怒りの先にある、本当に失ってはいけないもの

    カウンセリングSORAの関口です。

    これまでの自分自身の人生を振り返るとともに、多くの方々から寄せられた人生相談を思い返す中で、私は「人生をより良く生きるためには、人としての生き方を学ぶことが大切だ」と実感しています。

    人としての生き方を知ることで、これから歩むべき道が少しずつ見えてくるからです。

    そこで、みなさまの人生に少しでも役立つヒントをお届けできればと思い、人としての生き方に学べる書籍を引用しながらブログを綴っています。

    しばらくの間は、「イソップ寓話」からの引用をもとに、生き方について一緒に考えていきたいと思います。

    目次
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    今日の言葉

    269)猪と馬と猟師

    猪と馬が同じ場所で草を食んでいた。猪がいつも草を踏み潰し水を濁らせるので、馬は懲らしめてやりたいと思い、猟師に助太刀を求めに行った。 すると猟師が、おとなしく馬具を着け自分を乗り手にしてくれない限り、助けてやれない、と言うので、馬は万事引き受けた。 猟師は馬に打ち勝つと(馬に乗ると)、猪をやっつけ、そのまま馬を連れ帰って、飼葉桶につないでしまった。

    このように多くの人が、怒りで後先を忘れて、敵に仕返しを望みながら自分が他人の手に落ちるのだ。
    (引用元:『イソップ寓話集』中務哲朗 訳/岩波文庫)

    怒りの先にある、本当に失ってはいけないもの

    この寓話を読んで、私はコロナ禍前のある週末、終電に乗った時の出来事を思い出しました。

    車内は立つ余地もないほどの大混雑。

    発車間際、一人の男性が駆け込み乗車で飛び込んできました。すると、ドア付近にいた別の男性が足を踏まれたようで、「痛えな!」と荒々しい声を上げました。

    飛び乗った男性も、素直に謝罪していればそれで済んだはずです。

    しかし、彼は「お前が入り口を塞いでいるからだ」と真っ向から反論してしまいました。

    車内の空気は一気に険悪になり、二人の言い争いはエスカレート。
    「次の駅で降りろ!」
    「ああ、降りてやるよ!」

    ついに二人は、激しく口論しながら次の駅で降りていきました。

    おそらく彼らは、この電車が「終電」であることを忘れてしまったのでしょう。

    そもそも、なぜ男性は無理をしてまで飛び乗ったのでしょうか。

    それは「終電で帰りたかったから」に他なりません。

    しかし、怒りに火がついた瞬間、彼の目的は
    「無事に帰宅すること」から「相手を言い負かすこと」へとすり替わってしまったのです。

    私たちも同じように、気づかないうちに 「本来の目的」を見失ってしまうことがあります。

    あなたにも、思い当たる場面はありませんか?

    こうした「怒りによる目的の喪失」は、現代の「煽り運転」にも共通しています。

    本来の目的は「安全に目的地へ移動すること」のはずです。

    しかし感情が暴走した瞬間、その目的は消え、 「相手をやり込めること」にすり替わってしまう。

    その結果、重大な事故を起こし、目的地にたどり着くどころか、自らの人生を大きく損なってしまうことさえあります。

    ただ、ここで一つ大切なことがあります。

    怒りそのものが悪いわけではありません。

    怒りは、自分にとって心(プライド)が傷ついたときに生まれる、自然な感情です。

    問題なのは、その怒りに飲み込まれ、 「本当に守りたかったもの」を見失ってしまうことなのです。

    冒頭の寓話に出てくる馬も、「猪を懲らしめたい」という一時の怒りに支配された結果、自由を失い、一生を飼葉桶につなぎとめられることになりました。

    怒りに任せて後先を考えられなくなり、本来の目的を見失ってしまう。

    これは、時代が変わっても繰り返される、人間の性(さが)なのかもしれません。

    今日の問いかけ

    「目先の『感情の勝利』よりも、その先にある『本当に大切な価値』は何ですか?」

    もし感情が大きく動いたときは、 「自分は本当は何を守りたかったのか?」と、 一度だけ立ち止まって問いかけてみてください。

    その答えの中に、あなたがこれから進むべき道のヒントが隠れているはずです。


    今回のおすすめ本

    今回のテーマに関連して、改めて読み返したいのが『イソップ寓話集』です。

    短い物語の中に、人間の本質が驚くほど凝縮されています。

    忙しい日常の中でも、ほんの数分で読める寓話が、あなたの心に静かな気づきをもたらしてくれるかもしれません。

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