ストレスを「自分を変えるエネルギー」にする方法

みなさん、こんにちは。

心理カウンセリング空の関口剛史です。

新型コロナウイルスの影響により外出自粛となり、今までできていたことができなくなり、ストレス度が高い日々が続いています。

ストレスがたまると、些細な出来事でイライラして怒りを感じやすくなったり、ストレスを発散させるために必要以上に物を購入したり食べ過ぎたりして、自分のバランスを崩しやすくなります。

新型コロナウイルスによる社会の価値基準が変化していくなかでは、ストレスとの付き合い方を学ぶことも大事です。

今回は「スタンフォードのストレスを力に変える教科書」を参考にしながら、ストレスについて考えていきたいと思います。

目次
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ストレスとは

家事や仕事に追われてストレスフルの状態に。たまったストレスを発散させるためにイラライラをぶつけたり暴飲暴食をしたりして異なる欲を満たそうとしてしまいます。「ストレスは悪いもの」だから、ストレスはためてはならないし発散しなくてはならないと誰もが思うものです。

しかし、ストレスは本当に悪いものなのでしょうか。ストレスの言葉には様々な意味があります。

  • 精神緊張・心労・苦痛・寒冷・感染などごく普通にみられる刺激(ストレッサー)が原因で引き起こされる生体機能の変化。一般には、精神的・肉体的に負担となる刺激や状況をいう。「~を解消する」
  • 強弱アクセントで、強めの部分。強勢。
  • 物体に加えられる圧力。
  • 外的圧力に対する弾性体内部の反発力

~大辞林より引用~

「ストレスがたまった」と感じるときのストレスは心労や苦痛などの”精神的ストレス”のこと。しかし、精神的ストレスの感じ方は1人ひとりが異なります。

例えば、コーヒーが嫌いな人にとってコーヒーはストレスになりますが、コーヒー好きな人にとってはリラックスできます。同じコーヒーでもストレスに感じる人もいれば、リラックスできる人もいる。この違いはどこにあるのでしょうか。

それは、自分の望んでいることか望んでいないことかの違いです。コーヒーが好き(望み)だからリラックスできて、コーヒーが嫌い(望んでいない)だからストレスになる。

そう考えると、精神的ストレスは誰かや周りによって与えられるものだけではなく、自分の望んでいることや思っていることによってもつくられているとも言えます。

「スタンフォードのストレスを力に変える」では、ストレスについて以下のように紹介されています。

「ストレスとは、自分にとって大切なものが脅かされたときに生じるものである」ストレスという言葉をこのように広く定義すれば、交通渋滞によるイライラにも、愛する人を亡くした悲しみにも当てはまります。
~中略~
さらにこの定義からは、ストレスのある重要な側面が見えてきます。すなわち、「ストレスと意義とは密接な関係にある」ということです、どうでもいいことに関しては、ストレスは感じませんし、有意義な人生を送りたいと思ったら、ある程度のストレスは付きものです。

ストレスを無くす方法はひとつです。それは、今から何も望まず考えず何もしないことです。そうすればストレスは消えます。しかし、そのような生き方は楽(らく)ではあっても楽しくはありません。

人生に希望や理想を持って生きるのであれば、自分のストレスとうまく付き合う方法を学ぶ必要があります。ストレスを学ぶことで、ストレスは自分を変えるエネルギーになるからです。

ストレスによる3つの反応

精神緊張・心労・苦痛などの”精神的なストレス”を受けると、人は無意識で以下の反応をします。

  • 闘争・逃走反応
  • チャレンジ反応
  • 愛と絆の反応

精神的なストレスを受けたときに、私たちのなかで3つの反応が起こることを理解することが、ストレスをエネルギーに変える第1歩です。

闘争・逃走反応

動物は、生命を及ぼすようなストレスがかかると闘争と逃走の反応し、不安や恐怖といったマイナス感情を抱きます。

火事場の馬鹿力と言われるとおり、生命に関するストレスがかかると戦闘・退避体勢となり最大限の力が発揮されますが、持続力はありません。社会やチームでストレスフルな状態になるとイライラするのは闘争反応によるものです。

また、生命に関する反応には1人ひとりに差があります。

例えば、職場で上司からきびしく怒られることを「生命の危機」と感じるか感じないかは、その人の受け止め方により変わります。上司から怒られたことを「生命の危機」と受け止めると闘争・逃走反応をしてしまい、大きなストレスを受けることになります。

