
カウンセリングSORAの関口です。
これまでの自分自身の人生を振り返るとともに、多くの方々から寄せられた人生相談を思い返す中で、私は「人生をより良く生きるためには、人としての生き方を学ぶことが大切だ」と実感しています。
人としての生き方を知ることで、これから歩むべき道が少しずつ見えてくるからです。
そこで、みなさまの人生に少しでも役立つヒントをお届けできればと思い、人としての生き方に学べる書籍を引用しながらブログを綴っています。
しばらくの間は、「イソップ寓話」からの引用をもとに、生き方について一緒に考えていきたいと思います。
今日の言葉
イソップ寓話より引用
121)竪琴(たてごと)弾き歌手
下手くそな竪琴弾きの歌手がいつも漆喰塗りの家で歌っていたが、声がよく反響するので、自分がなかなかの美声だと思うようになった。そして自惚れが昂じ、劇場に出演しなければならぬと決心したが、舞台に上がってみると、その歌は箸にも棒にもかからず、石を投げつけて追い出された。
このように弁論家の場合でも、学校では一廉の者と思われていても、政治の場に出ると、無に等しいことが分かる人がいるものだ。
【引用元:岩波文庫『イソップ寓話集』著 イソップ/訳 中務哲朗】
自分の能力を見誤らないために ― イソップ寓話『竪琴弾き歌手』より
歌手が、声がよく反響するという理由だけで自分を美声の持ち主だと思い込み、その思い込みのまま劇場に出演した結果、実力不足が露呈してしまいました。
おそらく、この歌手の周囲には、「それは単に漆喰の壁で音が反響しているだけで、あなた自身の声が美しいわけではない」と指摘してくれる人がいなかったのでしょう。
この寓話が示す状況は、私たちの日常生活の中でもよく見られるものです。
たとえば、「自分には能力がある」と感じるとき、それが本当に自身の実力によるものなのか、あるいは周囲の環境に助けられて発揮されているのかを見極める必要があります。
本物の能力であれば、場所や状況が変わっても通用します。しかし、環境に依存した能力であれば、その環境を離れた途端、力を発揮できなくなってしまいます。
また、周囲からの賞賛が、実は社交辞令に過ぎなかったにもかかわらず、それを真に受けて自分を過大評価してしまうこともあります。
実際、他人からの「賞賛」と「自分はできる」という思い込みだけで新しい環境に飛び込み、まったく通用しなかった――という話はよく耳にします。
人の能力は、置かれている環境によって大きく左右されるものです。
だからこそ、自分の力を過信しそうになったときには、まず現在の環境を正しく理解し、その中で発揮されている能力が本当に自分自身の力なのか、それとも環境による後押しが大きいのかを見極めることが大切です。
もし環境に支えられていると感じたならば、少しずつその環境を離れた状況で自分の力を試してみることが、自身の成長につながります。
また、どれほど賞賛されても驕らず、常に自分自身を省みること。その省みを重ねた分だけ、能力は磨かれていくのだと思います。
「あなたの能力を高く評価しています」といった転職の誘いが多い現代だからこそ、自分の能力を客観的に見つめ、どんな環境でも通用する実力を少しずつ築いていきたいものです。
イソップ寓話集の「竪琴弾き歌手」を読んで、このような気づきを得ました。
今日の問いかけ
「あなたの能力は、環境に依存していませんか?どこにいても発揮できる力を育てていきましょう。」
もしかすると、あなたの今の力も、実は環境に支えられているのかもしれません。
でも、それに気づけることこそが、次の成長への一歩です。
あなたの能力は、どんな場所でも通用する本物でしょうか?
それとも、今の環境だからこそ発揮されているものでしょうか?
自分の力を過信せず、少し立ち止まって見つめ直し、どんな場面でも発揮できる“本当の力”を育てていきましょう。
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