改めて益のない事は、改めぬをよしとするなり

みなさん、こんにちは。

心理カウンセリング空の関口剛史です。

先日、毎月参加している勉強会で徒然草の「改めて益のないことは改めないがよい」を学びました。

ネットとSNS社会の情報過多の現代では、この言葉はとても大切だと感じました。

今日は「改めて益のない事は、改めぬをよしとするなり」について書いていきます。

目次
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改めて益のない事は、改めぬをよしとするなり

私は、とある勉強会に毎月参加しています。

その勉強会では古文を学びます。今は吉田兼好の「徒然草」を勉強しています。

徒然草は、鎌倉時代末期(1330年頃)に吉田兼好により書かれたものとされています。

徒然草は243段からなり、当時の社会や世相について吉田兼好が感じたことが書かれています。

先日の勉強会で、徒然草127段「改めて益のない事は、改めぬをよしとするなり」を学びました。

現代訳にすると「変えても利がないものは、変えない方がいい」という意味になると思います。

この段のポイントは「利がないもの」は「変えない」ことです。

では、利とはどういうなのでしょうか?

1人1人、利の考え方は違うと思いますが、私は自分や組織や社会にとって「良いこと(メリット)」につながる利になると思います。

また、何かを変える変えないを考え判断するには、必ず問題と認識されている物事・出来事があるはずです。

問題と意識されない物事・出来事を人は「変えよう」とは思えないからです。

情報化時代となりDX(Digital Transformation)という言葉をよく耳にします。

ITやデジタル技術を活用してサービスやビジネスや社会がより良いものに変えていくことがDX(デジタルトランスフォーメーション)です。

私はITの仕事もしています。IT化して良い結果になるのであれば、どんどんデジタル化していけばいいと思います。

しかし、IT導入により良いものにしていくはずが、ITを導入することが目的になり、結果として悪い結果になることが多々あります。

これは「変えても利がないことを、変えてしまった」からです。

現状の物事を否定だけして、何かを変えることが目的になってしまったからです

ネットやSNS普及により情報過多の時代となり「変えても利がないことを変えよう」として疲れ果ている人が多いようにも感じます。

神学者のニーバー(1892-1971)も吉田兼好と同じようなことを言っています。

神よ、変えることのできないものを静穏に受け入れる力を与えてください。

変えるべきものを変える勇気を、そして、変えられないものと変えるべきものを区別する賢さを与えて下さい。

~ニーバーの祈り~

ニーバーは変えられないものと変えるべきものを区別する賢さを与えてくださいと神に祈っています。

何かを変えようとする前に、まずは「なぜ変えようとするのか」「変えることでどのような利を生み出したいのか」をしっかり考えることが最初だと思います。

多くの場合、現状否定だけの変化は変えても利がないものになるものだから。

まとめ

吉田兼好が「改めて益のない事は、改めぬをよしとするなり」と書いたのは、当時の人々も改めても益のないことを改めようとしていたからでしょう。

古文の勉強として「徒然草」を習った記憶はありますが、吉田兼好が本当に伝えたかったことを理解できていなかったと、改めて思います。

大人になり「徒然草」を勉強することで「徒然草」は人生訓であり、その人生訓は鎌倉時代も令和時代も変わっていないと感じます。それはきっと人間の心の本質は変わらないからでしょう。

古文を勉強するのは、テストや入試の為に古文を読めるようになることではなく、古文の内容を理解し、これからの人生に生かすことだと感じます。

心のどこかに「改めて益のない事は、改めぬをよしとするなり」の言葉あれば、変化の激しい情報化時代でも「変えるべきこと」「変えなくてもいいこと」の区別を事前に考えることができるからです。

これからいろいろなことが速いスピードで変化していくと思います。

だからこそ「改めて益のない事は、改めぬをよしとするなり」の心を忘れてはならないですね。

ここまでお読みいただきありがとうございました。

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