「ポチ」からはじまるストーリー

    みなさん、こんにちは。

    心理カウンセリング 空の関口です。

    いま、ネット通販の拡大により、運送会社の労働環境が問題視されています。ヤマト運輸は、ドライバーの負担軽減のため、Amazonプライム会員向けの「アマゾン即日配送」から撤退を検討しているというニュースも流れています。

    私もAmazonプライム会員です。当BlogでもAmazonの商品を紹介しています。

    いまAmazonで商品を購入すれば、きっと明日には届きます。IT技術が普及したおかげで、自宅に居ながらネット通販で必要なもの・ほしいものが簡単に購入できる便利な時代になりました。

    でも、ネット通販は便利だけれども「なにか大切なことを僕たちは見失っていないか・・」といつも感じていました。

    先日、中学1年の息子に「学校で必要な教材をAmazonで購入して欲しいと頼まれました」が、その際に息子から「いまポチれば明日くるよね?」と質問をされました。

    「いまポチれば明日くる」この息子の言葉を聞いたとき、僕たちが見失っているものが、何なのかに気づかされました。

    今日はITリテラシーの視点で、「アマゾンとヤマト運輸の問題」をベースに、僕たちが見失いかけていることについて書いていきます。

    目次

    いま「ポチ」れば明日くるよね・・・」

    我が家の中1年の息子は13歳です。

    彼らの世代は物心ついたときにはインターネットがあり、自身の成長、社会や交友関係が広がるときに「スマホ」が当たり前に存在します。

    どこかの宣伝ではないですが、「スマホが当たり前の社会に生きている学生」です。

    スマホが当たり前の社会に生きている学生は、インターネットでキーワード検索すれば必要な情報が得られることが当たり前で、SNSで簡単に誰ともつながれることが当たり前で、いまポチれば明日ものが届くことが当たり前のように感じてしまう世代。

    でも、それって本当に当たり前のことなのでしょうか?

    IT技術の向上のおかげで、現代はワンクリックで物が買え、翌日には自宅に届きます。

    でも、自分がワンクリックすることで、どれだけの人や物が動きだすのか、みなさんは思いを馳せることができますか?

    息子に「いまポチれば明日くるよね?」と聞かれたとき、「いまAmzonで商品を注文すると、どうして明日ものが家に届くのか?、お前がひとつの物を注文すると、どれだけの人や物が動き出すのか1日考えてみなさい」と伝え、翌日に一緒になって考えてみました。

    私はAmazonで働いたことはないので、詳細まではわかりませんが、Amazonで商品を購入して自宅に届くまでのプロセスは、恐らく以下のようになっていると思います。

    「ポチ」からはじまるストーリー

    ■欲しい商品をAmazonのサイトで検索、「ポチ」って商品を購入し決済処理完了

    ■注文された商品と在庫情報がマッチングされ、在庫がある最寄りの倉庫(我が家の場合、川越・市川)にピッキング指示書が出力される。

    ■ピッキング担当者が、商品棚まで歩いて取りに行き、A商品をピッキングする。(ピッキング担当者は1日15Km以上倉庫内を歩くそうです)

    ■梱包担当者が商品を梱包し出荷伝票を貼り付け、倉庫の出荷スペースに搬出される。

    ■Amazonから出荷される大量の商品を、大型トラックがヤマト運輸の大型配送センターまで運ぶ。

    ■配送センター内で、県市町村レベルまで振り分けられ、中規模中継拠点まで運ばれる。

    ■中継拠点で市内レベルまで振り分けられ、注文者近くの小規模センターまで運ばれる。

    ■小規模センターで地区レベルまで振り分けられ、地区担当のドライバーが注文者宅まで届ける。

    ■注文者宅が不在の場合、不在連絡票を入れ、指定日時再配達をして、お届け完了。

    注文した商品は、多くの人やトラックに手渡しされながら、自宅まで届く。

    上記以外にも、Amazonやヤマト運輸のシステムを担当している人、インターネットを保守管理している人、電力を供給している人、道路を整備している人など、目にはみえない画面では表示されなない、多くの人の日々努力のおかげで、商品は無事に自宅まで届く。

    商品は「ポチ」れば届くのではなく、多くの人おかげではじめて届くもの。

    スマホが当たり前の社会だからこそ

    スマホが当たり前の社会になると、多くのやりとりがスマホを介して行われはじめる。

    キーワードによる情報検索、SNSでのコミュニケーション、ネット通販でのショッピング、Youtubeによる動画や映画の視聴。

    5インチの小さな画面の中に、とても大きな世界が広がっている。

    でも、その大きな世界は、所詮、視覚と聴覚だけの小さな世界。

    一方的に表示される情報やSNSに一喜一憂し、キーワード検索で表示された情報を鵜呑みして、「便利」だからと言って水やトイレットペーパーなど1クリックでなんでもかんでもネット通販で買ってしまう。

    スマホと便利さが当たり前の世界になったとき、人間は想像力と感性を失う

    「いまポチれば明日届く」ことが当たり前のことだと思い込めば、明日届かないことに苛立ちを感じる。自宅に荷物を持ってきてもらうことが当たり前だと思い込めば、玄関先まで配達してもらうことに何も感じられない。

    逆に、指定時間に少しでも遅れたりしたら、ドライバーにクレームを言う始末。便利が当たり前になると、人間の心は不便になる。

    私もネット通販を便利に使われてもらっています。もちろん、これからも使います。

    でも、ネット通販で商品を注文するときは、必要な商品をまとめて注文すること、そして、上記したストーリーを思いながら荷物を届けてくれたドライバーさんに対して「ありがとうございます」と言うようにしています。私にはそれだけしかできません。

    でも、スマホが当たり前の社会には画面の先にある、現実の社会に「思いを馳せられる」ことが大事だと思います。

    まとめ

    いま、宅配の不在ロスを減らすため、宅配ボックスの設置が必要と言われています。もちろん、そういった物理的な対策も必要だと思います。でも、もっと必要なことは、商品を頼む側の「心」にあるのではないでしょうか?

    これからIT化やAI化(人工知能)が発達していくなかで、私達に求められることは人間1人ひとりの「心」にあると考えています。

    私達の「心」が発達していかないと、スマホが当たり前の世代が社会に出たとき、恐らくスマホの画面に表示された指示に動かされるだけの人々が増えていくと思います。そうならないためにも、今の当たり前を疑い、自分で考え、自分の感性を感じ取れるように「心」を育てていくことが必要だと思います。

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