「もっと良いもの」が見えるときこそ危険―イソップ寓話に学ぶ、欲と損失の心理学

    カウンセリングSORAの関口です。

    これまでの自分自身の人生を振り返るとともに、多くの方々から寄せられた人生相談を思い返す中で、私は「人生をより良く生きるためには、人としての生き方を学ぶことが大切だ」と実感しています。

    人としての生き方を知ることで、これから歩むべき道が少しずつ見えてくるからです。

    そこで、みなさまの人生に少しでも役立つヒントをお届けできればと思い、人としての生き方に学べる書籍を引用しながら、ブログを綴っています。

    しばらくの間は、「イソップ寓話」からの引用をもとに、生き方について一緒に考えていきたいと思います。


    目次
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    今日の言葉

    イソップ寓話より引用

    133)肉を運ぶ犬
    犬が肉をくわえて川を渡っていた。水に写る自分の影を見て、てっきり別の犬がもっと大きな肉を得ているのだと思い込み、自分の肉を捨てて相手の肉を奪おうと跳びかかったが、結局どちらの肉も失ってしまった。
    一方はもともと存在しないものなので手に入るはずがなく、もう一方は川に流されてしまったのである。
    欲深い人に、この話はぴったりだ。

    【引用元:岩波文庫『イソップ寓話集』著:イソップ 訳:中務哲朗】


    今あるものを知り、満足する

    なぜ、肉をくわえた犬は、水面に映る“別の犬”を見て、奪おうとしてしまったのでしょうか。

    もし、自分がくわえている肉に満足していれば、わざわざ他の肉を奪おうとは思わなかったはずです。

    きっと、犬は最初に手に入れた肉に満足できていなかったのでしょう。だからこそ、もっと大きな肉を求めて、水面に映る“もう一匹の犬”の肉を奪おうとしてしまったのです。しかし、それは自分自身の姿でした。結果として、もともと持っていた肉さえも失ってしまいました。

    この「水面に映るもの」は、現代であればSNSに置き換えて考えられるのではないでしょうか。

    SNSの“水面”には、キラキラした写真や楽しそうな日常、羨ましくなるような情報があふれています。それを見て、「自分もこんな素敵な写真を投稿したい」「誰かが羨むような出来事を経験したい」と無理に“映える”ことばかりを求めてしまうと、気づかないうちに自分を見失ってしまうかもしれません。

    「一方は元々ないので届くわけがなく」

    SNSに映る世界は、もともと自分の周囲にあったものではありません。他人の生活を羨む前に、まずは自分の身近にあるものをしっかり見つめ、今ある幸せや充実に気づくことが大切だと思います。

    イソップ寓話『肉を運ぶ犬』を読んで、そんな気づきを得ました。


    今日の問いかけ

    「水面に映る“映える写真”よりも、あなたの身近にある素敵なものは何ですか?」

    たとえば――
    ・朝の静けさの中で飲むコーヒーの香り
    ・家族との何気ない会話
    ・散歩中に見かけた季節の花
    ・自分のために整えた机や部屋の空間
    ・長年使い込んだお気に入りの道具

    SNSでは目立たないかもしれないけれど、あなたの心を満たしてくれる「ささやかな幸せ」は、日常の中にたくさん眠っているはずです。

    見失っていませんか?

    他人の光を追うあまり、自分だけの大切な光に気づけなくなっていませんか?

    いまここにある「本当の豊かさ」を、あらためて見つめてみませんか?

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