
こんにちは。カウンセリングSORAの関口です。
自分自身の人生を振り返ったり、さまざまな方からの人生相談を受けたりする中で、「人生をより良く生きていくには、人としての生き方を学ぶことが大切だ」と、つくづく感じるようになりました。
人としての在り方を学ぶことで、自分が進むべき道も自然と見えてくるように思います。
今日の言葉
イソップ寓話より引用
「井戸の中の狐と山羊」
狐が井戸にはまり、上る手だてがなくて、止むをえずじっとしていた。
そこへ喉の渇いた山羊がやって来て、狐を見つけると、そこの水は旨いのか、と尋ねた。
狐は奇貨居くべし、と水を褒めちぎり、甘露! 甘露! と言うばかりか、山羊にも下りて来るよう勧めた。
山羊は、その時はただ飲みたい一心で、後先のことも考えず跳び下りて来たが、喉の渇きが収まるや、狐と共に上り方を考えはじめた。
すると狐は、二人が助かるための妙案を思いついた、として言うには、 「もし君がその前足と角とを壁にもたせかけてくれたら、僕が君の背中を駆け上って、君を引っぱり上げてあげよう」 山羊が狐のこの第二の勧めにも喜んで従ったところ、狐は山羊の足から背中へ跳び上がり、背中から角へとよじ上って、井戸の天辺まで上って来ると、そのまま「さようなら」をしようとした。
約束が違う、と山羊が文句を言うと、狐は振り返ってこう言った。
「そこの山羊君、君にもしも顎の鬚ほども思慮があったなら、上り方を考えるまでは下りて行かなかったろうに」 このように人間の場合でも、思慮ある人はまず物事の結果を考えて、それから取りかからねばならない。(引用元:岩波文庫『イソップ寓話集』著:イソップ/訳:中務哲朗)
「美味しい話」に潜むワナ
近年、投資詐欺の被害が多く報告されています。
「あなたの資金が何倍にもなりますよ」など、魅力的な誘い文句で近づかれ、軽い気持ちで資金を投じてしまった結果、すべてを失ってしまう──そんな事例が後を絶ちません。
この構図は、先ほどのイソップ寓話「井戸の中の狐と山羊」にそっくりです。
狐が「甘露」と称した水で山羊を井戸に誘い込み、最後は狐だけが抜け出すという展開は、現代の詐欺の手口と何ら変わりません。
誰かから誘いを受けたとき。あるいは、新しいことを始めようとするとき。
その話があまりに「美味しそう」に思えたときこそ、一歩立ち止まりましょう。
背景・プロセス・リスク・そして結果──それらを慎重に考慮したうえで判断・行動することが極めて大切です。
そうでなければ、寓話の山羊のように、軽はずみな判断で容易に騙されてしまうかもしれません。
イソップ寓話が書かれたのは、今からおよそ2600年前。
それでもなお、詐欺の手口も、騙される人の心理も、実はあまり変わっていないのかもしれません。
今日の問いかけ
「もしあなたがこの山羊だったら、狐の言葉を信じてしまったでしょうか?」
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