「心の安心」を求めるのでなく「安定した心」でいること

みなさん、こんにちは。

心理カウンセリング空の関口です。

今年も12月ですね。

今年は日本全国で大きな災害が発生し、世界情勢も変化し経済問題なども発生しました。

テレビのニュースを見て「この先大丈夫かな?」と考えると心は不安になっていきます。

その不安感が心の中で大きく広がっていくと、より安心を求めて何かにすがりたくなります。

しかし、そういう時代だからこそ1人ひとりが「心の安定」を保てるようになれるといいなと思います。

今日は、ライフ・カウンセリングを受けたR.I様の事例を基にしながら心の「安心」と「安定」について書いていきたいと思います。

目次
オンラインカウンセリング

「心から不安を消したい」という悩み

以前、「心が不安でいっぱいで、この不安感を消しさりたい」というR.I様(50代 女性)のライフ・カウンセリングを行いました。

R.I様の心の中には、長い間いつも不安がいっぱいつまっていました。

友達とおしゃべりをしたり、誰かと恋愛をしたり、SNSでつながったり、ゲームに没頭したりして、不安を消そうとしましたが、そのときは不安感を忘れられても、1人になるとまた不安感が出てきてしまう。

やがて、不安感がさらに強くなり、心療内科に通いはじめ不安感を和らげる薬を飲みはじめました。

しかし、R.I様は不安を感じるたびに薬を飲むようになり、薬を飲んでいないと不安になってしまう状況に陥ってしまいました。

私がR.I様とお会いしたのはこの時期でした。

もちろん、薬で不安感を和らげることも大切なことです。

しかし、不安を感じるたびに薬を飲んでいたのでは、何も問題は解決できません。

R.I様もうすうすそのことに気づかれており「心が不安でいっぱいで、毎日が心配で、この不安感を消しさりたい」とのことでライフ・カウンセリングを受けることにしました。

心から不安は消せない

「心が不安だから、その不安を消し去りたい」というR.I様の気持ち、私もよくわかります。

私もうつ病を患ったとき、心の不安を消したくて薬を飲んだり、何かに没頭したりして不安を消し去ろうとしていました。不安が消えれば元気になれると思っていました。

しかし、それは間違いでした。

なぜならば、そもそも心から不安を消すことなどできないからです。

人間は本能的に「安心して生き続けたい」と思っています。

人間も犬や猫のように何も考えず、すべてを受け入れて生きていられたのであれば、不安はなかったことでしょう。

もし、人間が何があっても死なない動物で最強無敵な存在であれば、そもそも安心や不安などを感じる必要性はなかったでしょう。

しかし、実際には人間は弱い存在であり「この先に何が起こるか?」を考えられてしまうから、いろいろなことに不安を感じてしまう。

そして、その不安に耐えられなくなると、心は強い安心を求めたくなり、その結果、さらに不安感が増していくという負のスパイラルに陥っていく。

うつ病当時の私もR.I様も不安のスパイラルに陥ってしまいました。

心から不安を消すことなどできないことなのに・・・

その不安を受け入れることからはじめよう

心から不安を消すことなどできないのに、その不安を消し去りたいと考えていると苦しいですよね。

心が不安でいっぱい、できないことを考え続けていると、新しいことを見つけること・気づくこともできません。

よって、まずは心から不安を消そうとするのではなく、その不安を受け入れること「今はこの不安があっても仕方がない、でも私は大丈夫」という気持ちになることが、最初の1歩です。

ただ、「不安を受け入れる」とブログで書くのは簡単なことですが、実際に不安を受け入れていくには対話と時間が必要です。

R.I様もご自身の不安について対話を重ねていくことで、少しずつ「不安を受け入れられるように」なっていきました。

不思議なもので、心がその不安を受け入れられるようになると、心に落ちつきゆとりがうまれてきます。

その段階から「安心を求める心」ではなく「安定した心」になれるように、さらに対話をすすめていきました。

「心の安心」を求めるのでなく「安定した心」でいること

繰り返しになりますが、人間は本能的に「安心して生き続けたい」と思っています。

しかし、実際には自然災害が発生したり社会変動が起きたり、気の合わない人と意見がぶつかることもあります。

心で安心を求め続けていても、自分の周りは不安定な要素ばかりです。

このとき、心の安心を保つために、周りの不安定な要素を変えようとしても物事はうまく進みません。

なぜならば、自分自身の土台となる心が広がっていないからです。

例えば、左の細い木と右の太い木では、どちらの木が安定して立っていられるでしょうか?

横から風が吹くと、木にストレスがかかり不安定な状態になりますが、このときどちらの木が安定して立っていられるでしょうか?

幹が大きい木の方が安定して立っていられますね。

木にとって、横から吹く風は自分の存在を脅かす不安定な要素です。しかし、木は風を吹かないようにすることも、風を止めることもできません。

木は風というものを受け入れるしかありません。

私たちの「心」も「木の幹」のようなもので、自分という存在を支えるものです。

自分の周りの不安定要素に対して、心が大きい人と心が小さな人では、どちらが安定した自分でいられるでしょうか?