チャレンジ反応

精神的なストレスを受けても、そのストレスに危険を感じないときや乗り越えられそうなときはチャレンジ反応となり、モチベーションと集中力が高まります。闘争・逃走反応のような恐怖心もありません。

例えば、職場で大きな仕事を任されたとき、その仕事が自分の能力に対して大きすぎる場合は闘争・逃走反応となり、少し努力すれば達成できそうな場合はチャレンジ反応になります。

チャレンジ反応になるとゾーン状態に入りやすくパフォーマンスを発揮しやすくなります。コンフォートゾーンの概念ではラーニングゾーンがチャレンジ反応の状態になります。

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愛と絆の反応

社会やチーム全体で共有の精神的なストレスを受けると愛と絆反応となり、人に対して優しくなり貢献できるようになります。

2011.3.11の東日本大震災は日本社会全体で大きなストレスを抱えました。しかし、大震災後に多くの人がボランティア活動をはじめたのは愛と絆の反応によるものです。

チームが目標に向かってワンチームになれるのも愛と絆反応によるもの。社会全体で受けるストレスに対しては「闘争・逃走」か「愛と絆」の反応になりやすいです。

危機的なときほど愛と絆反応が優位となりワンチームになれるといいのですが、チームで共有の目標がなく競争状態なると、チーム内のコミュニケーションがなくなり闘争・逃走反応が優位になります。

ストレス反応は価値基準により変わる

精神的なストレスを受けると「闘争・逃走」「チャレンジ」「愛と絆」の3つの反応が起こります。しかし、ストレスを感じるような出来事に対して、1人ひとりがどの反応をするかは、その人の考え方や価値基準により変わります。

例えば、「絶対に失敗をしてはならない」という価値基準の人が大きな仕事を任されたとき、「チャレンジ」よりも「闘争・逃走」反応の方が優位になりストレスを感じやすくなります。

「人から嫌われてはならない」という価値基準の人がチームで仕事をするとき、チームが愛と絆の状態であればパフォーマンスを発揮しやすいですが、チームが闘争・逃走状態になると、人との対立がうまれ大きなストレスを感じやすくなります。

「部屋はきれいであるべき」という価値基準の人が、子ども達が部屋を散らかしていると、「闘争・逃走」反応となりイライラして怒りをぶつけてしまったりします。

ストレスの感じ方は、その出来事が自分が望んでいることか望んでいないことかにより変わります。言い換えると、ストレスの感じ方は自分の価値基準によって変わります。

「ストレスは悪いも」のというイメージが強いため、ストレスを感じたときストレスを発散したくなりますが、いつも同じようなことに精神的ストレスを感じている場合は、価値基準を見直しストレス反応を変えることが、1番のストレス対策になります。

例えば、「絶対に失敗をしてはならない」という価値基準の人が「チャレンジは大事だ、失敗も学びのひとつだ」という価値基準になれば、大きな仕事を任されたときはチャレンジ反応が優位になり、結果としてストレスは軽くなります。

しかし、価値基準やストレス反応は無意識であるため、いきなり「明日から価値基準とストレス反応を変えよう!」とすることはできません。

まずは、ストレスを一旦受け入れ、ストレスを感じる原因(価値基準)を理解して、ストレス反応を闘争・逃走反応からチャレンジ・愛と絆の反応に意識的に切り替えていくことです。

ストレスを「自分を変えるエネルギー」にする方法

ストレス反応や価値基準は無意識のため、ストレス反応と価値基準に気づくことからはじめ、段階を踏んで自分を変えるエネルギーにしていく必要があります。

暴力やパワハラなど、自分の生命の危機を感じるような場合はその環境から抜け出すこと(逃走)も必要です。しかし、自分が努力することで乗り越えられそうなストレスに対しては、逃走・闘争反応からチャレンジ・愛と絆反応に切り替えていくことがポイントです。

自分の価値基準に気づき、逃走・闘争反応からチャレンジ・愛と絆反応に切り替えていくステップを簡単にご紹介します。

ステップ1 たまったストレスを発散しよう

新しく何かを学ぶときは、思考と心にゆとりをつくことがはじめの1歩。ゆとりがあることで思考は新しく考えることができ、心は現実を受け止めることができるようになるからです。

