根を育てる時間を大切にしよう

みなさん、こんにちは。

心理カウンセリング空の関口剛史です。

情報化時代となり、いろいろな物事がすごい早さで変化していく時代になりました。

しかし、何かを育てるには、何かを変えていくには、何も変わらない、根を育てる時間が必要です。

何も変わらない根を育てる時間を待てないと、実りを得てもすぐに失うことになります。

今日は「根を育てる時間を大切にしよう」について書きます。

目次

根を育てる時間を大切にしよう

作物は種から育ちます。

畑にトマトの種を蒔けばトマトが育ち、田んぼに米を蒔けば米が育ちます。

何かを育てるとき、何かの実りを得たいとき、大事なのは根を育てる時間です。

例えば、米を育てるとき、稲がしっかりと田んぼに根を張っていないと、秋の実りの時期に穂の重さに耐えきれなくなり、ちょっとした風でも稲が倒れてしまいます。穂が水に浸かり実りを得られない。

実りを得るために種を蒔いたのに、結局は何も得られない。根を育てる時間を疎かにすると、何も得られないのが自然の摂理です。

情報化時代となり、いろいろな物事がすごい早さで変化していく時代になりました。

その時代の中で、私たちは効率化やタイムパフォーマンスを求めるようになり、短い時間の中で、どれだけの実りが得られるのかを求めるようになりました。

根を育てる時間を疎かにして、効率的に実りだけを追い求めるから、詐欺や不正などが横行などをしてしまいます。

しかし、詐欺や不正などをして一時期は大きな実りを得たとしても、根が育っていないものは実りの重さに耐えきれず、実りを失うのが世の常です。

結局、何かの実りを得るには、その実りに応じた根を育てる時間が必要です。

根を育てる時間は、何の変化もなく、何も得ることができません。

ただ時間だけが過ぎ去っていきます。

しかし、それは目に見えていないだけで、種は少しずつ根を育てています。

根が育って「芽を出して大丈夫」となれたときに、はじめて小さな芽を出します。

そして、小さな芽をゆっくり育てていくことで、やがては実りの時期を迎えられるようになるのです。

この成長プロセスは、私たち人間も一緒なのだと思います。

最後に、ミヒャエルエンデ著の「モモ」から一文をご紹介します。

5分でかたづくものでないかぎり、時間がもったいないと思ったことでしょう。

余暇の時間でさえ、すこしのむだもなく使わなくてはと考えました。

ですから、その時間のうちにできるだけをたくさんの娯楽をつめこもうと、もうやたらとせわしなく遊ぶのです。

だから、もう楽しいお祭りであれ、厳粛な祭典であれ、ほんとうのお祭りはできなくなりました。夢を見るなど、ほとんど犯罪もどうぜんです。

けれどもいちばん耐えがたく思うようになったのは、静けさでした。

自分たちの生活が本当はどうなってしまったのかを心のどこかで感じとっていましたから、静かになると不安でたまらないのです。

ですから、静けさがやってきそうになると、そうぞうしい音をたてます。

けれどもちろん子どもの遊び場のようなたのしげなさわぎではなく、怒りくるったような、ふゆかいな騒音です。

この騒音は日ごとにはげしくなって、大都会にあふれるようになりました。

仕事がたのしいかとか、仕事への愛情をもって働いているかなどということは、問題ではなくなりました。

むしろそんな考えは仕事のさまたげになります。大事なことはただひとつ、できるだけ短時間に、できるだけたくさんの仕事をすることです。

ミヒャエルエンデ著 ~モモ~より引用

時間をケチケチすることで、ほんとうはぜんぜんべつのなにかをケチケチしているということには、だれひとり気がついていないようでした。

自分たちの生活が日ごとに貧しくなり、日ごとに画一的になり、日ごとに冷たくなっていることを、だれひとり認めようとはしませんでした。

でも、それをはっきり感じはじめていたのは子どもたちでした。

というのは、子どもにかまってくれる時間のある大人が、もう1人もいなくなってしまったからです。

けれど時間とは、生きるということ、そのものなのです。そして人のいのちは心を住み処としているのです。

人間が時間を節約すればするほど、生活はやせほそっていくのです。

ミヒャエルエンデ著 ~モモより引用~

まとめ

何かを変えていくには根を育てる時間が必要です。

「自分を変えたい」と思ったとき、3カ月間は「何も変わらない自分」との戦いになるでしょう。

「変えたい」と思っても「何も変わらない」現実が苦しいことです。しかし、「心の中で大切な根が育っている」と感じることで、変わらない時間にだって希望を見出せるはずです。

「タイムパフォーマンス」という言葉が生まれた時代だからこそ、「根を育てる時間」を大切にしていきたいと感じます。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

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