後悔と反省のちがい

みなさん、こんにちは。

カウンセリング空の関口です。

先日、警察のドキュメンタリー番組を観ていたとき、ひとりの若者が薬物取締法違反で警察官に逮捕される場面が放映されていました。

その若者はアメリカでの留学中に薬物を知り、日本に帰ってからも薬物をやめる事ができず警察に逮捕されました。

そのときの警察官と若者のやりとりがとても印象的でした。

警察官:「いいか、これ以上薬物をやってはだめだ。これ(逮捕)を機会に薬物はやめなさい」

若 者:「わかりました、もう日本では薬物をやりません。アメリカでやるようにします」

警察官:「・・・・」

このシーンを観たとき、この若者は逮捕されたことを後悔しているけど、自分が薬物をやっていたことへの反省はしていないと感じました。

「反省はするけれど、後悔はしない」という言葉がありますが、後悔と反省のちがいとはどんなことでしょうか?

  • 後悔とは、現状を否定し、今の自分を維持するために、過去の出来事を言い訳にすること
  • 反省とは、現状を受け入れ、今の自分を未来に向けて改善するために、過去の出来事を省みること

と私は考えています。

今日は後悔と反省の違いについて書いていきます。

目次
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後悔と反省の言葉のちがい

まずは言葉の定義からはじめてみましょう。

後悔とは
・自分のしてしまったことを、後になって失敗であったと悔やむこと。

~大辞泉より引用~

反省とは
・自分のしてきた言動を省みて、その可否を改めて考えること
・自分のよくなかった点を認めて、改めようと考えること

~大辞泉より引用~

後悔と反省の違いを一言で表わすならば、自分がしたことを”悔やむこと””省みて考えること”の違いです。

悔やむことは後ろ向きな気持ち、省みて考えることは前向きな気持ちですね。

警察官に逮捕された若者が「わかりました、もう日本では薬物をやりません。アメリカでやるようにします」と言ったのは、警察に捕まったことを悔やんでいるだけで、薬物をやっている自分のこと省みて考えられていませんでした。

人はどんな時に後悔・反省するのだろうか?

みなさんは、どんなときに後悔や反省をしますか?

私が後悔や反省をするとき、必ず“自分の思いどおりになっていない現状(結果)”のときです。

例えば、仕事で失敗をしてしまったとき「あのときこうしておけば・・・」と思ったり、ちょっとした言葉で人を傷つけてしまったとき「言わなければよかった・・・」と思ったり、自分の思いどおりにならない現状のとき、人は過去を振り返ります。(いまが自分の思いどおりになっていれば、わざわざ過去を振り返らないですよね。)

では、なぜ人は、思いどおりにならない現状のときに過去を振り返るのでしょうか?

2通りの振り返り方

過去への振り返り方には2通りの方法があります。

ひとつは、思いどおりにならない現状の原因は過去にあると考える方法(後悔)、もうひととつは、思いどおりにならない現状の原因は未来にあると考える方法(反省)です。

人生が思いどおりにならないと感じること誰にでもあると思います。

では、なぜ思いどおりにならないと感じることができるのでしょうか。

それは、”思いどおりの自分でありたいという期待”が心にあるからです。

心の期待が原因で、期待どおりでない現状が結果です。

例えば、仕事で失敗をして「あのときこうしておけば・・・」と感じるのは、仕事をうまく処理したいという期待があったからです。

コミュニケーションで「言わなければよかった・・・」と感じるのは、その人と仲良くありたいという期待があったからです。

心の中で期待(原因)があるから、そうでない現状(結果)を感じることができるのです。

そして、心の期待(原因)と今の現状(結果)がズレたとき、人は自らを振り返るのです。

人が後悔をする本当の理由

私自身もたくさん後悔をしてきました。

もちろん、今でも後悔をしたくなる気持ちはたくさんあります。

でも、「後悔先に立たず」ということわざがあるように、後悔しても自分も現状も変わりません。

人が後悔をする本当の理由は、自分の期待どおりでない現状を否定し、期待どおりにならない原因を過去のせいにすることで、今の自分を正当化しようとするからです。

今の自分を正当化するために、わざわざ過去に原因があると考え過去の出来事を”いま”にもってきます。

でも、よく考えてみてください。心にある期待は誰にとっての期待ですか?

心で何かを期待しておきながら、そうでない現状を否定し、その原因を過去のせいして後悔することは矛盾しています。

後悔するくらいなら期待をあきらめた方が健全的です。

なぜならば、期待をしなければ後悔をする必要がない(後悔できない)からです。

期待と現状のズレを修正するのが反省

例えば、仕事で失敗をして「あのときこうしておけば・・・」と思ったならば、「仕事を失敗をしたくない」という期待に気づき「次回はどうすればいいかな?」と自らの言動を省みること。

何気ない言葉で相手を傷つけてしまったとき「言わなければよかった・・・」と思ったならば、「相手と仲良くありたい」という期待に気づければ「明日素直に謝ろう」と未来に向けて過去の言動を修正することができます。

人の心は不思議なもので、未来への期待(原因)があるから、そうでない現状(結果)を意識できるようです。

反省とは、未来への期待と現状のズレを修正するために行なうものです

現状をしっかりと受け止め、自らを省みることで、未来に向けた新しい改善策が見つかります。

そして、見つかった改善策を実行することで、心の期待と現状のズレを小さくしてくことができるのです。

毎日反省することで訪れる奇跡

1日を振り返ったとき「あの時、こうしておけば・・・」と思うことが誰にでもあるはずです。

でも、そう思えるということは、心のなかに「こうありたい!」という期待も一緒にあるはずです。

だから「こうありたい!」と前向きな未来に向けて、毎日反省をすることが大事だと私は考えています。

なぜならば、毎日反省をして明日に向けての改善策を見つけだし、明日それを少しずつ行動に移していくと最後に不思議なことが起こるからです。

それは、今まで思いどおりにならなかった現状に対して「あの出来事があってよかった」と思える瞬間。

仕事で失敗をしたとき、自らの失敗を認め失敗を改善し続けることで同じことでは失敗はなくなります。

最初の失敗が教訓となれば仕事での失敗がなくなります。

ちょっとした言葉で相手を傷つけてしまっても、自らの発言を認め、相手に素直に謝れば、”相手との関係は仲良くなります”。

自らの過ちを認め省みることで、過去の過ちは未来の現実へと変化します。

「あの出来事があってよかった」と思える瞬間。それは、過去の心の期待がいまの現状に変わる瞬間です。

まとめ

人間が時間軸を越えて、後悔や反省など、過去を過去を省みることができるのは”想像力”があるからです。

自然界のなかで、人間だけが”想像する”能力をもった唯一の動物です。

だからこそ、僕らはその能力を、過去を後悔するために使うのではなく、未来へ創造するために使う必要があるのではないでしょうか。

麻薬で捕まった子は、自らの現状を受け入れられないから「もう日本では薬物をやりません。アメリカでやるようにします」と後悔しました。

でも、警察官がその子に期待したのは「逮捕を機会に薬をやめて更生してほしい」という反省でした。

きっと、その子の心の中にも「こうありたい!」という希望があるはずです。

逮捕を機会に心の中の「ありたい自分」の声を聞くことができたなら、逮捕を機会に更生できたなら、逮捕されてよかったと思える瞬間が訪れるのではないでしょうか。

「反省はするけれど後悔はしない」いつも心にとめておきたい言葉ですね。

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