大事なことは、不安定な要素があるなかで「心の安心」を求めるのでなく「安定した心」でいられるようにすることです。

R.I様のライフ・カウンセリングの目標は「心から不安を消す」ことでなく「安定した心」に育てていくことになりました。

その後、R.I様は「不安を自分のちからで取り除けるようになりました」

ライフ・カウンセリングを受け終えたR.I様の感想をご紹介します。

ライフ・カウンセリング後の感想(R.I様 50代 女性)

不安を自分の力で取り除けるようになりました。(R.I様 50代 女性)

R.I様

カウンセリングで、自分自身でさえあまり正視したくない気持ちの内面をお話しすることに不安を感じていました。

しかし、お会いした第一印象からして安心感を感じられたので、まず気持ちが楽になりました。

気さくな感じで無理を強いられることもなく、ゆっくりとお話しを聞いていただけたので、思っていること、疑問に思うことも素直に話すことができました。

疑問に思うことについては、丁寧に答えてくださいました。

どんな時も、必ず紙に図式化して描いてくれるので、とてもわかりやすかったです。

その紙をいただいて、日常生活の中で見返しながら、自分を少し冷静に客観的に見ることができました。

頭の中がたくさんの不安や考えで混乱して、とても辛いのにどうしていいかわからない状態の時、私の考えや不安をひとつひとつ並べて整理した上で、それに対してどう対応していけばいいのか、頭と心を落ち着かせて整理するのを手伝ってくれました。

真っ暗で不安がいっぱいの状態から抜け出す手助けをしていただけ、パニックにならずに済みました。

自分の心の中で迷子になった様な状態から、抜け出す道を見つけられるかもしれないと思えました。

2回目のカウンセリングで、ライフ・カウンセリングを終えるとき、自分は「どうなりたい」と思っているのかを明確にしました。

はじめてカウンセリングを受けたときは、不安でいっぱいで気持ちも考えも混沌としていて、どうなりたいかなんて考える余裕もなかったです。

毎日日記をつけることで、少しずつ自分が見えてきて・・・。

でも、まだなんとなくだし、なりたい自分は漠然としているし、どうすればいいかもわからないのですが、少しだけ前進したのは感じられました。

今回も脈絡がない、とりとめもない話しを丁寧に聞いてくれて、ひとつひとつ話しあってくれました。

本当にしっかり向き合ってくれるので、自分の心のこんがらがった気持ちがほどけていくのを実感することができました。

3回目のカウンセリングでは、「心の展開図」を書きました。

悩みを書き出すことで漠然とした不安が明確になり、その悩みを解いた状態、こうありたいという自分像、そのための「はじめの1歩」としてやる事を書き出すことで、変化する自分がイメージできました。

カウンセリングで会話をしていくなかで「自分の本質的なものや心の中に隠れていた不安や疑問」が見えてきました。

話す前と後では明らかに自分の感じ方が違っていて、心の変化を実感できました。

根本的な不安の存在、それを解消するための「自分の土台」の必要性を認識できて、それが優先だと思いました。

そのうえで「心の展開図」を改めて見ると、その展開図に書かれた悩みは「不安の枝葉」のように思えて、枝葉の悩みや不安を解消しても得られるものは「仮の安心」であることがわかりました。

残りのカウンセリングで、自分がどう変わりたいのかの方向性が見えた様で希望が持てました。

4回目のカウンセリングでは、「不安を自分の力で取り除けるようになりました。」

今まで不安な気持ちを薬や友達とのコミュニケーションで押さえ込んだり紛らわせたりしてきましたが、それは何の解決にもなっていませんでした。

私はいま50歳ですが、これから年齢的な衰えや、子供の独立などの家庭環境の変化など、対応せざるを得ない様々なことを受け入れながら、これから増すであろう不安に対処する術を知った事は、今後の人生を生き抜く為の大きな力になると思いました。

5回目のカウンセリングでは、目標を立てそれを達成するための具体的な事項を図に書き入れました。

目標達成を登山に見立てたおもしろくわかりやすい図でした。

カウンセリングを始めたときはワラをもつかむ思いでした。

「助けてほしい」と思っていたような気がします。

今カウンセリングを終え、振り返ってみると「助けてもらう」のではなくて「自分で自分を助ける方法を教わった」のだと思いました。

これはとても大事なことだと思います。

助けを求める先が自分以外にある場合、その人なりその物なりに執着がうまれたり、不安になったりすることも考えられるし、何より不確実です。安心がありません。

でも、自分の中に「自分を助ける方法」があるのは、生きていくうえで大きな安心となり、前に進む勇気になります。

これからの先の人生を見据えた時、カウンセリングで得たことは大きな財産になったと思います。

正直、カウンセリングの課題が億劫におもったこともありましたが(笑い)、ライフ・カウンセリングを受けて良かったです。

まとめ

その後、R.I様は不安を受け入れられるようになり、心療内科も「不安を和らげる薬」も卒業しました。

人間は本能的に「安心して生き続けたい」と思っています。だから、私たちは不安を感じられます。

それなのに、その不安におびえ「不安を消すためにどうするか?」という思考パターンに陥ると苦しくなりなにかにすがりたくなります。

残念ながら、不安定要素がたくさんあるこの世界のなかで心から不安を消すことなどできません。

しかし、心は不思議なもので、不安を受け入れ心が安定すると周りも自然と安定してきます。

大事なことは、いろいろな不安定要素がある世界のなかで、いかに「安定した心でいられるか?」だと、私は思います。

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