狐と葡萄~言い訳は自己正当化するだけで、何も変わらない~

    みなさん、こんにちは。

    心理カウンセリング空の関口です。

    先日、『イソップ寓話集』を読みました。イソップ寓話集には「アリとキリギリス」や「ウサギとカメ」・「北風と太陽」など、子供の時に聞いたことがある、有名な話がたくさんあります。

    イソップ寓話集の成り立ちは不明確で、イソップ寓話集は「イソップ」という人が書いた本ではなく、紀元前古代ギリシャ時代から人々の間で伝わってきた話が寓話集として本になったようです。

    イソップ寓話集を読んで、私がおもしろいと感じたところは、とても短い話の中に、人間として教訓になりそうなことが含まれているところです。もし、イソップ寓話集が古代ギリシャ時代から伝えられたものだとすると、古代ギリシャ人も現代の私たちも「人間として教訓になること」はなにひとつ変わっていないと感じます。

    今日はイソップ寓話集の「狐と葡萄」を参考にしながら、「言い訳」することをやめ「考えのレベルを上げること」について書いていきたいと思います。

    目次
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    イソップ寓話集 狐と葡萄

    腹をすかせた狐君、支柱から垂れ下がる葡萄の房を見て、取ってやろうと思ったが、うまく届かない。立ち去りぎわに、独り言、 「まだ熟れてない」

    このように人間の場合でも、力不足で出来ないのに、時のせいにする人がいるものだ。

    ~イソップ寓話集 中務哲郎訳 より引用~

    言い訳で、できない自分を正当化する。

    こういうこと、人生でもよくありますよね。

    葡萄が取れずに「まだ熟れていない」と時のせいにすることで、できない自分をどこかで肯定しようとする。

    イソップ寓話はここで話が終わりますが、この後、狐は葡萄を見る度に「どうせまだ熟れていない」といつも言い訳を続けることでしょう。

    前回のブログでも書きましたが、物事がうまくいかなかったとき、その物事をどう捉え考えるか?で、その後の見える世界が変わってきます。

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    「どうすれば、あの葡萄に届くか?」と考えれば、周りに落ちている木に気づいたかもしれません。

    「協力できる人がいないか?」と考えれば、誰かに助けを求めることができたかもしれません。

    「他にお腹を満たす方法はなにか?」と考えれば、他の食料が見つかったかもしれません。

    人間は言語とイメージで思考をします。

    思考が広がるような、イメージや質問を自分自身にすることで、今まで見えなかったものが見えるようになったり、新しいアイディアが閃いたりします。

    逆に「まだ熟れていない」と時のせいにしたり、「高い所になる葡萄が悪い」と誰かのせいにしたりすれば、そのときはなにも考えずに一瞬は楽になれるのですが、狐の見える世界はいつまでたっても狭いままで、葡萄を見る度に「まだ熟れていない」と言い訳をしなくてはなりません。

    できないときこそ、思考レベルを上げる

    アルベルト・アインシュタインは言います。

    我々の直面する重要な問題はその問題をつくったときと同じ考えのレベルでは解決することはできない。

    ~アインシュタイン~

    物事がうまくいかなかったり、問題に直面したりしたときは、狐のように時のせい・誰かのせいにして自分自身を正当化してしまいます。

    しかし、最初に「お腹が空いて葡萄を取りたい!」と思ったのは自分自身です。自分自身で「取りたい」と思っておきながら、うまく取れなかったときに、時や誰かのせいにして、今の自分を正当化していては、考えのレベル(思考レベル)はいつまでたっても向上しません。

    問題とは、理想と現実のギャップです。

    葡萄に届かないことが問題であれば、葡萄に届くようにするまでがギャップです。そのギャップを埋めるためには、葡萄に届くまで自分自身で思考しチャレンジを続け、現実を理想に近づけていくしかありません。

    思考して、チャレンジして、失敗して、また思考して、またチャレンジを繰り返すこと。

    思考レベルは、よりよい思考と実際のチャレンジを積み上げていくことでしか、引き上げることはできません。

    理想と現実のギャップを、誰かのせいにするのか、挫折と捉え自己否定をするのか、それとも、チャンスと捉え成長の機会にするのか、ギャップに対する考え方ひとつで、これからの人生の分岐点になると思います。

    最後にトーマス・エジソンの言葉をご紹介します。

    私は失敗したことがない。ただ、1万通りのうまく行かない方法を見つけただけだ。

    ~トーマス・エジソン~

    まとめ

    イソップ寓話集の「狐と葡萄」のテーマは、うまく行かなかったときの「言い訳」についてです。

    きっと、古代ギリシャ時代の人も「言い訳」をして自己正当化する人が多かったことでしょう。だから、「狐と葡萄」が教訓としてイソップ寓話集に書かれていたのだと思います。

    うまくいかないときは「言い訳」を言いたくなりますよね。もちろん私自身も気づいたら「言い訳」をよく言っています。人間は弱い存在です。弱い存在だから、心のどこかで自己正当化したいと思っています。

    しかし、「言い訳」をして自己正当化していても、現実は何も変わりません。

    きっと、自己正当化したいときほど、今の自分を受け入れつつも、将来的には正当化しなくてもいいような自分になるため、思考とチャレンジが必要なのだと私は思います。

    理想と現実が一致していれば、わざわざ「言い訳」を言うことも、正当化をすることも必要はないですからね。

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