ストレスの発散方法は1人ひとりによってちがいます。誰かとお話する・体を動かすこと・自然の中にいく・歌を歌うや楽器を弾くなど、それをやって心から楽しいと感じられる能動的な楽しみ方をすることがポイントです。

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ステップ2 少しずつストレスを受け入れよう

「ストレスは悪いもの」という思い込みが強いと闘争・逃走反応になりやすいです。

精神的なストレスとは、自分が望んでいることか望んでいないことかの違いです。社会で生きていると望んでいないことの連続です。よって、まずは「ストレスを感じる」ことを少しずつ受け入れてください。

ストレスを受け入れようと意識を持つことでストレスは少し軽くなります。いきなり精神的苦痛が大きいストレスを受け入れることは難しいので、小さなストレスを受け入れていくことがポイントです。

ステップ3 ストレスを感じた出来事を書き出す

次に、夜寝る前などに「今日ストレスを感じた出来事」を付箋紙に書き出し「ストレスに感じたことリスト」をつくってください。

例えば、「仕事でミスをした」「上司に怒られた」「部屋が散らかっていた」ことにストレスに感じたのであれば、それを1ストレスにつき1枚の付箋紙に書いてリストに貼っていきます。

ポイントは、良いか悪いかなどの評価をせず、ストレスに感じたことを付箋紙に書き出していくことです。

ステップ4 なぜその出来事がストレスなのかを考える

次に、休日などの時間があるときに、付箋紙に書いた「ストレスに感じた出来事」が「なぜストレスに感じるか」を考えます。

例えば、以下のストレス付箋紙がリストに貼られているとします。

  • 上司に怒られた
  • 仕事でミスをした
  • 部屋が散らかっていた

「なぜストレスに感じるか」を考える方法として、ストレスに感じた出来事の語尾を「~したい・~したかった・~してほしい」などに変換してください。

  • 上司に怒られた  → 上司に認められたかった
  • 仕事でミスをした → 仕事をできるようになりたい
  • 部屋が散らかっていた → 部屋はきれいであってほしい

ストレスとは、自分が望んでいたことと出来事の違いであり、本当はストレスに感じた出来事の反対のことを望んでいたのではないでしょうか。その「望んでいたこと」を付箋紙に書き出してください。

ステップ5 それが実現できそうなことを考える

次に、ステップ4で書き出した「望んでいたこと付箋紙」に対して、自分ができそうなことを考えて「小さな行動」を付箋紙に書き出してください。

  • 上司に認められたかった → 上司にミスのことを素直に謝る
  • 仕事をできるようになりたい → 今回のミスを繰り返さないように手順を考える
  • 部屋はきれいであってほしい → 家族で話し合いをする

ステップ5のポイントは、過去や他者を変えようとするのではなく、自分を変えるために小さな行動を設定することです。

ステップ6 小さな行動をチャレンジしてみる

最後に、ステップ5で書き出された「小さな行動付箋紙」を実際にチャレンジしてください。

  • 上司にミスのことを素直に謝る (チャレンジ反応)
  • 今回のミスを繰り返さないように手順を考える(チャレンジ反応)
  • 家族で話し合いをする(愛と絆の反応)

ステップ6のポイントは、精神的なストレスに対して向き合おうとすることで、闘争・逃走反応ではなくチャレンジ・愛や絆反応に切り替えることです。

ステップ1~ステップ6を繰り返し、それ習慣にしていくことで、ストレスは自分を変えるエネルギーになっていきます。

まとめ

精神的なストレスがたまったときは、そのストレスを発散させることも大事です。しかし、ストレスの発散だけをしていても、ストレスに感じる出来事も価値基準も変わっておらず、ストレスのためる(圧縮)→発散(解放)の繰り返しになってしまいます。

いつも同じようなことで精神的なストレスを受ける場合は、ストレスと向き合うことで、自分の価値基準とストレス反応を知り、ストレスは自分を変える力になります。

今までストレスだと感じていたことに対して、反応と価値基準を変え対処方法を学ぶことができれば、もうそのことをストレスに感じることはありません。

新型コロナウイルスにより社会の価値基準が変わりストレスを受けやすい状況だからこそ、1人ひとりが自分のストレスと向き合おうとすることで、闘争・逃走反応の社会から愛と絆反応の社会に変えることができるのではないでしょうか。

今回参考にした「スタンフォードのストレスを力に変える」は、ストレスについて科学的に分析していて大変興味深い本でオススメです。

ここまでお読みいただきありがとうございました。

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