職業選択の基準

    みなさん、こんにちは。

    カウンセリングSORAの関口です。

    私には大学1年生の息子がいるのですが、最近、息子宛てに就職説明会などのパンフレットが届くようになりました。

    「大学1年生でもう就職のことを考えるの?」と個人的には思うのですが、今は「早い段階で就職先を決めたい大学生」と「いい人材を早くに採用したい企業」の思惑が一致しているのかもしれません。

    そんなことを考えていたときに、以前カウンセリングをした大学生のことを思い出しました。

    今日はその事例について書きます。

    目次
    オンラインカウンセリング

    有名大学のAさんの事例

    カウンセリングでは、時々大学生からの相談を受けることがあります。

    大学生の相談内容のほとんどが「就職」に関するもので、相談に来る学生は、いわゆる「有名大学」に通っている方がほとんどです。

    これらの学生に共通する傾向として、「これまでは良い大学に入ることを目標に頑張ってきたが、就職活動では『良い大学』のような明確な基準がなく、どの会社を選べばよいかわからない」ということがあります。言い換えれば、「大学進学までは明確な道筋があったのに、就活では自由に選べと言われても決められない」という状況です。

    以前、カウンセリングした大学生のAさんも就活に悩み相談に来ました。Aさんは「有名大学」に通う3年生でした。

    Aさんの悩みは「周りの友達はどんどん就職活動をして内定を決めている。しかし、私は活動自体が苦しくて辛い。辛い中で自分なりに頑張ってはいるのだけど就職先は決まらない。そういう自分がダメな人間だと思うようになっている」とのことで、下にうつむいて自信も喪失してとてもつらそうでした。

    私が「『有名大学』なのだから、就職先はいくらでもあるでしょう?」と聞いたところ、Aさんは「就職先はたくさんある。でも、会社名とか給料とか福利厚生で会社を選ぶのは、どこか違うと思う」と答えてくれました。

    「周りの友達はどういう基準で就職先を決めているの?」と聞いたところ、「やりたい職業で選択する子もいるけれど、ほとんどの人が会社名や給料、将来の安定性で就職先を決めていると思う」とのことでした。

    「Aさんも、会社名や給料、将来の安定性で就職先を決められたら楽なのにね…」と伝えると「そうなんです…」と返事がありました。

    話題を変えて、Aさんと「好きなこと」について話し合いました。

    Aさんは小さな頃から小説を読むのが大好きだったそうです。その会話の流れで「小さい頃の夢は世に出ていない素敵な小説を広めるような仕事(出版)をしたかった」と話してくれました。

    「今もその夢は変わっていないの?」と聞いたところ、少し考えてから「たぶん、今も変わっていないと思う。また憧れている小さな出版社が実際にある」とのことでした。

    「もし、その憧れの出版社で働けるとしたらどう?」と聞いたところ、「それはいいと思う。でも、大学に求人票が来ていないから就職できないと思う。また、有名大学まで出たのに、小さな出版社に就職するのは申し訳ないと思う」とAさんは答えました。

    「誰に申し訳ないの?」と聞くと「両親」という答えが返ってきました。

    再度、「もしその出版社で働けるとしたら、就活はできそうですか?」と聞いたところ、Aさんは「自分が憧れていることだから、就活できる」と言い切りました。

    最後に1つ質問しました。「どんな会社を選んだとしても仕事はとても大変です。だから仕事は自分が納得して向き合えていることが大切。Aさんは『会社名で選んだ仕事』と『自分がやりたいと思っていた仕事』どちらの方が納得して仕事ができそうですか?」と聞いたところ「やりたい仕事」という答えでした。

    Aさんには、ダメもとで小さな出版社に就職について問合せをしてみること、ご両親にご自身の素直な思いを伝えること、そして、これからの人生は「有名大学」に囚われるのではなく、Aさん自身が納得したものにエネルギーを費やしていくという結論になりました。

    この時のAさんの目は前を向いていたので、何らかの気づきがあったのではないかと思います。

    その後、Aさんがどの道を選択されたかはわかりませんが、きっと納得のいく職業を選択できたのではないかと思います。

    職業選択の基準

    さて、Aさんは本当に自分がダメで就活がうまくいかなかったのでしょうか?

    そうではありません。Aさんは職業選択の基準が間違っていたのです。

    Aさんは、物事を考えて自分で納得してから動くタイプの人でした。逆に言うと自分が納得できていないことに対しては、何かしらの違和感を感じてしまいます。

    Aさんが就活で感じた違和感は「企業名・給料・福利厚生・将来の安定」を基準に就活をするという流れでした。だから、Aさんは就活が辛くなってしまったのであり、決して自身がダメだったわけではありません。

    経済社会ですので、企業名・給料・将来の安定性で企業を選択するのも大切です。

    しかし、就職後の業務内容を考慮せずに「企業名・給料・将来の安定性」だけで就職先を選択しても、おそらく長続きしないのではないでしょうか。

    どんな会社に就職しても、最初の3年ぐらいは大変な仕事になると思います。

    仕事が大変なとき、「自分が納得して、その仕事をしているか」が、その時期を乗り越える1つの要素になると思います。

    そして、どんな要素に納得するかは、人それぞれ違います。

    企業名で納得する人、給料で納得できる人、仕事のやりがいで納得する人など、自分自身が納得する基準をあらかじめ知っておくことが就活では大切だと思います。

    Aさんは、自分の納得の軸が見つかったことで、これまでとは違った方法で就活ができたのではないかと思います。

    まとめ

    息子に届く「就職案内紙」を見ていると、就職することが目的化され、何のために仕事をするのか?という根本的なことが抜けているように感じます。

    社会的に有名な会社、きれいなオフィス、優しそうな上司や先輩、そんな基準で職業を選ぶと、就職した後に苦労をするかもしれません。

    なぜなら、仕事とは、自分を通してお客様に商品やサービスを提供していくことであり、就職とはその活動を行う場所探しに過ぎないからです。

    ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

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