう考えると、古代ギリシャ人も現代の私たちも「人間として教訓になること」は変わりません。

歴史が変われど、人として変わらないところに、人間の本質が隠れていると、イソップ寓話集を読む度に思います。

ここまで、お読みいただきありがとうございました。

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